アメリカZ世代が選ぶ「Coolなブランドの条件」は“ダイバーシティ”「あらゆる人に向けているということがカッコいい」

「アメリカZ世代が選ぶCoolなブランドの条件は“ダイバーシティ” ダイバーシティ溢れる商品って?」。「NY Future Lab」に所属するアメリカZ世代が、ブランドが打ち出すダイバーシティへの取り組みについて語り合いました。

「アメリカZ世代が選ぶCoolなブランドの条件は“ダイバーシティ” ダイバーシティ溢れる商品って?」。「NY Future Lab」に所属するアメリカZ世代が、ブランドが打ち出すダイバーシティへの取り組みについて語り合いました。

ジャーナリストでZ世代専門家のシェリーめぐみがパーソナリティを務めるinterfmのラジオ番組「NY Future Lab」(毎週水曜日18:40~18:55)。ジャーナリストでZ世代専門家のシェリーめぐみが、ニューヨークZ世代の若者たちと一緒に、日本も含め激動する世界をみんなで見つめ、話し合います。社会、文化、政治、トレンド、そしてダイバーシティからキャンセルカルチャーまで、気になるトピック満載でお届けします。

5月29日(水)のテーマは、「アメリカZ世代が選ぶCoolなブランドの条件は“ダイバーシティ” ダイバーシティ溢れる商品って?」。「NY Future Lab」に所属するアメリカZ世代が、ブランドが打ち出すダイバーシティへの取り組みについて語り合いました。

あらゆる人が“主役”になれるブランドはカッコいい

前回の放送では、アメリカZ世代が「Cool」、カッコいいと感じるブランドのトップ3を紹介しました。

1位:Nike
2位:YouTube
3位:Fenty

11歳〜17歳だと、Coolの条件1位は「トレンドに敏感なこと」です。ブランドの在り方として当然という感じがしますが、2位が「ダイバーシティ溢れる商品であること」と聞くと意外と思われるかもしれません。

ダイバーシティは特に社会的に弱い立場にある、特権を持たないジェンダー(女性・LGBTQ)や人種(ピープル・オブ・カラー)、障がい者などが、特定の職場や社会に共存していることを示す言葉です。ダイバーシティとセットで使われることが多いインクルージョン(包括性)は、このように多様な人々が差別されず公平に扱われることを示します。

では、ダイバーシティ溢れる商品、ブランドとはどのようなものなのでしょうか? まずは、ラボに所属する20代のZ世代から話を聞きましょう。10代の若者はダイバーシティ溢れるブランドはCoolだと感じています。この結果は妥当でしょうか?

メアリー:あくまでも私の感覚だけど、たしかにその通りだと思うな。それに、若者が多様性を好むというのは以前も聞いたことがある。

ミクア:ダイバーシティ&インクルージョンは18歳以上、つまり20代前半の私たちの世代で支持されているのかと思っていた。いずれにせよ、すべてのZ世代のランキングで上位に入って当然だと思うな。

シェリー:つまり、みんなも「ダイバーシティがあるブランドがCool」だと思っているってこと?

シャンシャン:そう思う。ブランドが“あらゆる人”に向けているということがCoolなんだと思う。たとえば、私はアジア系だから、アメリカではマイノリティに属していると思っていて、アメリカの社会やソーシャルメディアでは、アジア系のモデルってほとんど登場しないんだよね。だから、私に似た人々を広告や商品のターゲットに含めていることが、Coolだと感じるんだ。

あらゆる人をターゲットにしていて、広告にもマイノリティに属する人、あらゆる肌の色や体型のモデルが登場するのはCool。すなわち、ダイバーシティ溢れるブランドということがわかりました。

日本はアジア系の人種が大多数を占めている国なので、テレビで見るのはほとんどアジア系の顔です。「一方、アメリカに住んでいる私たちアジア系はマイノリティなので、毎日の広告で目にするのはほとんどが白人、次に黒人です。なので、アジア系が登場するだけで、ダイバーシティと親近感も感じるわけです」とZ世代専門家のシェリーは解説しました。

Coolな広告のもっともいい例が、Z世代が選ぶCoolなブランド・ランキング1位のNikeです。グローバルブランドとしての自覚を持つNikeは、ありとあらゆる肌の色の、さまざまな体型のモデルが広告に登場。さらには、イスラム教徒女性のための水着の開発を進めています。また、Black Lives Matter運動を強く牽引したアスリートを起用し、バッシングのなかでも支持し続けたことでもリスペクトされています。

多様性を“トレンド感覚”で取り入れる企業もある?

Z世代が選ぶCoolなブランド・ランキング3位のFenty(フェンティ)は前回にも触れましたが、こちらはスーパースターのリアーナが立ち上げたブランドです。2017年の発売当初話題になったのが、50色のファンデーション。それまで多くても10色ほどしかなかったファンデーションの常識を覆して注目を集めました。

Fentyは「あらゆる肌の色の人が美しい」というダイバーシティ&インクルーシブのメッセージを打ち出していることで、絶大な支持を得ています。ダイバーシティ溢れるブランドが増えるのは望ましいことですが、アプローチのやり方を誤ると、かえって若者の非難を受けることになります。

ミクア:立ち上がったばかりのブランドにすごく多様性があって、製品を見てもそのことが伝われば「このブランドは本当にダイバーシティを気にかけている。すべてをしっかり考えている」と感じられる。マーケティングがよく考えられていて、偽物っぽくない場合はCoolだと思う。

だけど、かなり前からあったブランドで、最近になってようやく多様性を重視し始めたところもあるよね。他の新しいブランドが多様性を取り入れて成功しているのを見て、古いブランドもそれに乗っかろうとしている。そういうブランドはCoolって思えない。彼らは単に現在の“トレンド”に合わせているだけだから。

たとえば前からあるブランド、Laura Mercier(ローラ メルシエ)とかArte(アルテ)、L’Oreal(ロレアル)とかは長いあいだメイクアップブランドとしてやっているけど、以前はそれほどインクルーシブな製品を作っていなかったよね? ファンデーションも幅広いファンデーションの色展開はなかった。一方、リアーナはFentyを立ち上げ、最初から多様なファンデーションの色展開をしてきたよね。

そうしたら、今になってLaura Mercierが「私たちも幅広い色展開をします。インクルーシブになります」と言うのは、まるで小さなブランドの輝きを奪おうとしているようにも見える。わかるかな?

メアリー:とはいえ、今はどんなブランドも、新しいメイク製品をリリースする際に、ファンデーションの色を多く展開しないと批判を受けてしまうんだよね。また、最初からそうじゃなかった場合、あとから多様性を追加するのも、なんだか“偽善的”に感じられてしまう。

今の時代、メイクブランドでファンデーションのバリエーションが多くないと批判の対象にされてしまいます。しかしながら、ダイバーシティに取り組んでいなかった巨大ブランドが急に真似をするのはなんだかモヤモヤする、というのがラボメンバーの意見でした。

商品や広告にダイバーシティを積極的に推し進めているブランドの多くは、女性やピープル・オブ・カラーなどマイノリティ自身が始めた中小規模のブランドです。シェリーは「大手が真似してスポットライトやシェアを奪っているといった批判があります。それでも、ダイバーシティ溢れる商品やマーケティングが広がったほうがいいという考え方が、今の時代の流れなんですよね」とコメントし、話題を締めくくりました。