interfmで放送中の「sensor」(パーソナリティ:Cartoon)。「NY Future Lab」では、これからの時代の主役となる「Z世代」と「ミレニアル世代」にフォーカス。アメリカの若者たちが普段何を考え、何に影響を受け、どのような性質や特徴があるのかなどについて、Z世代・ミレニアル世代評論家のシェリーめぐみが座談会形式で彼ら、彼女らの本音を引き出していきます。
3月3日(金)のテーマは、「Z世代のセックス観について」。日本の若者の恋愛やセックスに対する考えについて、とある調査結果をもとに「NY Future Lab」のメンバーたちが意見を交わしました。
約48パーセントが性的経験なし
日本ではセルフプレジャーグッズのブランド・TENGAが調査した、Z世代の恋愛観・セックス観についてのアンケート結果が話題になりました。18歳から26歳の全国の男性2,000人を対象に行った性生活・性意識の調査結果によると、Z世代の47.3%は「セックスの経験がない」そう。
ちなみに他の世代が同年齢だったときの未経験の数と比べてみると、ミレニアル世代(26〜40歳)で22.7%、ロスジェネ世代(40〜50代前半)で10.1%、バブル世代(50代後半)では6.3%と、その差は歴然です。
これについてニューヨークのZ世代はどのように感じたのでしょうか? インタビューをおこないました。
ヒカル:Z世代だけじゃないと思うけど、最近の日本の若者はそういうことにあまり興味がないんじゃないかな。「草食系」なんて言葉も広がっているし。特に男性は恋愛に興味がないか、もしくは女性と関係を持つことに自信がないのでは? この数字は知らなかったけれど、すごく大きく感じる。
ノエ:この数字はどうなんだろう? 僕が知っている東京の友達を見ている限りでは、信じられないけどね。まあ日本は広いから、全体ではそうなのかも。よく日本の友達と「日本の社会は性的なことがとても抑圧されている」ってことを話すよ。他にもいろいろ抑えられていることはたくさんあるらしいけどね。だから性への関心も抑えられているんじゃないかな。
シャンシャン:この数字には驚いたわ。以前の「NY Future Lab」のディスカッションで、日本は意外なものが性の対象になるという話をしたことがあるじゃない? 「ドアノブを女の子に擬人化して、性の対象にするアダルト漫画がある」という話とか。
私も女子高生の話をしたけれど、日本の学校の制服や髪型に関する校則が厳しいのは「女子高生はほんの些細なことでも、性の対象に見られやすいからだ」ってことを話したじゃない。
だから驚いた。日本人はこんなに性に関する想像力があるのに、実際に体験しているのがたったの48% なのかって。調べる対象にもよると思うけどね。もしかすると本当にそうなのかもしれないし、抑圧されているからこそ、想像の世界で遊ぶのかも。
モデレーターでZ世代評論家のシェリーから「Cartoonから見ても、日本人は性に関する想像力がたくましいと思いますか?」と質問されると、Cartoonは「性に関することだけに限定されないですが、(日本人は)漫画やアニメなどを筆頭に、想像の世界を生み出している気がしますね」とコメント。アメリカでも話題になる日本発の奇抜なアダルト関連の漫画や作品なども、創作へのクリエイティビティが根底にあるのでは? と推測しました。
経済的理由、ネットコミュニケーションの活発化が原因?
ディスカッションを進めていくうちに、ラボのメンバーからは「セックスの経験があまりないのは、経済的な理由からなのでは?」という意見も飛び出しました。
メアリー:みんな時間がないからじゃない? セックスって、普通はお付き合いに付随するものでしょう。今の時代のこの経済状況で、生きるためには働かなくちゃいけないし、相手を見つけて関係を育んで、セックスするまで進む時間はないような気がする。それができたとしても、今度は「子どもはどうする? すごくお金がかかるよね」という話になると、やっぱり引くよね。時間とお金の問題なんだろうなと思う。
ミクア:アメリカの記事で読んだんだけど、日本の若者はデートよりも普通の友達付き合いを選ぶって書いてあった。相手とロマンチックな関係が持てなかったら、セックスも減るよなぁーって思った。
ケンジュ:僕はこの数字に驚かなかったよ。同じことがアメリカのZ世代にも起こっているんじゃないかな。この世代って、インターネットやソーシャルメディアのせいでコミュニケーション能力が低いと思うんだよね。逆に感じるかもしれないけど、前の世代に比べてコミュニケーション能力が低い人が多い気がする。
ヒカル:それは確かにネットのせいかもね。みんなLINEみたいなメッセージアプリを使っているから、男性は女性に直接「好きです」って言えない。そういう影響は大きいかもね。
2016年の日本の政府の調査によれば、ミレニアル世代の未婚男性の42%、女性の44.2%がバージンという結果もありました(※調査方法の違いにより、冒頭の数字とは異なります)。
シェリーは「性的経験がない未婚者の割合は90年代前半までは上昇傾向にありましたが、90年代後半(女性は00年代初頭)から経験がない未婚者の割合が増えつつあります」と解説。ケンジュが話したように、実はアメリカでも似たような傾向があり、それについては次回の「NY Future Lab」で話し合うことになりました。