interfmで放送中の「sensor」(パーソナリティ:Cartoon)。「NY Future Lab」では、これからの時代の主役となる「Z世代」と「ミレニアル世代」にフォーカス。アメリカの若者たちが普段何を考え、何に影響を受け、どのような性質や特徴があるのかなどについて、Z世代・ミレニアル世代評論家のシェリーめぐみが座談会形式で彼ら、彼女らの本音を引き出していきます。
10月27日(金)のテーマは、「日米のハロウィンの違い」。「NY Future Lab」のメンバーが、ハロウィンの思い出や、日本のハロウィンとの違いを語り合いました。
ハロウィンの思い出を振り返るZ世代のメンバーたち
ヨーロッパ発祥のお祭りであるハロウィン。本来は10月31日におこなわれ、仮装をした子どもたちが近所の家を訪ね、「トリック・オア・トリート(お菓子くれないといたずらするよ)」と言ってお菓子をもらうイベントです。
日本では10月から各商業施設などで関連イベントがおこなわれ、月末近くになると仮装やコスプレをした若者が街中を散策します。
ハロウィンの本場、アメリカのZ世代はハロウィンにどんな印象を抱いているのでしょうか? 今回は、日米でのハロウィン感の違いに注目します。まずは、ラボメンバーからハロウィンの思い出を聞きました。
ケンジュ:ハロウィンは大好き。でも、ずいぶん長いこと参加してないな。
メアリー:ハロウィンっていいよね。
シャンシャン:私もハロウィンが好き。でも、もう参加していないんだよね。お菓子をもらうために大人が仮装をして街を歩くのはなんか変な感じがするし。
ミクア:ニューヨークの小学校のハロウィンは最高だと思う。まず、仮装は絶対必要。仮装なしで学校に行くわけにいかなかった。「なぜ仮装をしていないの?」って怒られちゃうんだ。
だから、ママと一緒にパーティーシティというお店に買いに行ったのを覚えている。いつもハロウィンギリギリに行くから、ものすごく混んでいたな。私はいつも変なコスチュームを着ていたかも。クモの女王みたいな仮装とか。
学校に行くと先生も子どももみんな着飾っていて、本当に楽しい雰囲気だった。コスチュームのコンテストもあったから、めちゃくちゃ派手な仮装の人もいた。「本当にそれで電車に乗って来たの!?」って驚いたりね。
それと、「ハロウィンだし危ないから」って、早く帰れたんだよね。そのあと、トリック・オア・トリーティングに行って、お菓子をたくさんもらえた。本当に最高の思い出。
ケンジュ:僕もハロウィンが好きだったな。最後にトリック・オア・トリーティングしたのは、確か15歳くらいだった。友達と高校が終わってから住宅地に行って、トリック・オア・トリーティングを楽しんだよ。
ミクア:ブルックリンでは家をクレイジーに飾る人たちがいて、地図まで用意されている。だから子どもたちは公園に集合して、地図を見ながら家々を回ってトリック・オア・トリーティングを楽しむんだよね。かっこいい家やすごいコスチュームを見ることもできた。とにかく、お菓子を集めに行くのが楽しかった。
シャンシャン:あるとき、いつものように学校を出てトリック・オア・トリーティングに行ったんだ。デリに寄ったとき、私が「トリック・オア・トリート」と言ったら、おばさんが私を上から下までジロジロ見たの。「あんたコスチュームを着ていないね。仮装していないとお菓子はもらえないよ」と言われて、私はすごく傷ついた。たしか12歳だったと思う。
仮装をしてたくさんお菓子をもらった思い出を振り返ったラボメンバーたち。ハロウィンが好きな大人も多く、オフィスでは仮装が許可されている企業も少なくありません。
また、2023年の仮装トップ5は以下のようになりました。
1位:バービー
2位:プリンセス
3位:スパイダーマン
4位:魔女
5位:妖精
ニューヨークでは毎年「ビレッジ・ハロウィン・パレード」と呼ばれる、子どもと大人たちによる仮装パレードが開催されます。ニューヨークで唯一の夜のパレードであり、50回目となる2023年の開催では、およそ5万人が参加。パレードでは200万人の見物客が集まり、ハロウィンの人気が衰え知らずであることがわかります。
人が殺到した渋谷区が来街自粛を呼びかけ
日本でも、年々ハロウィン熱が高まりを見せています。なかでも渋谷のハロウィンは知名度が高く、スクランブル交差点を埋めるハロウィンは日本好きな若者たちの注目を集めています。
Z世代のラボメンバーは、渋谷のハロウィンについてどんなことを知っているのでしょうか?
