人間の仕事を奪う? 話題の言語AIモデル「ChatGPT」 Z世代はどう活用している?

アメリカの若者たちが普段何を考え、何に影響を受け、どのような性質や特徴があるのかなどについて、Z世代・ミレニアル世代評論家のシェリーめぐみが座談会形式で彼ら、彼女らの本音を引き出していきます

アメリカの若者たちが普段何を考え、何に影響を受け、どのような性質や特徴があるのかなどについて、Z世代・ミレニアル世代評論家のシェリーめぐみが座談会形式で彼ら、彼女らの本音を引き出していきます

interfmで放送中の「sensor」(パーソナリティ:Cartoon)。「NY Future Lab」では、これからの時代の主役となる「Z世代」と「ミレニアル世代」にフォーカス。アメリカの若者たちが普段何を考え、何に影響を受け、どのような性質や特徴があるのかなどについて、Z世代・ミレニアル世代評論家のシェリーめぐみが座談会形式で彼ら、彼女らの本音を引き出していきます。

4月7日(金)のテーマは、「ChatGPTについて」。話題の対話型AIシステムについて、「NY Future Lab」のメンバーたちが意見を交わしました。

話題の対話型AI「ChatGPT」、どう使っている?

Open AIという企業が無料で公開している言語AIモデルの「ChatGPT」。巨大なデータに基づき、文章を自動で生成できるチャットボットです。現在のバージョンは2020年6月にリリースされ、すでに世界では1億人もの人々が利用しています。

さらに話題を呼んでいるのが、先月リリースされたばかりの進化版「GPT-4」(現在は有料版のみ、限定的に利用可能)。あまりにも性能がいいため「近い将来、人間の仕事を奪ってしまうのでは?」という懸念の声もあり、イタリアは国家として初めて「ChatGPT」の使用を一時禁止したほどです。

ラボのメンバーは「ChatGPT」について、どのように考えているのでしょうか? 早速、インタビューをしてみることに。

メアリー:私は使っていないけど、私の周りはみんな使っているかな。友達の1人はプログラムのコーディングがうまくいかないときに、ChatGPTにどこが間違っているかを聞いて、助けてもらっている。他の友達は、ただ話を聞いてもらったりしているみたい。まるでセラピストみたいな感じで。

シャンシャン:私の友達はみんな課題をやるのに使っている。小論文を書くのにChatGPTにテーマを入れると、ちゃんと書いてくれるからね。でも私は怖いから使っていない。私の専攻課目の教授が、学期の最初に「君たちがChatGPTを使っているのは知っているよ。でもこちらには、(提出した)論文が自分で書いたものか、AIによるものなのかを見わけられるソフトがあるんだ」と言っていたの。もしChatGPTを使って論文を書いたことがバレたら、それは盗作と判断するとも言われた。

ヒカル:少し前にバイラル化したビデオがあるよね。どこかの学校で、生徒の半分がChatGPTを使って小論文を書いていることがバレて、先生に「期末試験は50ページの長い論文にする」と言われてしまったやつ。もちろんChatGPTを使ったのがバレたら、その時点で落第ってことなんだけど。

ノエ:それでもChatGPTは未来のツールだと思うな。使ったほうがいいし、知っていたほうがいいよ。すごく役に立つから。結局、使い方にもよるんじゃないかな。Google感覚で使えばいいと思うし、論文を書くときにもうまく利用すれば、とてもいいヒントをくれるしね。

ChatGPTの答えが間違っていることもあるよ。でもそれは質問の仕方にもよるかな。自分が何を探しているのかがわかっていれば、正しい方向を示してくれることが多いよ。そこがいいところかな。

文章を書く際にとても便利なChatGPTですが、現在のモデルがリリースされた2020年以降の情報のデータは少なく、最近の話題については網羅していません。そのため質問を投げかけても、間違った情報をそれらしく答えてしまう……というデメリットも。

モデレーターでZ世代評論家のシェリーは「私もChatGPTに質問をした際に『情報の元となった記事のURLを教えてください』と聞いてみたら、それらしい記事タイトルとURLを教えてくれたのですが、それは存在しないリンクだったんです」とコメント。裏付けのないフェイクの情報を提示されてしまったことがあると話しました。

テックリーダーから「開発を一時中断すべき」との提言が…

ChatGPTについて「実際に使ってみて、どんなものなのかを知っておくほうがいい」とコメントしていたノエ。自分も課題のリサーチなどに使っていると話しますが、具体的にはどう利用するつもりなのでしょうか?

ノエ:論文を全部ChatGPTに書いてもらうみたいな使い方をするつもりはないよ。でもどんなテーマで調べれば面白いか、研究テーマの方向性を示してもらうことはある。ChatGPTが教えてくれたことの裏を取りながら、研究が進められる。ときには驚くような答えを返してくれることもあるんだ。

例えば、論文のためにある本を400ページも読んだ。アニメ論の本で、そのなかで宮崎駿が「自分の作品をアニメと呼ばれたくない。『漫画映画』など、もっと別の呼び方をされたい」と言っているページがあって。

そのページがどこだったのか、そして彼が使っていた「漫画映画」という言葉が思い出せなかったので、ChatGPTに聞いてみたんだ。すると400ページの本をすぐに読んで、どこに何が書いてあったのかを教えてくれたんだよね。これはGoogleではとても調べられないと思ったよ。

ミクア:私もChatGPTはすごく役に立つと思う。私は学校でヒップホップについての講義を取っているけれど、中間試験は自分のオリジナルのラップ歌詞を書くというものだったの。途中まで書いたんだけど、行き詰まって書けなくなってしまったのね。

そのときに友達が「ChatGPTに聞いてみたら?」と言うので、「自慢できるようなラップの歌詞を教えて!」と頼んでみたら、素晴らしい歌詞を書いてくれた。それをそのまま使うつもりはなかったけど、あまりにもよくて、「ああ、ここでこういう言葉を使えばいいんだ!」というインスピレーションがたくさん湧いてきた。

ChatGPTはあまりにも有能なため、このままのスピードでAIが進化したとしたら「人間の仕事が奪われるのでは?」「間違った情報が、さも本当かのように広がってしまうのでは?」など、人間生活に悪い影響を与えてしまうかもしれないという声も上がっています。

先日もOpen AIの共同創立者であるイーロン・マスクをはじめ、Appleの共同創立者・スティーブ・ウォズニアックらを含むテックリーダー1,000人が「AIのリスクを考えずに、商業的な利益だけを考えて開発するのは危険。開発を一時中断すべき」という声明を出しました。

シェリーは「この声明は警鐘にはなったと思いますが、資本主義国のアメリカなので、実際にAI開発が中断される可能性は低いのでは」と語りつつも、「ラボのメンバーの意見としては『知らない・使ったことがないよりは、使ってみてどこがどう優れているのか・どういう問題があるのを知ったほうがいい』という意見でした」と、ディスカッションを総括してコメントしました。