気候変動問題よりも直近の問題」アメリカZ世代が政治に望むのは「街の治安」と「銃規制強化」

「アメリカの中間選挙について」。投票日を間近に控えた中間選挙について、「NY Future Lab」のメンバーが話し合いました。

「アメリカの中間選挙について」。投票日を間近に控えた中間選挙について、「NY Future Lab」のメンバーが話し合いました。

interfmで放送中の「sensor」(パーソナリティ:Cartoon)。「NY Future Lab」では、これからの時代の主役となる「Z世代」と「ミレニアル世代」にフォーカス。アメリカの若者たちが普段何を考え、何に影響を受け、どのような性質や特徴があるのかなどについて、Z世代・ミレニアル世代評論家のシェリーめぐみが座談会形式で彼ら、彼女らの本音を引き出していきます。

11月4日(金)のテーマは、「アメリカの中間選挙について」。投票日を間近に控えた中間選挙について、「NY Future Lab」のメンバーが話し合いました。

Z世代は民主党支持

11月8日は、アメリカの中間選挙。下院全議席、上院議席の3分の1、州知事などが改選される大規模な選挙ですが、大統領選ほどの盛り上がりは見せておらず、投票率も低いことが予想されています。

ところが、今回の中間選挙は「我々の時代のもっとも重要な中間選挙」とも呼ばれています。モデレーターでZ世代評論家のシェリーは「世論調査では共和党が優勢ですが、Z世代の投票数が増えると、民主党が有利になると言われているんです」と話し、Z世代の票の行方に注目が集まっているとコメント。

Z世代には圧倒的に民主党支持者が多く、女性に関しては民主党支持者が共和党支持者の2倍だと解説します。まずはラボのメンバーに選挙への思いを聞いてみました。

ミクア:正直に言うと、投票するつもりはこれまでなかった。投票は市民としての義務だってわかってはいるんだけど、色々知ろうとするともう頭が痛くなって、混乱してしまうのよね。それにとてもイライラするの。だって私の一票は(本来は)政治を変えるはずなのに、実際にはどうもそうじゃないみたいだから。

シャンシャン:私も投票するつもりは全くなかった。結局、政治家はみんな嘘つきでしょう? だからもうどうでもいいって感じ。

ミクア:でも、みんなで話しているうちに「今度の選挙には投票しなきゃ」って思うようになった。私の一票で政治を変えられるとは思わないけれど、最悪の人に当選してほしくないから。

シャンシャン:それは大きいね! 完全に考えが変わったわ。やっぱり投票しなくちゃ!

メアリー:私も今は投票すべきかなと思っているわ。

そもそもニューヨークは、土地柄として民主党支持者が多い州。シェリーによると、自分が投票に行かなくても「どうせ民主党が勝つから、大勢に影響はないだろう」という意識が働きやすい傾向があるのだそう。

若者世代の関心が高い人工妊娠中絶の権利保護、環境対策、銃規制、LGBTQの権利保護などの政策を進めているのは民主党で、そうした政策に共和党は反対しているという現実があります。

さらに今回の選挙では、トランプ元大統領公認の共和党候補が上院から州知事まで、全米で200人近くもいます。実はこれは、トランプ氏が2024年の大統領選に出馬するための実績作り。自身の公認の候補が大挙して当選すれば、再び大統領候補に返り咲ける……という算段を立てています。

ラボのメンバーも最初は投票に消極的でしたが、ディスカッションをしているうちに「こうした(トランプのような)候補者を当選させないために、やはり投票に行こう」と奮い立った様子でした。

今は街の治安が心配

ラボのメンバーたちが、政治に解決してもらいたいと思っている問題は何なのでしょう? インタビューをしてみました。

ミクア:街の安全と、それに関係する銃規制。特にニューヨーク市内はますます危険になっていて、外に出かけるのが不安だから。

シャンシャン:銃規制。銃を持つための資格を、もう少し厳しくしてほしい。

ヒカル:インフレ対策。このままでは市内で暮らすのは不可能になる。たくさんの友達が、家賃が上がって引っ越さなければならなくなっている。一度に家賃が15万も上がるって、「なに!?」って感じ。

つい先日の「NY Future Lab」のディスカッションでは、メンバーたちは気候変動問題についてかなり危惧していた様子ですが、そうした意見は今回出てきません。シェリーは「気候変動は気にしていないの?」と質問を投げかけると……。

ヒカル:(気候変動対策は)重要だってわかっているけれど、それよりもっと直近の問題が多すぎるんだよ。

メアリー:あとラッキーなことに、ニューヨークはまだ他の国や地域と比べて気候変動の影響を受けていないのよ。水もまだちゃんとあるし。

シェリーも「以前はニューヨーク中心部(マンハッタン)のあたりはさほど治安は悪くなかったのですが、最近では中心部でもヘイトクライム(憎悪犯罪)の暴力事件が増えています」と、ここ最近の治安の悪化を身をもって体感しているそう。

さらにニューヨークは、銃規制が厳しい州であるのにもかかわらず、違法の銃が流入しており、街中で起こったギャングの抗争に子供が巻き込まれて命を落とすという痛ましい事件も起こっているそうです。

シェリーは「若い世代の間では『銃規制を強化してほしい』という思いが強いです」ともコメントし、ニューヨークのZ世代が最も懸念しているのは、街の安全や銃規制についてだと解説しました。