「大企業を規制せず、個人にだけ対策を求めるのは…」アメリカZ世代が憂う“バイデン政権の気候変動対策”

「アメリカZ世代の環境意識について」。気候変動やバイデン政権の環境問題対策について、「NY Future Lab」のメンバーたちが話し合いました。

「アメリカZ世代の環境意識について」。気候変動やバイデン政権の環境問題対策について、「NY Future Lab」のメンバーたちが話し合いました。

interfmで放送中の「sensor」(パーソナリティ・Cartoon)。「NY Future Lab」では、これからの時代の主役となる「Z世代」と「ミレニアル世代」にフォーカス。アメリカの若者たちが普段何を考え、何に影響を受け、どのような性質や特徴があるのかなどについて、Z世代・ミレニアル世代評論家のシェリーめぐみが座談会形式で彼ら、彼女らの本音を引き出していきます。

10月21日(金)のテーマは、「アメリカZ世代の環境意識について」。気候変動やバイデン政権の環境問題対策について、「NY Future Lab」のメンバーたちが話し合いました。

環境問題へのラボのメンバーたちの思い

11月からスタートするCOP 27(国連気候変動枠組条約・第27回締約国会議)にちなんで、環境問題について取り扱った今回の「NY Future Lab」。今年はアメリカでも異常気象が多発しましたが、モデレーターでZ世代評論家のシェリーによると、「いろいろな湖や貯水池の水位が下がり、水不足が話題になりました」とのこと。

ラボのメンバーたちは、環境問題についてどう考えているのでしょうか?

メアリー:(環境問題は)けっこう深刻だと思うし、気候変動はもう起こっている。ニューヨークはそうでもないけれど、フロリダはひどいことになっていたよね。この間のハリケーンでも、街は200年の歴史が始まって以来の大洪水だというし。

シャンシャン:今すぐにでも何かすべきだよ。気温が上がっているのを肌で感じるし、このまま続けばもっとひどいことになって、将来の子どもたちに悪い影響を与えることになる。絶対によくないわ。

ミクア:気候変動自体をまだ信じていない人がいることはクレイジーよ。「じゃあどうすればいい?」って考えても、もう選挙で投票をして、意思を示すことくらいしかできることがないんじゃないかなと思う。普段あまり地球温暖化のことを考えていないのは、そういう理由もある。

ラボのメンバーたちは、気候変動をかなり深刻に捉えている様子。シェリーによると、アメリカのZ世代の8割が気候変動を深刻な問題と捉え、何かしらの行動を起こしているのだそう。一方で気候変動について考えることで、メンタル面に影響が及んでしまっている人が8割も存在し、気候変動を恐れるあまり、子どもを持つことをためらうと答えた人も4割いるとのこと。 「Z世代は、私たちよりも長く生きなければいけない世代だから、気候変動がすごく不安」とシェリー。Cartoonは「災害のように思って、メンタルダウンしちゃっている人が8割もいるってことかぁ……」と、調査結果を重く受け止めてコメントしました。

バイデン政権の気候変動対策をどう見る?

バイデン政権は、ソーラーパネルや電気自動車へのインセンティブや生産強化を含めた、50兆円というアメリカの歴史が始まって以来の気候変動対策法案を成立させたばかり。

環境問題について、熱心に取り組んでいるバイデン政権ですが、これについてはラボのメンバーたちはどう思っているのでしょう?

シャンシャン:バイデン政権の政策は十分ではないと思う。特に大企業のやり方を変えようとしていないし、私たち一般人にだけ「正しいこと」をやれと言うのは、ちょっと期待しすぎじゃないかな。

ミクア:同感。気候変動に最大の影響を与えているのは大企業でしょう? だから大企業のやり方を変えるというのが、最も重要なことではないかな。

ヒカル:これまでのダメージを修復するのはもう難しいかもしれないけれど、現状維持を目指すことはできるんじゃないかな。そもそも、アメリカの政権で気候変動について何とかしなければいけないと言い始めたのは、バイデン政権が初めてなのでは?

メアリー:こういう会話をすることって、すごく大切だよね。私の周りでは、誰もこういう話をしていないから。

バイデン政権は、気候変動対策に最大規模の予算を使う予定ですが、化石燃料の開発をしている企業を規制していない点には批判の声もあります。個人ができる気候変動対策には限界があるため、大企業への規制などを求める声が上がっています。

さらにシェリーは「環境を配慮した方法で作られた服や食べ物は、値段が高いんですよね。今のアメリカは歴史上初の記録的なインフレで、人々は物を買いたくてもとても買えない」と解説し、こうした状況も政府への批判的な意見に繋がっていると話します。

Cartoonは「バイデン政権は、気候変動対策に取り組んでいるとはいえ、(国民は)もっとやらなきゃいけないという意識なんですね」とコメント。

「政府に対して批判的な人が多いのでしょうか?」と質問すると、シェリーは「期待はしているけれど、アメリカはこれまでのトラックレコード(実績)が悪いので、『本当にできるのだろうか?』と懐疑的な人が多い」と答え、「蓋を開けてみなければ信用できない、というところがあります」と話しました。