アメリカ人の6割は「仮想通貨」に懐疑的…Z世代はどう思う?「未来のデジタル・マネー」「政府の規制が必要」

1月20日(金)のテーマは、「仮想通貨の未来について」。「NY Future Lab」のメンバーたちが、仮想通貨を取り巻く環境や今後の見通しについて話し合いました。

1月20日(金)のテーマは、「仮想通貨の未来について」。「NY Future Lab」のメンバーたちが、仮想通貨を取り巻く環境や今後の見通しについて話し合いました。

interfmで放送中の「sensor」(パーソナリティ:Cartoon)。「NY Future Lab」では、これからの時代の主役となる「Z世代」と「ミレニアル世代」にフォーカス。アメリカの若者たちが普段何を考え、何に影響を受け、どのような性質や特徴があるのかなどについて、Z世代・ミレニアル世代評論家のシェリーめぐみが座談会形式で彼ら、彼女らの本音を引き出していきます。

1月20日(金)のテーマは、「仮想通貨の未来について」。「NY Future Lab」のメンバーたちが、仮想通貨を取り巻く環境や今後の見通しについて話し合いました。

仮想通貨は危険?

未来の通貨として話題を呼び、数年間で価値が膨れ上がった仮想通貨(暗号通貨)。ところが昨年は株価暴落に引っ張られる形で、仮想通貨の価値も急落し、1年間で2兆ドル(約260兆円)が失われました。

さらに最大手の仮想通貨取引所のFTXが破綻し、CEOが詐欺などの容疑で逮捕される事態に。こうした一連の出来事から、「仮想通貨は危険だ」と判断して離れる人も少なくないのだとか。

ラボのメンバーは、仮想通貨についてどのような考えを持っているのでしょうか。まずはドージコインやビットコインなど、複数の仮想通貨を保有するメンバーのメアリーが自身の考えを述べました。

メアリー:仮想通貨は本当に詐欺じゃないかって思わざるを得ないわ。大手以外の多くの仮想通貨は偽情報で人を釣っておいて、時期が来たら手を引いてしまう。これは儲かるのではないかと思わせてお金を注ぎ込ませておいて、ある日気がついたら全く価値がなくなっている。仮想通貨は詐欺だと思う。

ノエ:多分、詐欺っぽく見えるのは、取引のされ方にそういう要素があるからだよ。基本的には、やはり仮想通貨は未来のデジタル・マネーだと思うよ。保証されていて、追跡もしやすい。今、ブロックチェーンについて学んでいるけれど、仮想通貨は銀行ではなく仮想通貨を使う人たちの“お互いの信用”で成り立っているんだよね。

メアリー:仮想通貨が使う人同士の信頼で成り立っているなら、FTXのスキャンダルは人々の信用を裏切ったってことよね。お金を下ろそうとしたら、(取引をする人たちのお金を)オーナーが他で使ってしまっていたので、もう下ろせなかったんだから。

基本的に(仮想通貨についての)規制が全くないためにこういう事件が起きてしまった。こういう詐欺に遭わないためにも、みんながようやく規制が必要だと気付いたんじゃないかな。

仮想通貨はもともと、政府や既得権益を持つ人にコントロールされない、新しい通貨を作り出すことを目的として生まれました。ブロックチェーンという技術を使い、取引記録をネット上に分散させることで、個人が勝手に改ざんできないようになっており、各国通貨のように国がその価値を保証するのではなく、国境を超えて、持っている大勢の個人の信用で成り立っています。

「民主主義的な考えに基づき、新しい経済圏を作ろうとしているのが仮想通貨。言い換えれば『自分たちもお金持ちになれるかも』と若者に思わせたことで、彼らの興味を仮想通貨に向かわせました」と、モデレーターでZ世代評論家のシェリーは解説。

FTXの破産について、シェリーは「もしかしたら今のタイミングでこういうことが起ったのは、人々が規制について考えるきっかけになったので逆によかったのかもしれない」ともコメントしました。

政府による規制に期待

そもそも仮想通貨は投機商品のように、短期で売り買いされることを目的としていないと話したのは、ラボのメンバーのケンジュ。「規制もされていないし、まだ発展途上のものだと思う」と話します。

ケンジュ:仮想通貨は保管してこそ価値があると思うんだ。なぜなら、それをいくら持っているか誰にもわからないし、誰かに奪われることもない。実態がないからどこにでも、他のどんな国にも自由に持っていける。飛行機で100万円は運べないけれど、デジタル通貨ならOKでしょう。銀行や金融機関の心配もしなくていい。

だから投資という意味では、定期預金のようなものだと思うよ。何かに使うとき以外は触らない。それが仮想通貨を支えるテクノロジーの意味するところだと思う。

「でもこんなに価格が変動し、乱高下するものはお金のように保管できないよね。まずは政府の規制が必要だし、ちゃんと法律を作ってほしい」と語ったケンジュ。「それでも仮想通貨の未来を信じたい」ともコメントしました。

シェリーによると、アメリカ人の6割は仮想通貨を危険なものと感じているものの、Z世代はそこまでの忌避感は持っていないそう。仮想通貨の背後にあるテクノロジーへの理解もありますが、Z世代は老後のための貯蓄という長い目で仮想通貨を見ており、「それまでには政府による規制も行なわれるだろう」と考えていることも理由の一つです。

「アメリカは投資運用型の個人年金が普通なので、それに仮想通貨を組み合わせたいという若者も多い。仮想通貨自体は存続しつつ、今後は規制をしっかり入れてほしいという思いがあるのだと思います」と、シェリーはZ世代の意見を代弁しました。