「外国人を恐れないで」「地下鉄で避けたりしないで」アメリカのZ世代が日本人にお願いしたいこととは?

「ニューヨークのZ世代が日本人にお願いしたいこと」。「NY Future Lab」のメンバーが、日本で感じたカルチャーショックなどについて話し合いました。

「ニューヨークのZ世代が日本人にお願いしたいこと」。「NY Future Lab」のメンバーが、日本で感じたカルチャーショックなどについて話し合いました。

interfmで放送中の「sensor」(パーソナリティ:Cartoon)。「NY Future Lab」では、これからの時代の主役となる「Z世代」と「ミレニアル世代」にフォーカス。アメリカの若者たちが普段何を考え、何に影響を受け、どのような性質や特徴があるのかなどについて、Z世代・ミレニアル世代評論家のシェリーめぐみが座談会形式で彼ら、彼女らの本音を引き出していきます。

9月8日(金)のテーマは、「ニューヨークのZ世代が日本人にお願いしたいこと」。「NY Future Lab」のメンバーが、日本で感じたカルチャーショックなどについて話し合いました。

「外国人を恐れないでほしい」

日本にルーツを持つ者や、日本語を勉強している者が多い「NY Future Lab」のメンバーたち。そのなかでも、メアリーは特に日本文化が大好きで造詣が深く、多いときには年に2回日本旅行を楽しむほど。アニメやゲームの知識も豊富な彼女なのですが、以前、日本を訪れたときに気になったことがあるようです。

メアリー:日本の人たちには、「外国人に対して恐れる必要はない」っていうことをわかってほしいな。私たちにはみんな同じ血が流れていて、私たちも恐れたり、愛したり、いろいろなものを求めたりするのだから。

だから、地下鉄で避けたりしないで、みんなと同じように接してほしい。ここにいるみんなが同じ経験をしているかどうかはわからないけれど、日本の地下鉄に乗ったときに、かなり混んでいる電車だったのに、誰も私の隣に座りたがらなかった。「どうしてだろう?」って思ったの。

ケンジュ:そうなの? 日本には今、外国人がたくさんいるんじゃないの?

メアリー:うーん、でもまだみんな慣れていないような気がするんだよね。

ノエ:日本の人々に向けた僕のアドバイスは、一度国を出てみることだよ。大学生などの若者たちの多くは、留学に興味を持っていないんだ。でもね、学ばなきゃいけないんだよ。今は世界がグローバルなんだから。出て行って、学んで、世界を見て回らないと、国際的に取り残されてしまうよ。

メアリー:私は日本が大好きなアメリカ人として、なぜ彼らが世界に出たがらないのか、その理由もなんかわかるんだよね。日本はとても便利だもの。どこかに行きたいって気持ちにはならないんだよね。

ノエ:そうなんだよ。とても便利な生活ではあるけれど、多くの面で不足していることもあるよね。例えば円の価値が下がっていることが、その不足を示す一例かもしれない。30年後、日本の人々がM&Msのチョコレートを買うのに十分なお金を持っているかどうか、誰にもわからないだろう。

まあ、それはかなり大げさな話かもしれないけど、KFCのようなアメリカの企業も、いつか円の価値が下がることにより、もっと商品の値段が高くなるかもしれないしね。

ヒカル:実際もう高いしね。今は1ドル140円台だし、この円安も日本人が海外に行きづらい理由の1つだと思うよ。

国外に出る人が少ないことが、外国人に不慣れな理由なのでは? と話すラボのメンバーたち。モデレーターでZ世代評論家のシェリーは「日本だと『知らない人に話しかけてはいけない』という考えが強いですが、ニューヨークだと地下鉄などで乗り合わせた人と軽く会話を交わすことは日常的です。こうした文化の違いもあるかもしれませんね」とコメント。

さらに「異文化に飛び込んでみると発見があるので、隣の国でもいいので行ってみるといいかもしれませんね」とも付け加えました。

漫画の表現に違和感?

続いての話題は、日本が誇るマンガ文化について。日本のマンガに関してもメアリーは気になったことがあるのだそう。今回、面白い考察を聞くことができました。

メアリー:日本の問題はアニメやマンガのなかにもあると思う。オタクと呼ばれる人はアメリカにもたくさんいて、日本の文化に本当に夢中になっているけれど、そんなオタクから見ても不思議なことがある。

例えば、人々が異なる宇宙にトランスポーター(輸送機)で運ばれていくアニメがあったとするでしょう。その宇宙は、日本のルールに従って機能しているの。つまり、私たちは完全なる異世界にいるにもかかわらず、そこにまだ日本文化や常識が普通にあるというのは、本当に奇妙に感じてちょっと理解できない。多様性がないというか、アニメのなかにもそれが表れていると思う。

ノエ:面白い考察だね。外国人を描写する場合でも、例えばヨーロッパを舞台にしたマンガでも、背景や言語はまだ日本の文化で描かれている。

メアリー:あるマンガを読んでいて驚いたんだけど、男の人が異なる世界にテレポートしたとき、彼が「温泉に入ろう」って言ったんだよね。「はあーっ」とか思っちゃった。

ノエ:例えばアメリカのバスケットボール選手を描いたアニメがあるとして、そこに「後輩と先輩」というコンセプトが使われていたら変だよね。アメリカには後輩も先輩もないからさ。

これについてシェリーは「アメリカでは年齢はあまり関係なく、年齢が上か下かで態度を変えるということもありません。もちろんリスペクトはしますが、職場の上司(ボス)でもスポーツのチームメイトでも、先輩・後輩というコンセプトはありませんね」と補足。

「異世界物の作品なのに温泉が存在する」といった設定は、日本人からすれば“マンガならではの荒唐無稽な面白さ”として受け入れられますが、外国の人から見れば実に不思議に、ときには不自然に見えるポイントのようです。

こうした描写について、「なかには『外国文化を知らないのでは?』『異文化に対するリスペクトがないのでは?』と感じてしまう人もいるようです」と話すシェリー。

今回のディスカッションを振り返り、シェリーは「こうしたマンガやアニメに慣れ親しんでいると、無意識のうちに『外国の人も日本と同じような生活を普通にしている』と考えてしまいがちになるのではないか? という問題提起でもありますね」とコメントして締めくくりました。