スーパーチューズデー迎えたアメリカ大統領選 ニューヨークZ世代が次期大統領に求めることは?

「スーパーチューズデーを迎えた大統領選早くも佳境! アメリカZ世代が大統領候補に求める本音とは?」。「NY Future Lab」のメンバーが、アメリカ大統領選挙の最新情報をチェックし、自国の大統領に求めることを語り合いました。

「スーパーチューズデーを迎えた大統領選早くも佳境! アメリカZ世代が大統領候補に求める本音とは?」。「NY Future Lab」のメンバーが、アメリカ大統領選挙の最新情報をチェックし、自国の大統領に求めることを語り合いました。

interfmで放送中の「sensor」(パーソナリティ:Cartoon)。「NY Future Lab」では、これからの時代の主役となる「Z世代」と「ミレニアル世代」にフォーカス。アメリカの若者たちが普段何を考え、何に影響を受け、どのような性質や特徴があるのかなどについて、Z世代・ミレニアル世代評論家のシェリーめぐみが座談会形式で彼ら、彼女らの本音を引き出していきます。

3月8日(金)のテーマは、「スーパーチューズデーを迎えた大統領選早くも佳境! アメリカZ世代が大統領候補に求める本音とは?」。「NY Future Lab」のメンバーが、アメリカ大統領選挙の最新情報をチェックし、自国の大統領に求めることを語り合いました。

大統領選でトランプが有力視されている理由は?

11月のアメリカ大統領選挙に向けた民主、共和両党の候補者指名争い。3月5日(現地時間)は16州・地域で予備選と党員集会が集中する「スーパーチューズデー」でした。このままいくと、アメリカ大統領選はバイデン氏対トランプ氏の一騎打ちだと予想される展開に。最新の世論調査では、今大統領選がおこなわれた場合、僅差でトランプが勝利する数字が出ています。

ニューヨーク州の予備選は4月2日(現地時間)。もともと移民や人種的マイノリティが多いニューヨークは、伝統的にリベラル、民主党が強い州です。11月の本戦でも民主党のバイデン氏が勝つことは予想できますが、今回の選挙は以前と様子が異なるという声も。まずは、ラボメンバーに意見を聞きました。

ケンジュ:どうやら今回は、多くの人種的マイノリティが共和党に傾いているらしいんだ。バイデンではなく、トランプを支持したいと考えているみたいだよ。Instagramの動画を見たんだけど、ニューヨークの街角でインタビューして「バイデンかトランプか?」と尋ねるんだ。すると、トランプという人のほうが多かった。

メアリー:でもそれって、わざとそういう風に編集されたビデオかもよ。

ケンジュ:たしかにそうかもしれない。だけど、自分で見聞きしたことから判断すると、ニューヨークだからってみんながバイデンを支持しているわけではないと思うよ。

メアリー:まず、バイデンは国境問題に対処していないよね? そして、なぜかテキサス州知事が大勢の移民を勝手にニューヨークや他のリベラル州に送ってきているでしょう? だから、国境州でもないのに、移民が攻めて来るかのように感じているんだよ。これを利用して、バイデンを攻撃しているトランプが有利だよね。

もう1つはイスラエルとパレスチナの戦争。これはトランプに有利というより、もうみんな投票したくないんだよ。ほとんどの人は、トランプもバイデンも、おそらくパレスチナを根絶すべきだという、同じ考えを持っていると考えている。そのことにすっかり幻滅してしまっている。ということは、結局トランプ有利に働くかもね。なぜって、もしみんなが投票せずに投票率が下がれば、それは共和党有利に働くからね。

一方で、バイデンにとって有利な点はないよ。経済が上向いているといっても、まったくそう感じられないし、私たちの生活はむしろ悪化しているもんね。犯罪は減っているのに、なぜかそう感じられないし。つまり、現時点でバイデンには何もいい点がない。彼が「トランプではない」という事実、それだけがポジティブな点だと思うよ。

