投資情報はTikTokやYouTubeから!? アメリカZ世代の“高い金融リテラシー”はどう身についた?

「テクノロジーと不安が生み出す、Z世代の鋭い金銭感覚について」。「NY Future Lab」のメンバーたちが、お金や投資などについて話し合いました。

「テクノロジーと不安が生み出す、Z世代の鋭い金銭感覚について」。「NY Future Lab」のメンバーたちが、お金や投資などについて話し合いました。

interfmで放送中の「sensor」(パーソナリティ:Cartoon)。「NY Future Lab」では、これからの時代の主役となる「Z世代」と「ミレニアル世代」にフォーカス。アメリカの若者たちが普段何を考え、何に影響を受け、どのような性質や特徴があるのかなどについて、Z世代・ミレニアル世代評論家のシェリーめぐみが座談会形式で彼ら、彼女らの本音を引き出していきます。

4月21日(金)のテーマは、「テクノロジーと不安が生み出す、Z世代の鋭い金銭感覚について」。「NY Future Lab」のメンバーたちが、お金や投資などについて話し合いました。

TikTokやYouTubeで投資を学ぶのが当たり前?

とある調査によると、アメリカのZ世代の4~5割はYouTubeやTikTokなどからお金に関する情報を得ているそう。モデレーターでZ世代評論家のシェリーによると、アメリカでは金融系の情報を発信するTikTokインフルエンサーやTikTokコンテンツを表す言葉として、Finance(金融)とTikTokを掛け合わせた「FinTok」というものが使われているのだとか。

日本のZ世代も同じく、4割ほどの人がTikTokから投資情報を得ているというデータもあります。今回はラボのメンバーに、お金の情報をどこから学んでいるのかをまず聞いてみました。

ノエ:今は本当になんでもTikTokだよね。

シャンシャン:今やTikTokはみんなの金融アドバイザー。

メアリー:私も一時期、株にすごく興味を持ったことがあるんだ。株が買いどきみたいなタイミングで、TikTokでそういう金融系のアカウントを見つけて、その人のYouTubeもフォローしたの。

その人は株の動きの分析と、どんな株を買えばいいのか、みたいなことを教えてくれていた。TikTokにたくさんいる金融関係者の1人だったと思う。

シェリー:今も投資に興味はあるの?

メアリー:もう少し時間があればやりたいとは思うけれど……。

シャンシャン:TikTokはあまり参考にならないと思う。とにかく「将来のために投資しろ、投資しろ」って掛け声ばかりがすごくて。

メアリー:ネットで今、「ランボルギーニを買え!」というアカウントが話題になっているよ。いわゆる肉食系男子タイプのグループがやっていて、「24歳までにランボルギーニを買えなかったら、君には何かしらの問題があるから、一度自分の内面と向き合ったほうがいい」って話している内容のやつ。

シャンシャン:なんかそういうのって悲しいよね。私もこの間、インスタでインフルエンサーのビデオを観ていたの。名前は忘れちゃったけど、彼女は20歳でマイホームを買ったことを自慢しているんだよね。「16歳のときに3つも仕事を掛け持ちしたから家が買えた」とか言っていた。

でも実際にはインフルエンサーやセレブって、私たちとは桁違いのお金を稼いでいる。スポンサーとか企業からお金をもらってね。だからそういうのが金融リテラシーがあるという意味ではないと思う。今は家を買うことよりも、学校に行くのにお金を使うべきでは?

全人口の半分が投資をしているなかで、Z世代も4割近くが投資をしているアメリカ。若い人でも簡単に投資ができるアプリなどもありますが、「どう投資をすべきか」については学校では学べないため、ソーシャルメディアに頼らざるを得ない状況があるとも言えます。

経済不安から「お金について考えざるを得ない」

今の大人世代と比較して、Z世代はお金について考える機会が多いのは間違いなさそうです。ラボのメンバーたちに、投資やマネーリテラシーについてどう考えているのか聞いてみました。

ミクア:私もちょっと投資を考えたことはあるけれど、今は学校に通っているから無理。お金があったら投資をするよりも、学費に回さなければいけないからね。周りのみんなも同じかな。でも、Z世代が前の世代よりも、金融リテラシーが高いというのはなんとなくわかる。

その1つの理由として、昔よりもずっと簡単にお金が稼げるというのもあるのではないかな。特にソーシャルメディアで稼いでいる友達は周りにはたくさんいるし。

メアリー:確かに簡単に稼ごうと思えば稼げると思う。例えばAmazonで何が売れているかの分析を見て、同じようなデザインのものを作って、画像も300円とかの安いストック写真を使えばいい。ドロップ・シッピング(在庫を持たずに商品をネットで販売する手法)で儲けた人も知っている。

アリババ(中国のネット通販サイト)で商品を大量に買って、利益をのせてAmazonで売るとか。あまり歓迎されないかもしれないけれど、AIを使って書いた小説をネットで売るという手段もあるね。

シャンシャン:そういう人っているよね。クリエイティブなアイデアは全然ないのに、ファン・アカウントで自分の写真を売る人とか。それにしても、例の「ランボルギーニを買え」というアカウント、本当にムカつく。そういうことを言う人って、お金が空から降ってくると思っているんじゃない?

今はこんなにホームレスが増えていて、経済も全然良くなっていないのに。ランボルギーニを買っても儲かるのは車の会社だけで、他の誰も助けることにはならない。

メアリー:確かに今って、かなり先までお金のことを考えなければならないかもしれない。今の大人世代が若かった頃は、何年かアルバイトをすれば大学の授業料が払えて、卒業して働けば家が買えた。でも今ではそうはいかない。普通に働いていたら家も買えない。だから私たち若者も、毎日お金のことを考えて暮らしていかなければならない。

「経済状況があまりよくないから、お金のことを考えざるを得ないのかもしれませんね」とコメントしたシェリー。Z世代の4割が1万円以下の貯金額しかないというデータもあり、この世代は生活費や学費の支払いに追われて貯蓄ができていないことも読み取れます。

「アメリカでは奨学金の返済に追われ、家を買えない・子育てができない人がいるというのが社会問題になっています。日本のZ世代も親世代と比べて、お金の不安を感じる時期が20年ほど早いというデータもありますし、日本も他人事ではないと思います。日本もアメリカの真似や後追いにならないように、真剣に考えていかなければならないことですよね」と、シェリーは話題を締めくくりました。