アメリカではクリスマスに教会へ行く人がほぼいないって本当?「ニューヨークZ世代の宗教離れ」を考える

「クリスマスに教会に行く? アメリカZ世代は宗教離れ?」。「NY Future Lab」のメンバーが、クリスマスの過ごし方や、Z世代の宗教に対する関心について語り合いました。

「クリスマスに教会に行く? アメリカZ世代は宗教離れ?」。「NY Future Lab」のメンバーが、クリスマスの過ごし方や、Z世代の宗教に対する関心について語り合いました。

interfmで放送中の「sensor」(パーソナリティ:Cartoon)。「NY Future Lab」では、これからの時代の主役となる「Z世代」と「ミレニアル世代」にフォーカス。アメリカの若者たちが普段何を考え、何に影響を受け、どのような性質や特徴があるのかなどについて、Z世代・ミレニアル世代評論家のシェリーめぐみが座談会形式で彼ら、彼女らの本音を引き出していきます。

12月22日(金)のテーマは、「クリスマスに教会に行く? アメリカZ世代は宗教離れ?」。「NY Future Lab」のメンバーが、クリスマスの過ごし方や、Z世代の宗教に対する関心について語り合いました。

今年もクリスマスの季節が到来しました。ニューヨークのロックフェラー・センターには恒例の巨大ツリーが点灯し、サックス・フィフス・アベニューでは3Dのホリデーライトショーを開催。ニューヨークは普段よりも華やいだ雰囲気になります。ほとんどのクリスマスイルミネーションは定番のものであり、子どもの頃を思い出させるノスタルジア(懐かしさ)をかき立てる飾りつけが街を彩ります。

アメリカのクリスマスは国民の祝日であり、多くの人は家族と過ごします。家族親戚が集う11月の感謝祭と違い、集まる規模としてはコンパクト。感謝祭と日付が近いため、クリスマスは里帰りをしない若者も多いです。

クリスマスと言えば教会のイメージがつきものですが、アメリカのZ世代は教会に行くのでしょうか? ラボメンバーにクリスマスの予定を聞きました。

メアリー:(クリスマスは)仕事をしない。それに尽きるかな。私の会社の休みはクリスマスの日だけなので、その前の金曜日に半休をとる予定。

ミクア:私は18日から1月3日まで日本にいる予定。最初は東京で友達に会い、約2日間滞在する。そのあとは弟と一緒に電車でいろんな場所を旅して、最終的にはおばあちゃんとおじいちゃんがいる広島に行くつもり。

ノエ:クリスマスは友達と一緒にディナーをすると思う。うちのアパートで鍋をやるんだ。何回かやってみて、楽しかったからね。YouTubeで見つけた「無限ごま油鍋」が僕の得意料理で、それがすごくおいしいんだよね。

シェリー:ところでみんな、クリスマスには教会に行くの?

全員:行かない。

メアリー:私は1回だけ行ったことがある。10歳くらいのときだったと思うけど、詳しいことは覚えていない。私の両親は信心深いけど、それほど極端なわけではないし。

ミクア:私はまったく信心深くないよ。両親も同じで、ほとんど教会に行かない。教会には誰かのお葬式のときくらいしか行かないんじゃないかな。父はクリスチャンとして育てられたから、若いころはよく教会に行っていたみたいだけど。私と弟は、それを受け継がなかったんだよね。ところで、キリスト教徒はクリスマスに教会で何か特別なことをやるの?

メアリー:ミサがあるよ。一緒に食事をしたり祈ったりする、と思うんだけど……。

ノエ:僕もクリスマスに教会に行ったことがないな。自分が宗教的ではないのはもちろんだけど、人ごみや混雑した場所を避けたいんだよね。キリスト教の宗教的なクリスマスの雰囲気は好きだけど。

休息、旅行、パーティーなど、さまざまなクリスマスの過ごし方が出てきましたが、ラボメンバーのなかに教会へ行く人はいませんでした。日本では初詣にお寺や神社へ行くことが一般的ですが、アメリカ人は同じような感覚でクリスマスに教会へ行きません。

Z世代評論家のシェリーは「信仰がない人にとって、教会は敷居が高い場所なんですね。宗教との触れ合い方が(日本と)違うのかなという気がします」と補足しました。

■若者たちが宗教に無関心なのはなぜ?

調査によると、アメリカ人の18歳から29歳のアメリカ人の4割近くは宗教に関心がありません。別の調査では、神を信じる人が3割というデータがある一方で、星占いを信じる人は8割という結果に。その背景には、アメリカのキリスト教徒の減少があります。

50年前には人口の9割を占めていたキリスト教徒ですが、現在は約6割ほど。そのうち、教会に足を運ぶ人は4人に1人です。Z世代が宗教に関心が薄いのは本当なのでしょうか? なぜ、アメリカの若い世代が宗教から離れていくのか、ラボメンバーに理由を聞いてみました。

ヒカル:僕はかつてクリスチャンの高校に通っていて、クリスマスにほとんどの同級生は教会に行っていたと思う。だから、若い世代が自発的に宗教的でなくなっているわけではないと思うよ。

ミクア:以前ほど宗教的でなくなっているとは思う。でも、自分の経験では周りの友達はけっこう信心深い人が多いよ。ただし、彼らはキリスト教徒ではないけれど。

ヒカル:全体として、私たちの世代は宗教的ではないかもね。ひとつ思ったのは、アメリカの人口が移民の増加によって増えているでしょう。そうすると、僕のような無神論的な国から来た人たちの数も増えているんじゃないかな。

メアリー:たぶん、個人的に使える時間が少なくなるからではないかな。私たちが宗教的ではないのは理にかなっていると思う。

ミクア:友達と話して気付いたのは、宗教が文化と強く結びついている場合は難しいということ。イスラム教のように、文化がイスラム教と非常に結びついている場合、生活と宗教を切り離すのは難しいと思う。

Z世代の視点で考えると、私たちは自分自身の意見をはっきり持ち、それを強く主張する世代でしょう。だから「親がやっているから」「周りの人が従っているから」といったような理由ではなくて、宗教に対しても自分なりの意見を持つようになったと思うんだよね。

宗教に対してさまざまな意見が飛び交う話し合いでした。キリスト教徒にとって教会はコミュニティの側面もあり、聖書の勉強や、場合によってはボランティアなどの義務も発生しますので、余裕がない人は教会から離れてしまう可能性が高いです。また、アメリカでは過去20年に移民した人の2割が無宗教なので、それも宗教離れの要因と言えます。

ミクアが「自分自身の意見を強く主張する世代」と発言したように、Z世代は宗教に関しても親や周りの影響を受けません。シェリーは「特にLGBTQや女性の権利に対する考え方などに賛同できない場合、(宗教から)離れてしまうことが多いです」とコメント。

信心深くなく、教会にも行かないなか、アメリカの若者の多くは「文化としてのクリスマス」を楽しんでいます。「ツリーを立てて、プレゼント交換をし、ノスタルジックな雰囲気を楽しむ。これって日本人と同じですよね」とシェリーは話し、話題を締めくくりました。