海外旅行に積極的なアメリカZ世代、消極的な日本人… その理由はなぜ?

「日本に押し寄せるアメリカZ世代と、海外旅行をしない日本人」。「NY Future Lab」のメンバーが、日米の旅行観の違いについて話し合いました

「日本に押し寄せるアメリカZ世代と、海外旅行をしない日本人」。「NY Future Lab」のメンバーが、日米の旅行観の違いについて話し合いました

interfmで放送中の「sensor」(パーソナリティ:Cartoon)。「NY Future Lab」では、これからの時代の主役となる「Z世代」と「ミレニアル世代」にフォーカス。アメリカの若者たちが普段何を考え、何に影響を受け、どのような性質や特徴があるのかなどについて、Z世代・ミレニアル世代評論家のシェリーめぐみが座談会形式で彼ら、彼女らの本音を引き出していきます。

4月28日(金)のテーマは、「日本に押し寄せるアメリカZ世代と、海外旅行をしない日本人」。「NY Future Lab」のメンバーが、日米の旅行観の違いについて話し合いました。

ドル高、グローバル化が旅行マインドを後押し

日本ではゴールデンウィークがスタート。コロナ禍の終息ムードも漂い、旅行に出かける人が増えただけではなく、観光地では海外からの観光客を見かける機会もかなり増えてきました。

アメリカのZ世代は海外旅行が大好きで、その傾向はパスポートの取得率にも表れています。モデレーターでZ世代評論家のシェリーは「20年前のアメリカ人のパスポート取得率はおよそ2割でしたが、現在では4割を超えています。若者の影響が大きいと考えられています」とコメントします。

パンデミックも終わり、旅行もしやすくなってきた今、ラボのメンバーたちはどのような思いでいるのでしょうか?

ノエ:この2年間、旅行したくてもできなかったからね。「さあ旅行してもいいですよ!」ってなったら、「もう行かなきゃ!」って思った人が多いのでは?

シャンシャン:私の周りでは日本に行く友達がすごく多いの。みんなが(日本に)行っていると言っても大袈裟でないくらい。「私も行きたいなー、航空券いくら?」って聞いてみたら、びっくりするくらい高いの。「学生なのになんで買えるの?」と尋ねたら「コロナのおかげだよ」と言っていた。

ヒカル:ドルが強いからってこと?

ノエ:それも大きいよね。ドルが強いから、日本や他の外国への旅行は割安になる。でもそれは理由の1つだと思うよ。最大の理由はグローバル化、今や世界はグローバルな1つの社会だからね。4〜50年前は、アメリカ人はアメリカで働き、アメリカで作られたコンテンツを消費してきた。

でも今ではグローバル化の世の中で、多くのみんなが留学して、その国のことをインスタにどんどん上げて、周りがそれを見て「パリに友だちがいるから」とパリに旅行したりする。こうやって作られたネットワークでみんなが影響を受けて、外国語を勉強したり、それこそアニメを観たりして、日本のどこに行くかを決めたりする。世界の全てがつながっていて、お互いに影響しあっている。アニメもYouTubeもそのネットワークの一部だと思う。

「アメリカ人が日本に旅行する際に、『アニメの舞台となった場所に行きたい』というのが旅行先を選ぶ理由となるのがもう普通ですよね」とコメントしたシェリー。それくらい、Z世代の間では海外旅行へのハードルが下がっているとも話しました。

一方で日本は、海外旅行をしなくなってきている?

一方で、日本人が海外旅行をしなくなってきているという話も。1970年~80年にかけて旅行者数は激増していたものの、90年代半ば以降は伸びていません。現に日本のパスポート取得率は19パーセントと、20年前のアメリカと同水準です。

この理由について、ラボのメンバーが話し合いました。

シャンシャン:それって、他の国に魅力が感じられないからってことなのかな? アメリカとかイタリアに行きたいって気持ちにならないってことだよね。

ヒカル:当たっている部分もあると思うけれど、最大の理由は、海外に行くお金がないってことじゃないかな。例えば今はすごい円安だよね。でも2008年頃を振り返ると、今とは逆で1ドル=80円前後で円がとても強かった。だから「ハワイに行こう、グアムに行こう」ってなっていたのではないかな?

ところが、かつての円高時代に比べて、今は海外で何をするにも3割くらい割高になってしまっている。それだけではなく、日本のサラリーマンの給与は30年間変わっていないんだって。円がどんどん安くなって給料は上がらないのに、インフレがひどいんだ。

メアリー:日本人が海外に行かない理由を挙げるとしたら、外国に行かなくても国内で十分楽しめるってことではないかな。北海道に行けばスイスのような山があり、東京はニューヨークみたいだし、ハワイでなくても沖縄がある。とりあえず1箇所選べば、十分楽しめる。

ノエ:それは、たくさんの人が日本に行くのとも関係あるよね。西洋人にとって、日本はメロウ(穏やかな、やさしい)な西洋だと思うんだ。隣の中国は共産主義だし、中国人に差別的な感情を持っているアメリカ人もいるしね。それに加えてSNSでは日本の食べ物や温泉やら、西洋とは違うけれどクールなもので溢れている。それが日本人のイメージをよくしていると思うよ。

Z世代に限っていえば、4割の人は「海外旅行をしたい」という気持ちがあるものの、海外旅行を尻込みしてしまう理由として「治安が心配」というものが挙げられるそう。シェリーは「確かに日本ほど安全な国はないと思いますし、安全だからこその悩みなのかもしれませんね」と話し、話題を締めくくりました。