「サンドイッチが1個2,500円」「家賃が60パーセントの値上げ」… NYの急激なインフレ事情に、アメリカのZ世代はどう対処している?

interfmで放送中の「sensor」(パーソナリティ:Cartoon)。「NY Future Lab」では、これからの時代の主役となる「Z世代」と「ミレニアル世代」にフォーカス。アメリカの若者たちが普段何を考え、何に影響を受け、どのような性質や特徴があるのかなどについて、Z世代・ミレニアル世代評論家のシェリーめぐみが座談会形式で彼ら、彼女らの本音を引き出していきます。

8月15日(月)のテーマは、「インフレについて」。アメリカで値上がりしているものや、インフレ対策について「NY Future Lab」のメンバーたちが話し合いました。

ガソリン、外食、家賃…相次ぐ値上げ

急激なインフレが続いているアメリカ。アメリカの6月のインフレ率は9.1パーセントと、昨年の6月と比較すると9.1パーセントも物価が上昇したことになります。ところがモデレーターでZ世代評論家のシェリーは「ニューヨークを見る限り、もっとひどいことになっています」と、ニューヨークでは9.1パーセントをはるかに上回るインフレが起こっているとコメントします。

「NY Future Lab」のメンバーたちは、このインフレをどのように見ているのでしょうか? インタビューしてみました。

ヒカル:ガソリン代がめっちゃ上がっている。前は1ガロン3ドルだったのが、今は4~5ドルだもん。

ケンジュ:いろいろなものが値上がりしている。サンドイッチ、ミルク……もうクレイジーだよ。ヒーローサンドイッチが1本15~20ドル(約2,000~2,500円)するんだよ。

ミクア:この間、初めてポキボウルを食べたけど、20ドル(約2,500円)だった! しかもテイクアウトで! 外でまともなものを食べようと思ったら、それくらい出さないともうダメ。

シャンシャン:タピオカミルクティーをよく飲むけど、以前は4ドル50セントだったのが、今は2倍の9ドル(約1,200円)!

ケンジュ:でも一番ひどいのは家賃だよ。友だちは家賃が上がって引っ越さなければならなくなった。1ヶ月2,500ドル(約33万円)が4,500ドル(約60万円)に跳ね上がったんだって。今はものすごい数の人たちが引っ越しをしているよね。長く住んでいたアパートが値上がりして住めなくなったから。多くの人が環境を変えざるを得なくなっているし、ホームレスも増えている。

チャイ:実は私のところも、家賃が60パーセント上がるという通知が来たの。2,350ドル(約31万円)が3,600ドル(約48万円)に値上げ。この辺は割と安めで住みやすかったので、若者がたくさん引っ越してきたけれど、またどんどん出ていってしまっているよ。

アメリカのインフレ具合を聞いたCartoonは「タピオカミルクティーが1,200円で、ポキボウルが2,500円! すべてが日本の倍くらいじゃない?」と驚きを隠せません。シェリーは「今、ニューヨークの平均家賃は4,000ドル(約53万円)。去年から4割上昇しています」と、家賃事情について解説。

ニューヨークには家賃が規制されているアパート・規制されていないアパートの2種類があり、規制されていないアパートは大家が家賃を自由に決めることができます。そのため一部のアパートでは信じられないほどの家賃の値上がりが起きているそうですが、これについてCartoonは「そうすると住人の入れ替えも起こりますよね? この金額だと、どんな人が借りるんですか?」と質問。 シェリーは「裕福な家庭の子どもが大学入学時に入居したり、大手のIT企業勤めの方が入ります」と答え、アメリカでは貧富の差が拡大しているとコメントしました。

家賃を払えない人を支援するパーティ

ニューヨークに住めなくなった若いアーティストは、より安い土地へ引っ越したり、親元に戻ったりすることを余儀なくされているそう。そうしたなかで、Z世代はZ世代ならではのインフレ対策を行っていることもインタビューを通じて判明しました。

チャイは先日、家賃が払えなくなった人が自宅アパートで開催した「家賃パーティ」というものに参加したそう。入場料は20ドルで、集まったお金を主催者が家賃の支払いに充てるというもの。

チャイ:庭で色々なバンドが音楽を演奏して、近所の人や友だち、そのまた友だちと、さまざまな人が集まって、おしゃべりしたりスナックを食べたり、とても楽しかった。

チャイはラボのメンバーのノエを誘って参加したそう。参加者は若い人から年配の人までさまざまで、「みんなで助け合おう」という雰囲気にあふれた温かいパーティだったと振り返ります。

チャイ:色々なアート作品やかわいいものを売って、その売上を寄付している人もいた。楽しみながら、少しでもお金を作ってあげようという姿勢が素晴らしいと思った。私はクラブに行くのが好きだけど、クラブに入場料を払うより、友だちにその分寄付する方がずっといいと感じたな。

シェリーは「クラウドファンディングでお金を集める人もいますけど、パーティを開催するとなったら実際に人と会えるしいいですよね。Z世代ならではの対策」と評価しつつも、「『家賃パーティ』を開くだけでは解決しない」と、記録的なインフレは自助努力だけで対抗できるものではないと話します。

コロナ禍で家賃を払えない人も増えているなかで、今回のインフレが起こったため、シェリーは「家賃を払えない人が物を買えるわけがないじゃないですか。物が売れなくなっていくので、これから不況に突入していく……という(予測が立っている)。アメリカはものすごく不安になっています」と、ニューヨークでは今後の経済の先行きを不安に思うムードが漂っていると話して、話題を締めくくりました。