interfmで放送中の「sensor」(パーソナリティ:Cartoon)。「NY Future Lab」では、これからの時代の主役となる「Z世代」と「ミレニアル世代」にフォーカス。アメリカの若者たちが普段何を考え、何に影響を受け、どのような性質や特徴があるのかなどについて、Z世代・ミレニアル世代評論家のシェリーめぐみが座談会形式で彼ら、彼女らの本音を引き出していきます。
12月23日(金)のテーマは、「Z世代の家族関係について」。「NY Future Lab」のメンバーたちが、それぞれの家族との関係について話しました。
熱心な教育ママ=「タイガー・マザー」
今回の「NY Future Lab」の放送日は12月23日(金)で、クリスマスを目前としたホリデーシーズン真っただ中。アメリカのクリスマスは家族と一緒に過ごす日として認識されていますが、モデレーターでZ世代評論家のシェリーは「ダイバーシティの街・ニューヨークでは、クリスマスを祝わない人たちも多いんです」とコメント。
ユダヤ系の人はちょうど同時期に行われているユダヤのお祭り「ハヌカー」を祝い、ラボのメンバーのシャンシャンを含む中国系の人は1月の旧正月を祝います。ロシア系メンバーのメアリーも、1月の旧暦のクリスマスを祝うのだとか。
シェリーは「そうした行事の一つひとつをホリデーと呼ぶので、アメリカでは『Merry Christmas』の代わりに『Happy Holidays』と言う人も多いです」と話しました。
クリスマスにちなんで、今回のテーマは家族関係。ラボのメンバーたちは、家族とどのような関係なのでしょうか?
ミクア:私は両親と非常に仲がいいと思う。両親2人の個性が極端に違っていて、全く逆と言っていいくらい、文化的なバックグラウンドが違うの。母は広島出身で、とても優しい性格で料理が大好き。いわゆる「タイガー・マザー」じゃないわ。そして父はいかにもニューヨークのブルックリン出身という感じで、とても外交的。私は2人のそれぞれ違ういいところを受け継いでいると思う。
シャンシャン:私は母と口論になることが多いの。考え方も意見も全く違うから。母は中国からの移民で、とても伝統的な価値観を持っている。でも私はアメリカで生まれ育ったから考え方がずっと現代的なので、よくぶつかってしまうの。父とはあまり会うことがないわ。いつも仕事でいないから。
私は母とよりも、2人の妹たちのほうがずっと近い感じがする。妹たちにとって私は2人目のお母さんみたいな存在で、妹たちも母とはあまり近くはない。彼女たちに勉強も含めて色々教えてきたのは私だから。両親は住む家と食事を用意してくれたという感じ。ちょっと変わった家族関係かもしれないわね。それに彼女は「タイガー・マザー」だし。
2人から出てきた「タイガー・マザー」とは、中国など東アジアの母親たちを指す言葉。子どもの教育を重視し、いい大学に行かせるために超スパルタで教育するママ……という意味です。中国系移民2世でイエール大学法科大学院教授の、エイミー・チュアさんのベストセラー本「タイガー・マザー」から生まれました。
シェリーは「多くのアジア系移民は英語も話せない状態で(アメリカに)やって来るので、その子どもたちは社会に溶け込むために苦労します。そのため子どもには最高の教育を受けさせたいという思いが強く、スパルタ教育になってしまう……というところから『タイガー・マザー』という言葉が生まれました」と解説。
ステレオタイプ的な使われ方をするものの、実際にシャンシャンの親は「タイガー・マザー」ということもあり、シェリーは「けっこう『タイガー・マザー』を親に持つ人はいるようで、ただ『ステレオタイプだ』と片づけることはできないかもしれません」とコメントしました。
親との関係は難しい?
教育を重視していたという意味では、自分の母親も「タイガー・マザー」だったかもしれないと話すメアリー。「とにかく厳しくて、いつも勉強を教えてくれたし、私が数学を好きになったのは確実に母のおかげ」と振り返ります。
メアリー:父とも仲がいいわ。彼はなんというか、私のちょっと変なところ、オタクなところを温かく受け入れてくれている。それに私がビデオゲームにハマったのも父のせい。若い頃、父はよくゲームをしていたの。でも、どちらとも話したくないときもあるし、どちらかとしか話さないときもある。私はまだ両親と一緒に住んでいるから、つらいことも多いわ。息苦しい巣から飛び出して、翼を広げて飛んでいきたいのに。みんなで一緒にいるのってなかなか難しい。
ノエ:僕の場合は母との関係はとても特別で、逆に父とは難しいんだ。母は僕のために本当に色々とやってくれる。母の素晴らしいところは、僕のためにアニメやマンガを理解しようとしてくれたこと。
僕がアニメにあまりにも夢中なので、最初は何を観ているのかチェックしたい、共有したいと思ったんだろうけれど、そのうち母のほうが夢中になってしまった。日本の音楽も同じ。全て僕が好きになったから、母も好きになってくれたんだ。今では時々一緒にアニメや日本のドラマを観ているよ。
「アニメで繋がったりしているなんて、聞いていると今どきの親っぽいですね!」とコメントしたCartoon。シェリーは「アメリカのZ世代は、親との距離が近いんじゃないかなと思います」と印象を語り、アメリカでも少子化が進んでいるため、1人の子どもに対する親の集中度が増しているのでは? と推測しました。
アメリカでは2007年の出生率は2.6%だったものの、2021年には1.6%と、急激な少子化が進んでいます。シェリーは「そうした意味では子どもの教育に熱心な人も増えましたし、子どもをターゲットにしたネット犯罪やソーシャルメディアの悪影響の対策など、親の役割が大きくなるにつれて親子の距離も近くなったのでは」とコメント。「時代とともに親子関係も変わっていっているのだと思います」と、話題を締めくくりました。