「女子力」と「ガール・パワー」の違いって何? 「女子力がある」はポジティブな言葉? アメリカのZ世代が感じたこととは?

「日本の“女子力”とアメリカの“ガール・パワー”の違いについて」。「NY Future Lab」のメンバーたちが、日本語の「女子力」という言葉の意味について語り合いました

「日本の“女子力”とアメリカの“ガール・パワー”の違いについて」。「NY Future Lab」のメンバーたちが、日本語の「女子力」という言葉の意味について語り合いました

interfmで放送中の「sensor」(パーソナリティ:Cartoon)。「NY Future Lab」では、これからの時代の主役となる「Z世代」と「ミレニアル世代」にフォーカス。アメリカの若者たちが普段何を考え、何に影響を受け、どのような性質や特徴があるのかなどについて、Z世代・ミレニアル世代評論家のシェリーめぐみが座談会形式で彼ら、彼女らの本音を引き出していきます。

3月24日(金)のテーマは、「日本の“女子力”とアメリカの“ガール・パワー”の違いについて」。「NY Future Lab」のメンバーたちが、日本語の「女子力」という言葉の意味について語り合いました。

「女子力」と「ガール・パワー」の違いって?

3月8日は、国際女性デー。アメリカでは3月が「Women’s History Month(女性史月間)」と定められており、歴史上における女性の貢献などについて人々が学ぶ期間です。

そうしたこともあり、今回のディスカッションのテーマは「ガール・パワー」。直訳すれば「女子力」ですが、日本語における「女子力」とアメリカの「ガール・パワー」は意味が異なっているようで、まずはラボのメンバーたちにそれぞれの言葉について考えてもらいました。

メアリー:「女子力」と「ガール・パワー」は同じ意味じゃないの? ちょっとわからないな。

ノエ:説明するね。ガール・パワーは直訳すると女子力だけど、意味合いが違うんだ。「女子力」というのは「女性特有」、または社会のなかで「女らしい」と考えられる全てのことを含む言葉で、それがうまくできると「女子力が高い」と言われるんだ。

例えば料理は女性の仕事で、女らしいものと考えられているから、料理がうまいと「女子力が高い=女性の良い資質を持っている」と言うんだよ。例えば僕のボトムスが破れたとして、それを自分で縫い合わせたら、女子力が高いと言われる。裁縫は女性の仕事と考えられているから。

メアリー:アメリカのガール・パワーは、いわゆる女性特有のことができる能力ではないよね。「ガール・パワー」があるのは、自分の人生を自分で決める強い人のことで、独立していて、男性を必要としない人だと思う。

ノエ:要するにそういうガール・パワーは、アメリカではとてもポジティブなものとして捉えられているということだよ。一方で日本では、女性がキッチンにいるのがポジティブなことだから、「女子力」も意味合いとしてはポジティブなものになるのではないかな。

ヒカル:女子力は別に「女性は家にいるものだ、キッチンにいるべきだ」と言っているわけではないよ。それに料理ができる男のことを「女子力が高い」とは言わないんじゃないの?

そうではなくて、例えば真冬の寒い日に外にいて、ものすごく乾燥しているときに、男がハンドクリームを持っていたら「お前、女子力が高いな」とか言うんだ。そういう小さなこと、気遣いみたいなことではないかな

モデレーターでZ世代評論家のシェリーは、「『伝統的に女性らしいとされる能力を持つ』や『小さな気遣いができる』ことが女子力だという意見が出ましたが、結局どちらも同じように思えます。料理上手で身だしなみにも気を遣って……ということで、よく言われる言葉だと“理想の母親像”ということなのでは?」とコメントしました。

「良い母親になりそう」という素質・性質が「女子力」という言葉に変換されているのでは? とも分析しました。

男女の役割を破壊するのが「ガール・パワー」

「いわゆる男らしくありつつ、女性らしい行為もできる男性は『女子力がある』と称されるのかな? でもそれって、結局男女の役割に適応しているように聞こえるな」と発言したメアリー。アメリカの「ガール・パワー」は、もっと違った意味合いがあるのだとコメントします。

メアリー:アメリカのガール・パワーはそうではなく、女性が(組織の)ボスになったり、男女の役割そのものを壊したりすることなんだよね。日本の女子力は逆に、男女の役割はそのままで、そこにはめこもうとしているようにも聞こえる。

ノエ:アメリカのガール・パワーは、伝統的に女性のものではなく、男のものだった仕事や行動を(女性が)することなんだよね。でもそれが男らしいこととは限らない。これまで女性はやらなかったけれど、女性がやったとしても素晴らしいという意味なんだ。でも日本では逆に、伝統的な女性らしい行動をすることが、良いことと考えられているんじゃないかな。

ヒカル:正直、女子力ってポジティブなものだと思っているんだけどね。

ノエ:そうなんだよ。ここで見えてくるのは、日本ではあらゆることが「男のもの・女のもの」という風に分かれていることだと思うんだ。例えばアメリカ人は、スキンケアが「女らしい」とか「男らしい」とかは考えないよね。

でも日本では、ハンドクリームを持っているとか、ティッシュをあげるみたいな小さなことが「おー、女子力!」という風に見られるんだよ。30年くらい前までは、アメリカもそうだったよね。

ミクア:私たちの世代からすれば、大昔に感じられるわ。

ノエ:興味深いね。日本では「女らしさ」「男らしさ」をロマンとして捉えている部分があるんじゃないかな。男らしいジェントルマンとフェミニンな女性みたいなものを。

アメリカでも30年前までは「女性はキッチンにいるもの」といったステレオタイプは存在していましたが、「Z世代の間では伝統的に言われる男女の役割が薄れている」と解説したシェリー。その背景にはジェンダーやLGBTQへの理解の浸透もあるとコメントしました。