「将来は会社員になりたい」 日本の子どもにアメリカZ世代は違和感? 日米の抱える「会社員」のイメージの違いが明らかに

男子小学生がなりたい職業1位「会社員」

先日、第一生命が小学生から高校生までの3,000人を対象に「将来なりたい職業」をアンケート調査しました。その結果、小学生女子がなりたい職業は「1位:パティシエ」「2位:看護師」「3位:幼稚園の先生」。小学生男子がなりたい職業は「1位:会社員」「2位:YouTuber」「3位:サッカー選手」とのこと。

小学生男子がなりたい職業ナンバーワンが「会社員」という結果に、ラボのメンバーからは驚きの声が上がります。

シャンシャン:小学校から男子の(なりたい職業の)ナンバーワンが会社員って驚き。

ケンジュ:なんか変だよ。子どもだったら「スーパーアスリートになりたい!」とか普通は思うんじゃない? オフィスで働きたいかなぁ……?

メアリー:よくわかんない。私たちの世代って前の世代とは違うじゃない。日本も少しは変わったと思うんだけど……。YouTuberになりたいのは理解できるけど、会社員はよくわからないな。

ノエ:アメリカでは、最初からサラリーマンになりたいという人はほとんどいなくて、どこかの時点でサラリーマンかビジネスマンになろうっていうことになるんだよね。

ヒカル:小学校のランキングが間違っているんじゃない? どう考えても会社員が1位って変だよ。

ノエ:ほら、サラリーマンってみんなスーツとネクタイをしているじゃない。だから小学生が電車で通学するときにそれを見て、「働く人ってこうなんだ」って思うのでは?

チャイ:「働く人=サラリーマン」ってことね。他の仕事を知らないから。

「会社員は目指してなるものではなく、仕方なくなっているもの」というイメージが強いラボのメンバーにとって、このアンケートの調査結果は衝撃的だった模様。

ちなみにモデレーターでZ世代評論家のシェリーによると、「『サラリーマン』は和製英語ですが、アメリカでは『日本にはサラリーマンというカテゴリーの職業がある』ということは知られています」とのこと。 Cartoonが「俺は両親がサラリーマンだったし、否定的な意見はないんですけれど、『いい、悪い』ではなく不思議に思われているんですかね?」と質問すると、シェリーは「子どもになりたい職業を聞いたわけだから『スポーツ選手』とか『YouTuber』という答えが返ってくるのはわかるんだけど、(会社員になりたいという結果に)『あれ?』と思った印象があるんだと思う」とコメントしました。

「会社員」のイメージは日米でかなり違う?

「なりたい職業ランキング」で、「会社員」が1位であることに驚いたメンバーたちですが、ディスカッションをしていくうちに「日本の会社員」と、アメリカ人が思い描く「会社員(Office worker)」のイメージがだいぶ異なっていることが明らかになってきました。

ケンジュ:日本で会社員が人気ってわかるような気がするよ。僕は2019年に日本の叔父さんの会社で2~3ヵ月働いたことがあるんだ。車の塗装会社で、いわゆる肉体労働だよね。そのとき叔父さんに「日本では肉体労働は人気がない。みんながオフィスで働きたがる。スーツを着た仕事のほうが尊敬されるから」って言われたよ。

ミクア:日本はなんていうか、社会的に変化が遅い国だと思うのよね。母から聞いたんだけど、サラリーマンは1つの会社に何年も勤めて出世するほうが、尊敬されるんだよね。だからみんなずっと同じ会社に、何年もいるんでしょう?

ノエ:間違っていたら教えてほしいんだけど、日本の会社員はコンサルタントも銀行員も、スーツを着て働く人は全部「会社員」なんでしょう? アメリカでは違うんだよ。コンサルタントは「コンサルタント」で、銀行員は「銀行員」。

だからアメリカ人からすると「会社員」というのは「どんな仕事でもいいからオフィスで働く仕事」という、つまらないイメージで見えてしまうんだけど、実は違うんだよね。

チャイ:「はじめてのおつかい」を観て思ったことなんだけど、日本の子どもが「サラリーマンになりたい」と思うのは、スーツを着たパパがかっこいいからじゃない? スーツを着て仕事に行く。それって子どもにとっては、スーパーヒーローのコスチュームなんだよね。

アメリカでは同じ会社に長く勤めたところで、給与は上がらず、収入を増やしたかったら転職するのが一般的。

シェリーは「アメリカ人は、同じ会社に長く勤めることに価値を見出せないんです」と解説します。さらに近年では労働者のファッションも変化しており、あまりスーツを着て働く人もいないため「スーツを着た人がかっこいい、という価値観もありません」と付け足します。

シェリーが「アメリカ人は会社に属しているとはいえ、個人で仕事をしている意識が強い。『私がこの会社で働いてやっている』という感じ」と話すと、Cartoonは「自己紹介も日本だと『○○という会社で働いている』と言いがちですが、アメリカだと『私は弁護士だ』のように、自分が何をしているか、誰と働いているかを話した後に、『今はこの会社に所属している』と話すことが多いですよね」とうなずきます。

「アメリカは何かあるとすぐにレイオフ(業績悪化時に、再雇用を前提に従業員を一時的に解雇すること)するし、労働者も会社への愛着が湧きにくい」とも話したシェリー。ラボのメンバーの意見を総括して、「アメリカに比べて、日本は『会社』や『会社員』へのイメージがいいのかもしれませんね」と話題を締めくくりました。