ノエ:同じアジアだからかな、去年のソウルのハロウィンの悲劇(※)を思い出してしまうんだよね。
※2022年、韓国・ソウルの梨泰院で起こった雑踏事故。ハロウィン時季の混雑のなかで群衆雪崩が起き、150人以上が命を落とした。
メアリー:酔っ払って渋谷の交差点に集まるんでしょう? ビデオで観た一番おもしろいコスチュームは金正恩(キム・ジョンウン)で、周りにボディーガードがたくさんいた。「どいて、どいて」と言いながら歩いているのがすごく面白かったな。
でも、渋谷のハロウィンに参加しているのは大人ばかりで、それが興味深い。アメリカのハロウィンだと基本、子ども向けのイベントなんだよね。だから、東京のハロウィンはカッコいいと感じる。だけど、車をひっくり返すとか、危険なこともあったって聞いたよ。だから、観光客には(ハロウィン時期の渋谷に)行かないように注意を促しているけど、誰も聞かないでしょうね。
ヒカル:渋谷区がレストランに対して酒販売の自粛を要請しているみたいな話も聞いた。結局、人に来てほしくないんだよね。渋谷はそういうことをやる場所ではないと言っているんだ。
メアリー:でも、それってすごく日本的じゃない? 日本人は誰かに言われなくても、自然に秩序を保とうとするからね。だから、渋谷のハロウィンは羽目を外してもいい唯一のイベントなんじゃない? たった1回くらい楽しませてあげればいいのに、とも思う。
だけど、もしかすると何かが起きて、この発言を撤回しなければならなくなるかもしれないけれどね。クールだし憧れているから、いつか参加してみたいなとは思っているよ。
ヒカル:そういう、君みたいな外国人が増えているから、渋谷がいろいろ禁止したがっているんじゃないかな? 楽しくて日本独特のイベントだということに、外国人が気づいて集まってくるようになったから。
メアリー:たぶん、掃除などの後片付けを手伝うとか、その費用を支払うなどして協力すれば、もっとリスペクトされるようになると思うけど。
日本に関心があるラボのメンバーは、大人たちが仮装して街を練り歩く渋谷のハロウィンが面白く見えるようです。一方で、日系アメリカ人であるノエは、人の過密度から2022年に起こったソウル梨泰院雑踏事故を彷彿とさせると指摘。人の波に押しつぶされて大勢の若者が亡くなった事故が、日本でも起こりうるのではないかと懸念しました。
2023年の渋谷駅では、「【注意】渋谷はハロウィーンイベントの会場ではありません」と書かれた巨大看板が設置され、ハロウィン期間中の路上飲酒の禁止等を呼びかけました。年々増加するハロウィン参加者により、住民や来訪者の安全確保が困難になっていた渋谷区。危機感を持った区が国内外の来街自粛を発信し、さまざまな反応がありました。
片や、アメリカ人にとってもハロウィンは楽しいだけのイベントではありません。モデレーターでZ世代評論家のシェリーは「アメリカ人にとってもハロウィンって怖い日で、ニューヨークの学校は早く終わります。仮装している人のなかに犯罪者がいるかもしれないですから。夜遅くに暗いところで仮装の人が歩いてくるのは相当怖いですよ」とコメント。
楽しいイベントである一方で、ハロウィンは危険と隣り合わせだという認識をニューヨーカーが持っていると説明します。シェリーは「ハロウィンで楽しく盛り上がるのはいいですが、危険は危険なので覚えておいたほうがいいです」と話し、節度を守ったハロウィン参加を呼びかけました。