アメリカでは「四季の味覚」を重視しない?ニューヨークのZ世代が“秋の味覚”を考察

「ニューヨークの秋の味って何?」。「NY Future Lab」のメンバーが、アメリカにおける秋の味覚や、日本との季節感の違いについて語り合いました。

「ニューヨークの秋の味って何?」。「NY Future Lab」のメンバーが、アメリカにおける秋の味覚や、日本との季節感の違いについて語り合いました。

interfmで放送中の「sensor」(パーソナリティ:Cartoon)。「NY Future Lab」では、これからの時代の主役となる「Z世代」と「ミレニアル世代」にフォーカス。アメリカの若者たちが普段何を考え、何に影響を受け、どのような性質や特徴があるのかなどについて、Z世代・ミレニアル世代評論家のシェリーめぐみが座談会形式で彼ら、彼女らの本音を引き出していきます。

10月13日(金)のテーマは、「ニューヨークの秋の味って何?」。「NY Future Lab」のメンバーが、アメリカにおける秋の味覚や、日本との季節感の違いについて語り合いました。

スタバの期間限定メニューが秋の味覚

たくさんのおいしい食べ物が旬を迎える「秋の味覚」。松茸、サンマ、栗といった秋の味覚はもちろんのこと、日本では期間限定のさまざまなお菓子も発売されます。

一方、アメリカでは日本人が楽しんでいるような秋の味覚はほとんどありません。今回のトークでは、ニューヨークのZ世代が考える秋の味覚を通じて、日本とアメリカの季節感の違いが明らかになりました。

まずは「秋の味覚」と聞いて何を思い浮かべるのか、ラボのメンバーに聞きました。

メアリー:季節のものって「パンプキンスパイスラテ」くらいしか思い浮かばない。それ以外はあんまり季節感がある食べ物ってないと思う。季節感がある国って日本だけだと思うな。

ノエ:待って、何を言っているの。ニューヨークにも四季はちゃんとあるよ。だけど、季節限定の食べ物があまり多くないのはたしかだね。僕もパンプキンスパイスラテしか思い浮かばないよ。

メアリー:アメリカにいるとわからないと思うけど、日本は四季があることで有名なんだ。どの季節も何か必ず特別なことがあって、季節感をすごく感じられるの。それに比べてこっちは、パンプキンスパイスラテ以外、季節なんてどうでもいい感じ。

ノエ:それってどういう意味? アメリカにもクリスマスとかはちゃんとあるじゃない。

シャンシャン:だけど、クリスマスは季節ではなくて祝日でしょう?

ノエ:だから、そういうのも含めて。気持ち悪い雪の天気もあれば、蒸し暑い虫が這い回る夏の天気もある。それから、えーっと。

シャンシャン:天気の話をしているんじゃないよ。

シェリー:メアリーはなんでパンプキンスパイスラテが季節限定なのか知っているの?

メアリー:秋と冬だけに登場して、それ以降は姿を消すから。パンプキンって、10月とか11月を思い浮かべるでしょ? ハロウィンのせいもあるし、収穫の季節でもあるから。

シェリー:だからパンプキンは秋の味なのね。では、ほかに何がある?

メアリー:1年中同じフルーツがあるから、何が季節の旬のものなのか(答えるのは)難しいよね。

ケンジュ:ニューヨークの季節のフルーツといえば、たぶんリンゴだと思う。秋になると人々はリンゴ狩りに行ったり、しぼりたてのリンゴジュースを楽しんだりするよね。

シャンシャン:えっ、私はリンゴ狩りに行ったことがあるけど、夏だったよ。たしか、秋と夏が混ざっていた時期かな。だから、私にとってはリンゴは夏のフルーツなのよ。

世界で見ると、リンゴの生産量が上位であるアメリカ。もっとも生産量の多いのはワシントン州であり、次いで2位がニューヨーク州です。ラボメンバーの体感では、リンゴが秋の果物というイメージはあるようですが、リンゴ生産量についての認知度は低い様子。

モデレーターでZ世代評論家のシェリーは「あまりその事実をみんな知らないんですよね。そういうことを意識していないから、ニューヨークに住んでいる人は知りません」と補足します。

ラボのメンバーが秋の味覚として挙げたパンプキンスパイスラテですが、はじまりは2003年にスターバックスが季節限定商品として発売したものです。ハロウィンの装飾にはジャック・オー・ランタン(おばけかぼちゃ)が使われますが、くり抜いたかぼちゃの中身はそのまま捨てられてしまうことも少なくありません。

かぼちゃ料理に入れるシナモンやナツメグなどのスパイスで味付けしたパンプキンスパイスラテは、スターバックス以外の店舗でも幅広く発売されていき、ニューヨークの人々に秋を感じさせる、数少ないドリンクとなっています。

日本が季節感を重視するのはなぜ?

年に数回旅行するほど日本が大好きなメアリーは、先ほどのトークで「日本は四季があることでも有名」と発言しました。続くトークでは、ラボメンバーで唯一の日本人であるヒカルを加え、日本人が四季を大事にしている理由、日本の秋の味覚について聞きました。果たして、どのような答えが返ってくるのでしょうか。

ヒカル:日本のスターバックスの秋限定メニューを調べてみたんだけど、面白いよ。リンゴのメニューには、メープル&アップルルイボスティー、カスタードアップルパイがあるんだ。

シェリー:なんでこっちはそういう季節限定メニューがないのかな?

シャンシャン:バレンタインデーやクリスマスみたいに、祝日限定のメニューはあるけど。

メアリー:なんでスタバの話ばっかりしているんだろう、私たちはほかに(秋の味覚について)知らないみたい。

シェリー:季節感のある楽しいメニューを提供する場所ってほかにもあるのかな?

メアリー:ダンキンドーナツはスタバを真似しようとしているけど、それくらいかも。

シェリー:では、日本ではどんな季節感のある食べ物があるか知ってる?

ノエ:鍋(Hot Pot)? それはすごく季節感があるよね。

ケンジュ:日本の秋のフルーツ。なんだっけ、オレンジ色の果物で……そう、柿。とてもおいしいんだ。あれも秋の味覚かな?

メアリー:ネットで読んだんだけど、日本って本当に季節を大切にする国だよね。

ヒカル:だよね。日本以外であんなに季節を大切にしている国はないと思う。日本の季節は素晴らしいと思うよ。

シェリー:なぜ、そんなに季節感を大事にすると思う?

ヒカル:日本では季節を広告のネタにできるからではないかな。季節限定商品とか。

ノエ:いや、それよりもずっと前から日本では季節ってとても詩的なものだったじゃない。日本の季節は本当にポエティック、詩的だと思うよ。これは日本の古代の歌や詩にも関係しているかもしれない。

ミクア:それに、ほかの国に比べて、日本は自然をとても大切にしていると思う。特にニューヨークと比べると。ここは本当に都会だから。日本は自然を尊重していると思うし、宗教などを通じて、多くの人が自然の神や太陽の神を崇拝していることもある。だから、季節を大切にするんじゃないかな。

アメリカZ世代には「日本人は日本だけに四季があると信じている」というジョークがありますが、季節の食べ物をあまり気にしないアメリカ人にとって、日本が季節感を強く押し出した商品を出すことに面白さを感じるのだとか。

日本人が季節感を重視する背景には、古代の自然信仰や和歌、俳句などの文化が色濃く影響しているのではないかとラボメンバーは推測。シェリーは「面白い分析でした。文化が変わるとこんなに(感じ方が)変わるんだなと、私も改めて感じました」と話題を締めくくりました。