アメリカのZ世代がもっとも“Cool”だと感じるブランドは「NIKE」 ニューヨークZ世代が人気の背景を考える

ジャーナリストでZ世代専門家のシェリーめぐみがパーソナリティを務めるinterfmのラジオ番組「NY Future Lab」(毎週水曜日18:4018:55)。ジャーナリストでZ世代専門家のシェリーめぐみが、ニューヨークZ世代の若者たちと一緒に、日本も含め激動する世界をみんなで見つめ、話し合います。社会、文化、政治、トレンド、そしてダイバーシティからキャンセルカルチャーまで、気になるトピック満載でお届けします。

 

522日(水)のテーマは、「2024年版アメリカZ世代が選ぶクールなブランド トップに輝くのは“NIKE”。その理由は?」。「NY Future Lab」に所属するアメリカZ世代が、若者たちがNIKEブランドに注目する理由について言及しました。

カッコいいと感じるブランド第1位は「NIKE」

マーケティング会社「YPulse(ワイパルス)」の調べによると、アメリカZ世代が「Cool」、すなわち「カッコいい」と感じるブランドのトップ3は以下の結果となりました。

1位:NIKE

2位:YouTube

3位:Fenty

Fentyはポップ・アーティストでスーパースターのリアーナが立ち上げたコスメブランドです。ファッションとITが混合したランキングに疑問を感じる人もいるかと思いますが、Z世代評論家のシェリーいわく、アメリカでは「何にお金と時間を費やすか」に重きを置き、ジャンルが違っても同列線上で順位をつけることが多いそうです。

アメリカZ世代で構成されるラボメンバーたちは、このランキング結果を妥当だと考えているのでしょうか?

ヒカル:1位のNIKEは主にスニーカーで有名だよね。やはり、スニーカーが人気だからじゃない? 実は最近、スニーカーのトレンドが終わりつつあるという記事を読んだんだ。ほら、レアスニーカーを大量にコレクションしたり、売り買いしたりするブームのことだよ。だけど、NIKEがトップということは、まだまだスニーカーブームは続いているということだよね。

ミクア:私はYouTubeが1位だと思っていた。なぜなら、みんなが利用できるプラットフォームだし、Googleなんかと同じように、インターネットさえあれば誰でも使えるから。まあ、カッコいいの解釈は人それぞれだとは思うけれど。

私にとって、YouTubeはカッコいいと同時に必需品なんだよね。そう考えると、NIKEよりもYouTubeが1位になるべきじゃないかな? それと、Fentyが3位なのもランキングとしては高すぎる気がする。ただ、Fentyはすごくインクルーシブ、包括的なので、それが成功している理由の1つだと思う。

メアリー:Fentyはスーパースターのリアーナが始めたブランドだというのが大きいよね。何よりすごいのは、Fentyはさまざまな肌の色に対応したファンデーションを出したこと。特に、これまでなかった濃い肌の色の製品がたくさんあって、数と品質が驚くべきものだったんだよね。

NIKEが1位になった背景には「スニーカーブーム」があると考えるメンバーがいるなか、「YouTubeが1位になるべき」という意見も出ました。3位のFentyはスーパースターが作ったブランドであることに加え、さまざまな人種の肌の色に対応できるよう、50色ものファンデーションをリリースしたことが人気を集めている理由の1つとして考えられます。

年齢によってカッコいいと感じる“基準”が変わる

Coolの解釈は人それぞれ。マーケティング会社「YPulse(ワイパルス)」は、カッコいいと感じる条件についても若者を対象に調査を実施。興味深いことに、「10代の若者」と「18歳以上20代前半の若者」とでは、その解釈が大きく異なることが判明しました。

11歳~17歳が考えるCoolの条件1位は「トレンドに敏感なこと」。18歳以上では「常に新しいものを試すこと」が1位となりました。

NY Future Labのメンバーは全員が18歳以上ですが、この調査結果から思うことを聞きました。

シャンシャン:新しいものを試すことがCoolのトップというのはわかる気もするけど、23歳の私にとっては便利なものを選ぶことのほうが大事。それがCoolなんだよね。

ミクア:うん、その気持ちはわかるな。私にとって一番大事なのは商品の品質。その次が値段。それが私の重要視する2つのポイント。「いい製品か?」「機能性は高いか?」「価格はいくらか?」、それが価値あるものなら、少し高くてもお金を投資するかもしれない。でも、価値がないなら買わないでしょう? ただ、値段が割安なら買うかも。だから、私にとっては価格と商品の質がCoolの条件。

13歳から17歳の10代の若者になると、トレンドについていくことがマーケティングの一番重要な要素になると思う。多くのブランドが、インフルエンサーや若者が尊敬する人たちを起用して製品を宣伝することが大きな利益になると気付いているよね。

シャンシャン:特に同世代のあいだではそうだよね。もし子どもが学校に行って、周りの子たちがConverseやJordanのスニーカーを履いていたら「自分も欲しいな」って思うだろうしね。

10代にとって、若者が注目する人気者やインフルエンサーがブランドを宣伝することはとても重要です。一方で、20代になるとトレンドを追うことよりも製品の質や値段を重視することが、話し合いのなかでわかりました。

では、10代の若者のCoolの条件2位は何かというと、「ダイバーシティ溢れる商品であること」です。ダイバーシティ、多様性という言葉は日本でもよく聞かれるようになってきました。男女共同参画を語るときによく使われますね。

シェリーは「具体的にはどんな製品のどんな特性をCoolと感じるのでしょうか。ヒントは、先ほど紹介したFentyにあります。そして、Nikeが人気の理由もダイバーシティと関係があるんですね。詳しくは、次回にみんなと話し合います」と話題を次週につなげました。