アメリカのZ世代にも安定志向の傾向が?「Z世代が就職したい会社ランキング」のトップ10について、Z世代が思うこと

「アメリカのZ世代が働きたい職場」。「NY Future Lab」のメンバーが、Z世代に人気の職場・自分たちが働いてみたい会社についてトークしました

「アメリカのZ世代が働きたい職場」。「NY Future Lab」のメンバーが、Z世代に人気の職場・自分たちが働いてみたい会社についてトークしました

interfmで放送中の「sensor」(パーソナリティ:Cartoon)。「NY Future Lab」では、これからの時代の主役となる「Z世代」と「ミレニアル世代」にフォーカス。アメリカの若者たちが普段何を考え、何に影響を受け、どのような性質や特徴があるのかなどについて、Z世代・ミレニアル世代評論家のシェリーめぐみが座談会形式で彼ら、彼女らの本音を引き出していきます。

6月23日(金)のテーマは、「アメリカのZ世代が働きたい職場」。「NY Future Lab」のメンバーが、Z世代に人気の職場・自分たちが働いてみたい会社についてトークしました。

アメリカのZ世代が「就職したい会社」はどこ?

企業の与信管理にかかわるサービスを提供するリスクモンスター株式会社が、日本の大学生を対象に「就職したい企業・業種」をアンケート調査し、第9回「就職したい企業・業種ランキング」を発表しました。その結果によると、日本の大学生が希望する企業・業種の第1位は「地方公務員」、2位は「国家公務員」、3位は「パナソニック、日本航空(JAL)」(同率3位)とのこと。

ちなみにアメリカの大学生と、大学を卒業したばかりのアメリカのZ世代を対象にした調査によると、彼らが働きたいと思っている職場のトップ10は以下のような結果になりました。

1.Google: 16%

2.The federal government(連邦政府): 6%

3.Apple: 5%

4.Disney: 2.2%

5.NASA: 2.1%

6.Amazon: 2%

7.Microsoft: 1.8%

8.Tesla: 1.6%

9.Patagonia, Pfizer, Spotify: 1% (tie)

起業家志向の人が多く、ITやエンジニア系の職を目指す人が多い……という一般的なZ世代のイメージとは違い、2位に連邦政府(国家公務員)が入るという結果に。このランキングについて、ラボのメンバーはどう感じたのでしょうか?

ヒカル:2位が連邦政府ってなぜ? 日本の若者が公務員になりたいのと同じってこと? まあ、制度は違うとは思うけれど、健康保険などを含めた福利厚生はいいんだろうな。でもアメリカは最近、債務上限を超えてデフォルトになったら、連邦政府職員の給与が払えなくなるとかで大騒ぎしていたでしょう? なぜ連邦政府がいいのか、やはりよくわからないなあ。

ノエ:若者の仕事に対する優先順位が、「(会社に入って)何かを変える」という目的よりも、福利厚生みたいなところにあるのかもね。それともう1つの理由は、働くことで連邦政府に影響を与えたいというのもあるんじゃないかな。

メアリー:9位のSpotifyは、若い社員でいっぱいだって聞いたことがある。私の父の元同僚が転職してSpotifyに行ったんだけど、父のような年齢の人が、私のような若者と働かなければならないって、ちょっと嫌じゃないかな? って思った。同じく9位にランクインしているパタゴニアは、社会貢献する会社として知られているよね。

ノエ:パタゴニアのCEOは、全ての利益を気候変動対策に使うために、会社をほぼ100%近く寄付してしまったんだよね(同社の発行済み株式の全てを環境NPOなどに寄付)。

メアリー:Googleが1位というのは理解できるかな。巨大企業の1つだしね。でもストレスが多い職場で、人の入れ替わりが激しいことでも知られているよね。キャンパス内にお店などがいろいろあって、スクーターで移動できて、オフィスの外に行かなくてもいいというのがウリだけど、それって結局社員を常に職場にいさせて、もっと利益を上げようということでもあるよね。

モデレーターでZ世代評論家のシェリーは「コロナ禍、気候変動問題、戦争の勃発など、ここ数年でおこったことによって、アメリカの若い世代は『この先の未来が不透明』という思いを抱えている人も多いです。そのために安定志向になっているのかもしれません」と、ランキングの結果についてコメントしました。

高給は魅力、その一方で“自分を犠牲にする働き方”への疑問も

一方で、9位に入っているファッション企業「パタゴニア」は、環境破壊と戦う企業として世界的に有名です。いち早く自社製品の古着リサイクルに乗り出したほか、売り上げの1パーセントを「地球税」として自然環境保護団体に寄付するなどのアクションは、他のブランドにも大きな影響を与えました。

2022年にはオーナーが会社の所有権を手放し、その資産価値約4千億円の98%を、環境問題に取り組む非営利団体に譲ると発表したのも記憶に新しい話です。

パタゴニアは「社会にいいことをしている会社ランキング」のトップに選出されていますが、働きたい会社ランキングではトップではありません。Z世代は社会貢献をする企業で働きたがる人が多いと言われていますが、実際のところはどうなのでしょうか? ラボのメンバーに聞いてみました。

メアリー:ディズニーも人気があるよね。ディズニーで働きたい人は、「ピクサーで仕事をしたい」とか「スター・ウォーズの映画を手掛けたい」とか、まさに自分の夢を叶えることが目的だよね。

でも実際にディズニーで働いた知り合いは、働き始めるとみんな幻滅してしまうって言っていた。結局は利益優先の大企業だと気づいてしまうから。

それにしても、テスラの順位が低くてよかったわ。(同じくイーロン・マスクが手がける宇宙開発企業の)Space Xも入ってないし。Space Xもかなりクレイジーだと聞いているわ。

あそこで働いている人は、とにかく会社が目指している夢を共有しているから、とにかくものすごく働くの。でもそこまで自分を犠牲にして、会社のために働くってどうなの? と思ってしまうけど。

ヒカル:要するに、会社は社員のやる気を利用しているわけだよね。その会社のビジネスに貢献したいという気持ちを。会社は社員がやりたいことをやらせてあげている。そして高い給与も払っているんだから、「めでたし、めでたし」ってことじゃないの。

ミクア:周りにいるコンピューターサイエンスやエンジニア専攻の学生は、みんなGoogle、ディズニー、NASA、マイクロソフトでインターンをやって、そのまま入社している。

私の高校の友達がマサチューセッツ工科大学に入って、NASAで働いているけれど、入社時からとにかくものすごく給与がいいみたい。私が会社で働くとしたら、ディズニーかNASAで働きたいと思う。

以前の番組でも話題に挙がりましたが、アメリカのIT企業・コンピューターサイエンス分野の企業には、新卒入社でも年収1,000万円を超える企業もあります。高い給与は魅力である一方で、「いくら高い給料をもらえるとはいえ、自分を犠牲にするような働き方はいかがなものか」と感じる層も一定数いるようです。

シェリーは「日本もアメリカも、Z世代が魅力を感じる業種は、『1位:公的機関』『2位:IT・情報通信』と似通っています。今回は『Z世代が就職したい会社ランキング』を取り上げましたが、実は彼らが職場に求めているのは、やりがいや給与だけではないようです。それについては、また次回取り上げたいと思います」とコメントして、話題を締めくくりました。