「授業の倍速再生は当たり前」「好きなドラマはじっくり観る」 アメリカZ世代の“時間の使い方”とは?

interfmで放送中の「sensor」(パーソナリティ:Cartoon)。「NY Future Lab」では、これからの時代の主役となる「Z世代」と「ミレニアル世代」にフォーカス。アメリカの若者たちが普段何を考え、何に影響を受け、どのような性質や特徴があるのかなどについて、Z世代・ミレニアル世代評論家のシェリーめぐみが座談会形式で彼ら、彼女らの本音を引き出していきます。

10月7日(金)のテーマは、「動画の倍速視聴について」。「NY Future Lab」のメンバーたちが、動画の視聴スタイルについて話し合いました。

授業の倍速再生は当たり前

日本では、映画やテレビ番組を通常のスピードで視聴しない人が増加中。Z世代のおよそ半数が、サブスク動画を倍速視聴、またはスキップ視聴しているという調査結果もあります。「自分が価値を置いていることに時間を使いたい」「ムダな時間を省きたい」というのが主な理由のようです。

残念ながら、アメリカには同様の調査をしたデータがありませんが、ラボのメンバーたちは動画の“倍速視聴”についてどう思っているのでしょうか? インタビューを実施しました。

ミクア:授業や勉強のビデオを観るときはやるよ。だいたい2倍のスピードで観る。長すぎて、普通の時間ではとても観ていられない。ずっと座って観ているのは苦痛だもの。でも映画やドラマを観るときはやらないかな。

ノエ:僕はYouTubeを観るときにやるね。「これには時間をかけている場合ではない」と思うようなもの。例えばハウツー動画とか、ナレーションがほとんどのビデオとかだったら、飛ばして観ると思うね。

ヒカル:僕たちの世代は、10分でも長く感じるということになっているからね。

メアリー:私もハウツーものは飛ばすことがあるけど、それってあまりいいことだとは思わないわ。ハウツーものを観るときって、ビデオの中に必要な情報があるから観るわけでしょう? ところが飛ばしながら観ていたら、最後までその情報が見つからないことがあるから。最初から1時間通して観たほうが早かったかもしれないわ。

授業やハウツー系の動画は、スキップ再生や倍速再生で視聴しているというメンバーが多い結果に。モデレーターでZ世代評論家のシェリーは「(Z世代は)前の世代に比べると長時間集中できないという調査結果があるようですが、その代わりに短い時間でも同じ情報を正確に把握できているようです」と、Z世代ならではの特徴について解説します。

Cartoonが「かけた時間に対する満足度を、コスト・パフォーマンスから派生してタイム・パフォーマンス、略して『タイパ』と言うらしいですね」とコメントすると、シェリーは「『コスパ』も『タイパ』も英語じゃなくて和製英語ですね。『タイパ』は英語で言うなら『Time Effectiveness』『Value for time』などになり、日本のようにそれを示すキャッチーな言葉はないですね」と豆知識を披露しました。

倍速視聴するくらいなら最初から観ない

ドラマや映画は倍速視聴しないメンバーが多いようですが、これはなぜなのでしょうか? メンバーに聞いてみました。

メアリー:ドラマを一気見することはあるけど、もしそのドラマが好きなら倍速視聴なんて絶対にしないわ。あまり好きではなかったら、スピードアップするかもしれないけれど。ただ、そもそも興味のないものに倍速でも時間を割きたくないわね。

ミクア:もし興味がなかったら、最初から全く観ないわ。前にあるドラマを一気見しようとしたけど、もうそこまで興味が続かないからやめた。だからといって、飛ばして最後まで無理に観ようとも思わない。

メアリー:そういうときはWikipediaを読めばいいのよ。

シャンシャン:私は、飛ばしたり倍速視聴をしたりはしないけど、結末が知りたいから最後のエピソードだけ観ることがある。

「倍速視聴をするくらいなら、そもそも興味がない作品なのだから最初から観ない」というのが、ラボのメンバーの共通認識の様子。日本のZ世代は、男性の15パーセントが「世の中の話題に追いつくために倍速視聴をしている」と答えたそうですが、シェリーによると「アメリカのZ世代は、たとえ何かの作品が世の中で話題になっていようが、自分に興味がなければどうでもいいんです。個人の自由が優先で、多様であるのが当たり前である国なので、そういう傾向が強い」とのこと。そうした個人主義的な傾向は、前の世代よりも強まっていると感じるともコメントしました。

「自分なんかは大人なのに、ずっとYouTubeを観ていて『早く寝なさい』って言われちゃう(笑)。Z世代の(時間を)ムダにしないという意識はすごいなぁ」とCartoonがこぼすと、シェリーは「私はムダがないとダメなような気がしちゃうんですけどねぇ」とコメント。Z世代の価値観に触れた感想を語り、話題を締めくくりました。