interfmで放送中の「sensor」(パーソナリティ:Cartoon)。「NY Future Lab」では、これからの時代の主役となる「Z世代」と「ミレニアル世代」にフォーカス。アメリカの若者たちが普段何を考え、何に影響を受け、どのような性質や特徴があるのかなどについて、ミレニアル世代評論家のシェリーめぐみが座談会形式で彼ら、彼女らの本音を引き出していきます。
7月4日(月)のテーマは、「LGBTQを取り巻く日本の環境」。2週にわたってLGBTQについてディスカッションをしてきた「NY Future Lab」ですが、今回は日本のLGBTQ事情についてアメリカのZ世代が話し合いました。
日本のほうがLGBTQに好意的に見える?
近年は同性婚合法化に向けた動きが高まっているものの、同性婚が認められていない国はG7の中で日本のみ。ちなみにアメリカでも同性婚合法化は2015年と、そこまで昔の話ではありませんが、Z世代が思春期の頃には同性婚が認められていたことになります。
アメリカで暮らすZ世代のメンバーは、日本のLGBTQ事情についてどのように感じているのでしょうか?
メアリー:日本のテレビ番組って、女装をした男性がよく出てくるじゃない。それなのに同性婚が認められていないのは興味深い。
チャイ:私がよくわからないのは、トランスジェンダーが日本でどういう風に見られているかということ。そういうテレビに出ている人たちが本当にトランスジェンダーなのか、ただ視聴者にウケるためにジョークでやっているのかがわからなくて混乱する。
メアリー:これは推測だけど、同性婚が認められていない唯一の理由は、出生率が下がっているからじゃないかなって思うんだけど。でも、日本人が同性愛者を嫌っているかというと、アメリカなどの西洋に比べると、その(嫌悪する)度合いはずっと緩やかだと思う。
ノエ:東京に行ったときの経験では、若者も大人も同性愛者を嫌っていないように見えた。これは西洋の考え方の影響なのかなと思っていたよ。ただ実際にゲイに会ってみると、態度が変わる人もいる。LGBTQコミュニティを支持すると言うのは簡単だけれど、それでもどこかでなんとなく嫌う気持ちを持っているんじゃないかな。
メアリー:別に同性愛者でもオーケー、自分の子どもが同性愛者でさえなければ、みたいな。自分に関係なければ問題はないみたいな(印象がある)。
女装した男性や、LGBTQを公表している多くのタレントがメディアに出ているにもかかわらず、同性婚が認められていない事実に違和感があると話したメンバーたち。とは言え、アメリカなどの西洋社会よりも、表面上はLGBTQに対して好意的にすら見えるようです。
モデレーターでZ世代評論家のシェリーは、アメリカではLGBTQに嫌悪感を持つホモフォビア(同性愛嫌悪者)が少なくないと解説。相手がLGBTQであるという理由で暴行を働いたり、嫌がらせ行為をしたりするヘイトクライム(憎悪犯罪)も頻繫に起きているため、そうした犯罪行為があまり発生しない日本の環境が珍しく見えるのでは? と考察します。
Cartoonが「渋谷区がパートナーシップ証明書を出すなど、同性婚合法化に向けた動きがありますよね」とコメントすると、シェリーは「アメリカも地方から同性婚合法化に向けたムーブメントが発生したので、状況は違えど日本もそうした方向に向かっているのかな、という風に見えます」と所感を述べました。
「個人の好き嫌いと『権利』は混同してはだめ」
日本語を勉強しているメンバーのシャンシャンから、「西洋化される前の日本は同性愛に寛容だったのでは?」との意見が。なぜそのように考えたのでしょうか。
シャンシャン:例えば江戸時代には「若衆(わかしゅ)」というのがいて、成熟する前の13歳くらいの思春期の男の子たちがそう呼ばれていたらしい。彼らは男でも女でもなく、年上の男と女の両方から性的な対象として見られていたと学んだ。子どもを性的対象に見ていたというのは、あまりよくないことかもしれないけれど、「若衆」がいたということは、日本もかつては同性愛やLGBTQコミュニティに好意的だったということじゃない?
ノエ:でもそれってずいぶん昔の話でしょう。西洋化する前の日本じゃない。
シャンシャン:だから西洋化が日本に「同性愛嫌悪」を持ち込んだんじゃないかな? と思って。
同性愛を禁じてきたキリスト教が根付いているアメリカやヨーロッパからすると、こうした日本の文化はずいぶんLGBTQにオープンに見える様子。Cartoonは「西洋化によってヘイトが日本に持ち込まれてしまったのかな?」とコメントします。
シェリーは「好きとか嫌いとかではなく、誰もが同じ権利を得られる社会のために同性婚が合法化されてきているわけですよね。『私が嫌いな人にも、同じ権利はある』という考え方です」と、同性婚に話を戻してコメント。Cartoonも「(同性婚合法化は)好き・嫌いとは別の軸の話。『権利』として認めるという話は、好き・嫌いと混同しないほうがいいですね」と、うなずいていました。