interfmで放送中の「sensor」(パーソナリティ:Cartoon)。「NY Future Lab」では、これからの時代の主役となる「Z世代」と「ミレニアル世代」にフォーカス。アメリカの若者たちが普段何を考え、何に影響を受け、どのような性質や特徴があるのかなどについて、Z世代・ミレニアル世代評論家のシェリーめぐみが座談会形式で彼ら、彼女らの本音を引き出していきます。
6月30日(金)のテーマは、「Z世代の仕事選びの価値観について」。「NY Future Lab」のメンバーが、仕事や職場に求めることについて話し合いました。
ラボのメンバーが職場に求めるものは?
前回は「日本・アメリカのZ世代が働きたい職場ランキング」について話し合いました。日本のZ世代はどちらかといえば安定志向で、アメリカのZ世代は「高い給与」「やりがい」を求める層と安定志向の層が混在するという結果のランキングでしたが、Z世代の仕事選びの基準は他にもあるようです。
ラボのメンバーに、仕事選びの際に大切にしていることを聞いてみました。
メアリー:私が優先したいのは、ワークライフバランス。お金を稼ぐ必要があるのは理解しているけれど、健康でいられる間に、自分の人生を楽しく生きたいと思っている。肉体的・精神的にどうなってしまうんだろう……って、将来のことがとても不安だから。自分がまだ元気なうちに、やりたいことを思いっきりやりたい。週末に仕事をするのではなく、大好きな人たちと一緒に過ごしたい。それが一番かな。
ノエ:僕は仕事が楽しいものであることが第一かな。自営業であれ、会社勤めであれ、仕事は1日の時間の大半を占めることになるからね。
ミクア:情熱を持てる仕事をすること。でもこれに関しては、だんだん考えが変わってきた。もっと若かった頃は大人から「自分が情熱を注げることをやって、それでお金を稼ぎなさい」と言われて、確かにそうだと思っていたの。
でも、年齢を重ねるにつれて、それは誰にでもできることではなくて、むしろ特権なのだと気づいた。なぜなら自分や家族を養うために、ただ仕事に出かけて家に帰るだけの人もたくさんいるから。
ヒカル:僕は職場環境かな。超日本人的な言い方になっちゃうけど、意地悪な従業員や上司と付き合いたくないよね。たとえその会社が100万ドルの給与を払ってくれるとしても、そういう職場環境に置かれるのであれば、それに見合う価値があるかどうかわからない。
とある調査によると、Z世代が職場に求めることの1位は「ワークライフバランスを確保できるだけの給与が支払われること」。2位からは「キャリアを伸ばせる職場」「福利厚生」「やりがい、楽しさ」と続きますが、5位には「ダイバーシティの実現に力を入れている職場」がランクイン。
モデレーターでZ世代評論家のシェリーは「女性を含めた性的マイノリティ、人種的マイノリティ、障がいのある人などが、給与・仕事の機会を含めて公平に扱われていることを重要視しています」と、Z世代の価値観についてコメント。実際にZ世代の83%が、就職先を選ぶ際に「企業のダイバーシティ&インクルージョンへの取り組みが重要」と答えています。
多様性の実現で会社の業績もアップ
ラボのメンバーは、企業の「ダイバーシティ&インクルージョンへの取り組み」についてどう考えているのでしょうか?
ミクア:ダイバーシティもインクルージョンもすごく大事なことだと思う。雇用主が従業員をどのように扱うか、それは本当に重要なこと。なぜなら職場の居心地が悪いと、メンタルにネガティブな影響を受けてしまうから。自分がどれだけ多い給料をもらっていたとしても、気持ちが離れていって、辞めたくなってしまうと思う。
メアリー:多様性のある職場かどうかは、本当に重要だと思う。もしそうでないと、私のような女性を含めて、マイノリティがその場で歓迎されていないと感じたら、そこで働きたくなくなってしまうと思う。
そうなると、自分の意見を言う気もしなくなるし、私自身の生産性を高めることもできない。逆に多様性のある環境であれば、より多くの視点からの意見が反映されるので、全体的にとても良いことだと思う。
ヒカル:今の日本の企業には多様性があるのかなぁ。女性のCEOが誕生したとか、女性社員を増やすとか言っているけれど、職場にもっといろいろな人がいて、オープンな機会があって、どんな人でも平等に仕事につけるような環境でないといけないと思う。
もしそうでなかったら、その会社は滅びてしまうよね。今、ダイバーシティは企業として必須と考えられているから。もしそれがなければ、世間からの評判が悪くなってしまうし、人々がどんな反応を示すかわからないよ。消費者は本当に正直だから。特定のアイテムをどの会社から選ぶか、買うかにも関わってくると思う。
Z世代の75%が、広告などで特定の人種やセクシュアリティを差別するようなブランドをボイコットすると答えています。逆に同じ商品を扱っていたとしても、ダイバーシティのある会社から購入したいという人も多く、人種的に多様な経営陣を持つ企業は、同業他社よりも33%高い業績を上げる可能性があるというデータも存在します。
シェリーは「多様性の実現は切実な問題でもありますが、会社にとってはビジネスチャンスでもあります。大企業では差別のない職場を目指し、かなりの予算を使って社員の教育・雇用の改善などに力を入れています」とコメントしました。
ちなみに先日、世界経済フォーラムが発表した「ジェンダーギャップ指数」(男女の格差指数)では、世界146ヵ国のうち、日本は過去最低の125位に下落するという結果に。
シェリーは「日本も頑張っているのですが、世界はより男女の格差是正に力を入れています。そう考えると、日本はまだ努力が足りていないのかもしれませんね」とコメントし、話題を締めくくりました。