バイデンに対してまったく期待していないと話すラボメンバー。1月の放送でも、Z世代の若者たちがバイデンに幻滅しているという話をしました。幻滅する気持ちは年齢の問題だけでなく、イスラエルとパレスチナの紛争が長引くほど大きくなっています。

また、ラボメンバーが指摘した不法移民問題もバイデンにとって不利な状況を生み出しています。何万人という不法移民をバスでニューヨークやシカゴなどのリベラル州に一方的に送り込んでいる共和党州のテキサス州知事。

Z世代評論家のシェリーは、問題の背景について「リベラルの人たちは移民擁護なんです。(共和党州は)『だったらあなたたちがやればいいじゃない』という思いがあるのと、不法移民をあまり見ないような土地に送り込んで、『移民は怖い』というイメージを作ろうとしています」と解説します。

声が届いていない失望が“バイデン離れ”を加速させる

現職のバイデンはマイナス要因が多く、好転の兆しが見えません。圧倒的にバイデン支持だった人種的マイノリティが、共和党とトランプに傾いているのではないかとラボメンバーも推測していました。

では、どうすればニューヨークのZ世代はバイデンに投票したくなるのでしょうか? 自分たちが大統領に望むことは何か、本音を聞いてみます。

メアリー:軍事予算を減らし、社会問題対策や社会保障にお金を使ってほしい。富裕層への税金を増やし、税金逃れをする彼らを追い込むためにも、国税局の予算ももっと増やすべきだと思う。

ノエ:その通りだね。ホームレスの解決や貧困層の支援、社会問題対策や社会保障の充実など、みんながもっとも重要だと思っていることが、なぜ優先的に議論されないのか、それもちょっと変だよね。

ヒカル:僕にとって重要なのは、自分の安全だよ。銃規制をしっかりしてほしい。大規模な銃乱射事件に巻き込まれたくないからね。このあいだもオフィス近くのタイムズスクエアで銃撃があったし、スーパーボウルのあと、カンザスシティの優勝パレードでも銃撃が起きたよね。すごく身近なものに感じたよ。

ノエ:投票するほうがしないよりはいいのは明らか。だから、僕は投票したい。でもさ……バイデンは本当に人気がないんだよ。まったく魅力を感じないんだ。とはいえ、もちろんバイデンを選ぶよ。現職の大統領だからね。

民主党は、新しい候補者よりも彼を立てたほうがいい。現職が選挙に勝つ確率は、新しい候補者よりもずっと高いから。でも正直に言って、バイデンはまったく理想の候補者ではない。でも、トランプも理想的とは言い難い。バイデンのほうがトランプよりもいいと思うけれど、それほど大きな差はないよ。

ヒカル:知ってる? ミシェル・オバマが大統領選に立候補するという噂もあるんだよ。

ノエ:そうなったら民主党支持者の多くは即座にバイデンではなく彼女を支持するだろうね。

バラク・オバマの妻で、アメリカ合衆国史上初のアフリカ系アメリカ人のファーストレディであるミシェル・オバマ。彼女が立候補するのではないかと荒唐無稽な噂が飛び交うほど、選挙戦は混迷を極めています。

ラボのZ世代が大統領に求めることは、軍事予算の削減、社会問題の解決や社会保障の充実、銃規制の強化、税金逃れの取り締まり強化など。いずれも主に民主党支持者が求めるリベラルな考え方ですが、アメリカZ世代はリベラル寄りの人が多いです。

Z世代の半数近くは人種的マイノリティというダイバーシティ溢れる世代。弱い立場の人を大切にする政治を重視し、前の世代よりも政治的な行動力があり、投票率も高いです。そんな若者票は、2020年にバイデンを当選に導いた要因の1つと言えます。

ところが、Z世代が聞きたかった声明やメッセージが、民主党からもバイデンからもいまだに聞こえてきません。自分たちの声がまったく届いていないことが、彼らの幻滅感を増幅させているのは間違いないでしょう。シェリーは「(苦しい現状を)しょうがないと思ってはダメなんですよ。政治の責任ですから、バイデンさんが責められるのは仕方がないんです。日本もそういう考え方を持ったほうがいいと思います」と話し、話題を締めくくりました。