アメリカZ世代の3分の2は起業を考えている!? 2023年のビジネスを予測

interfmで放送中の「sensor」(パーソナリティ:Cartoon)。「NY Future Lab」では、これからの時代の主役となる「Z世代」と「ミレニアル世代」にフォーカス。アメリカの若者たちが普段何を考え、何に影響を受け、どのような性質や特徴があるのかなどについて、Z世代・ミレニアル世代評論家のシェリーめぐみが座談会形式で彼ら、彼女らの本音を引き出していきます。

1月13日(金)のテーマは、「『ハッスル・カルチャー』と『ダイバーシティ&インクルージョン』について」。「NY Future Lab」のメンバーが、2023年のビジネスやZ世代の起業について語りました。

Z世代の3分の2が起業を考えている

以前の「NY Future Lab」では、必要以上に仕事を頑張るのを止める「クワイエット・クイッティング」をする人がアメリカで増加しているとお届けしましたが、その対極にあるのが「ハッスル・カルチャー」。仕事に全力で取り組んだり、起業をしたりと、とにかく精力的にビジネスをしたいと考える人も同じく増加しています。

モデレーターでZ世代評論家のシェリーは「大学生の過半数が『昨年の1年間で起業を考えた』と答えたデータや、Z世代の3分の2が『将来起業したい、しようと考えている』と答えたデータがあります。今年はZ世代の起業家が増えるのではないでしょうか?」とコメント。

2023年のビジネスはどのようになるのか、ラボのメンバーたちが予測しました。

ノエ:コロナが収束に近づいて状況が和らぐ中で、今年は多くのイノベーションや技術の開発が進み、新たな世代が育つと思う。はっきりとは言えないけど、10代がビジネスのイニシアチブを取っていくと思う。TikTokや他のSNSのプラットフォームも使ってね。

僕自身はそういうグループに属していないからわからないけれど、僕のニューヨークの友達は18歳で、スケートボードのファッションブランドを起こして、世界中を旅しながらお金を儲けている。なかなかクールなことだと思うよ。

シャンシャン:私も、多くの子どもたちがソーシャルメディアを使ってブランドを立ち上げて、ビジネスを始めていることに気づいていたわ。これは素晴らしいことだと思う。誰にでも始められるビジネスだしね。でも同時に、そのことが理想像として持ち上げられすぎてはいないかなとも思う。

私の妹もそうなんだけど「将来何になりたい?」と尋ねると、「YouTuber」だと言うの。だから私は「それは素晴らしい。安定した収入が入って来ればね。YouTuberは安定した仕事ではないし、キャリアでもないよね」と答えたの。私の周りの友達もそれをわかっているから、YouTuberほどの富は得られないと知りながらも、とにかく勤勉に働いている。でも今年は、そうしたソーシャルメディアのビジネスがどっと増えるんじゃないかな。

「9時〜5時でない働き方ができる」「好きなことに人生の時間を費やせる」「社会のために役立つ仕事ができる」「ワーク・ライフ・バランスが保てる」「たくさん働いて、早く引退できる」などの理由で、起業を夢見るZ世代が多いのだとか。一方で理想とは別に、コロナ禍で職を失い、必要に迫られて起業した人もアメリカには多いと言います。

シェリーは「以前、Z世代は『クワイエット・クイッティング』をしているという話もしましたが、『ハッスル・カルチャー』は全く逆の動き。ところが根本の思いは共通していて、面白い動きだと思います」と話しました。

スモールビジネスはアメリカの未来にとって重要

ラボのメンバー、シャンシャンの知り合いにはファッション関係の起業家がいるのだそう。その女性は普段ニューヨーク大学に通っているそうですが、ビジネスを広げるため、シャンシャンの通う大学で開かれた起業家マーケットに参加したのだとか。

シャンシャン:彼女に会いに行って、商品をチェックしてきたの。彼女のブランドの商品にはかわいいアヒルがロゴにあしらわれていて、全部かわいいものばかり。でもシャツはすごく高くて、フード付きパーカーが70ドル(約9000円)もする。

彼女に聞いてみたら、こうした商品を出すのは本当に大変だと言っていた。利益を出すためには、価格を上げなければならないと。「あっ、そういうことか!」と思ったわ。ビジネスを立ち上げたばかりの人は、商品を作るために自分でお金を出さなければならない。利益を出すためには、価格を上げなければならない。いわゆるファッション産業とは全く違うということ。ファストファッションが安く売れるのは、巨大な工場で大量生産できるからなのよね。

シェリーは「スタートアップ企業が大企業と競合するのは難しいですよね。特に女性やマイノリティの起業家だと、なおさらハンデがあります」と同情しつつ、アメリカには地方自治体などがそうした起業家と優先的にビジネスの契約をするスタートアップ支援を行っていると解説。

「アメリカの企業は99.9パーセントが中小企業なので、スモールビジネスこそがアメリカ経済にとって重要という認識が強いです」とも。「若者が起業して、そこで起こすイノベーションが未来を作っていく。そのなかで、女性やマイノリティが起業する機会の平等も大事ですし、ダイバーシティ&インクルージョンがさらに重要になっていくのではないでしょうか」とコメントし、話題を締めくくりました。