アメリカでは男性セレブのスカートファッションがトレンドに! アメリカZ世代は「ジェンダーニュートラル・ファッション」をどう捉えている?

「ジェンダーニュートラル・ファッション」について。今や世界中でトレンドになっているジェンダーニュートラル・ファッションを巡って、アメリカのZ世代がディスカッションしました。

「ジェンダーニュートラル・ファッション」について。今や世界中でトレンドになっているジェンダーニュートラル・ファッションを巡って、アメリカのZ世代がディスカッションしました。

interfmで放送中の「sensor」(パーソナリティ:Cartoon)。「NY Future Lab」では、これからの時代の主役となる「Z世代」と「ミレニアル世代」にフォーカス。アメリカの若者たちが普段何を考え、何に影響を受け、どのような性質や特徴があるのかなどについて、ミレニアル世代評論家のシェリーめぐみが座談会形式で彼ら、彼女らの本音を引き出していきます。

7月11日(月)のテーマは、「ジェンダーニュートラル・ファッション」について。今や世界中でトレンドになっているジェンダーニュートラル・ファッションを巡って、アメリカのZ世代がディスカッションしました。

アメリカでは男性セレブのスカート姿がトレンドに

LGBTQの権利や、彼らを取り巻く環境について2週に渡って話し合ってきた「NY Future Lab」。LGBTQシリーズのラストは、世界中でトレンドになっている「ジェンダーニュートラル・ファッション」について話し合います。

「男性らしさ」「女性らしさ」など、それぞれの性別の固定観念を取り払い、性別の区別をしない(曖昧にする)ジェンダーニュートラル・ファッション。モデレーターでZ世代評論家のシェリーは「調べによると、Z世代の8割が『ジェンダーニュートラルな服がネットで買いやすくなってほしい』と考えている」と、Z世代の間でも浸透している概念だと話します。

サステナブルと並んでファッション業界の未来とも言われている、ジェンダーニュートラル・ファッション。なぜここまで盛り上がっているのか、「NY Future Lab」のメンバーに意見を聞いてみました。

ミクア:ファッションデザイナーやクリエイターの多くはLGBTQコミュニティーに属しているよね。だから彼らが自分たちのブランドで、世界に向けてジェンダーニュートラルな考え方や「どんなジェンダーでも好きなものを着ていい」というメッセージを出すのは自然なことだと思う。その代表がテルファー・クレメンスというデザイナー。(テルファーのブランドは)バッグが有名だけど服も作っていて、テルファーは黒人でLGBTQでもある。

ウィル・スミスの息子であるジェイデン・スミスがスカートを穿いた写真が話題になったことに触れ、ジェンダーニュートラル・ファッションの盛り上がりは「インフルエンサーの影響も大きいと思う」と推測したミクア。他にもラッパーのヤング・サグがスカートを穿いた姿は衝撃だったと話します。

ミクア:ラッパーといえば「男らしさ」の象徴みたいな存在だったから、彼がスカートを穿いたことで、世の中に大きな変化を起こしたと思う。

ケンジュ:正直、僕は男のスカートはちょっと変だと思うんだけど、別に着たければいいんじゃないかな。ミクアが言うように、キッド・カディやヤング・サグが(スカートを)着た影響は大きいよね。彼らのようにがっしりとした体型の男性がスカートを穿くのはちょっと似合わないので、変に思えてしまうけれど、女性と男性のファッションの境界線はもうなくなっているよね。

ジェンダーニュートラル・ファッションというと、体型を強調しないことでジェンダーを主張しない服装を思い浮かべがちですが、アメリカでトレンドになっているのは男性のスカートファッション。ハリー・スタイルズもスカート姿を披露して話題になっていましたが、シェリーは「男性らしさの象徴とも言えるラッパーのスカート姿には本当に驚かされた。キッド・カディのスカートなんて、ほとんどドレスですからね」と、驚きを隠せない様子。

Cartoonは「数年前、(黒人と性的マイノリティを描いた)『ムーンライト』という映画が公開されたときに日米で話題になり、当時はそれを“称える”ような雰囲気もありましたが、今はもうさらにその先に進んだというか、当たり前になった」と、ここ数年でLGBTQを取り巻く空気が変わったことに言及。シェリーは「そうした大きな変化をもたらしたのがZ世代なんですね」とコメントしました。

それぞれが着たい服を着る世界こそが、世界平和につながる

ファッションとジェンダーについての話し合いが進む中、メンバーのシャンシャンは地下鉄で素敵なファッショニスタを見かけたときのことを振り返ります。

シャンシャン:前の座席に座っていた人のファッションがとてもフェミニンで「わぁ、すごく素敵! おしゃれ!」と思って見ていたの。(女性だと思い込んでいたけれど)その人が立ち上がって顔が見えたときに、「わっ、失礼しました。女性と決めつけてすいません!」と、心の中でつぶやいてしまった。

チャイ:人々は「ジェンダーにふさわしい服装」に取り憑かれていると思う。例えば男がフェミニンな服を着ると、「トランスジェンダーではないか」と思われてしまうのを恐れている。ジェンダー関係なく着たいものを着ればいいのにね。スカートを穿くのが怖い男性がお気の毒。スカートを穿いた両足の間で風を感じるのはとても気持ちがいいのに(笑)。

かつてピンク色は「男の色」であり、ハイヒールも「男性のための靴」であったと話すメアリー。男性のファッションを女性が追って纏ってきた歴史がある中で、今では男性が女性のファッションを取り入れるようになってきているのが興味深いと語ります。

メアリー:でも私は、フェミニンなファッションが好き。それでもOKだし、男っぽい服を着ても、ノンバイナリー(自身の性自認を男性・女性と限定しない)のジェンダーレス・ファッションでもいいのが今の時代だと思う。

だからファッションが社会を激変させるというよりも、みんながそれぞれ(自由に)心地いい服を着られるようになっていくんじゃないかな。そしてみんなが気分よくいられれば、世界平和にもつながっていくのではないかな。

ジェンダーニュートラルの考え方が浸透していくことで、シェリーは「嫌だと思うものを着なくて済むのは、心のあり方にも影響するんじゃないかな」と言います。ジェンダーに関係なく、それぞれが着たい服を着ればいいという考えに、Cartoonは「そうしたチョイスがフラットになればなるほど、偏見もなくなっていきますよね」と大きくうなずきます。

最後にシェリーは「LGBTQの人たちが自由に自分のジェンダーを謳歌できる世界は、そうじゃない人たちも自由になれる社会ということ。私はそう信じています」と、持論を述べて話題を締めくくりました。