6月はプライド月間! 「パレードが商業化しているのでは?」「プライド月間自体はいいこと」アメリカのZ世代が考えるLGBTQの権利

LGBTQの権利やプライド月間についてアメリカのZ世代がトークしました。

LGBTQの権利やプライド月間についてアメリカのZ世代がトークしました。

interfmで放送中の「sensor」(パーソナリティ:Cartoon)。「NY Future Lab」では、これからの時代の主役となる「Z世代」と「ミレニアル世代」にフォーカス。アメリカの若者たちが普段何を考え、何に影響を受け、どのような性質や特徴があるのかなどについて、ミレニアル世代評論家のシェリーめぐみが座談会形式で彼ら、彼女らの本音を引き出していきます。

6月20日(月)のテーマは「LGBTQについて」。LGBTQの権利やプライド月間についてアメリカのZ世代がトークしました。

6月はLGBTQプライド月間!

アメリカでは6月は「LGBTQプライド月間」。LGBTQの権利を守り、彼らが生んだ文化を祝う月間で、モデレーターでZ世代評論家のシェリーは「6月のニューヨークは街中レインボーフラッグ(LGBTQの社会運動を象徴する旗)だらけなんです」と、都市を挙げてのお祭りムードが漂っていると話します。

26日にはニューヨークで世界最大級のLGBTQパレードも開かれます。新型コロナウイルスのパンデミック下では開催されませんでしたが、2019年には約500万人もの参加者が集まった同パレード。自身もLGBTQである「NY Future Lab」メンバーのチャイは、過去のパレードに参加したときのことを「みんなおしゃれにキュートに着飾って歩いたり、音楽に合わせてダンスをしたり、沿道の人は写真を撮りまくるの」と振り返ります。

一方でノエは「ここ数年、(パレードが)表面的なものになっているのがつらいところ」と、パレードの規模が大きくなるにつれて、本来の“LGBTQの権利向上”を目的としたパレード色が薄れ、商業的なイベントになりつつあることを懸念しているようです。

チャイ:そうだよね。少し前まではとても素敵なパレードだったのに、今は大企業のロゴがついた大きなフロートばかりになっている。大企業で参加している人はLGBTQでない人たちばかりだから、それがとても残念……。私はノンバイナリー(自身の性自認を男性・女性と限定しない人)としてカミングアウトしているんだけど、トランスジェンダーのガールフレンドと一緒にみんなでパレードに参加したの。半分がトランスで、シスジェンダー(性自認と生まれ持った性が一致している人)は1人だけサポートで参加してくれた。

メアリー:私はクィア(性的マイノリティ)のクリエイターをたくさんフォローしているけれど、彼らもYouTubeなんかで「パレードがとても商業的になったのが嫌だ」と言っている。もちろんプライド月間自体はいいんだけれど。

このようにメンバーからは、商業化しつつあるLGBTQパレードへの反対意見も出ました。

シェリーは「いまだにLGBTQへのヘイトクライム(憎悪犯罪、偏見・差別に基づく嫌がらせや暴力行為)もかなり多いので、そうした差別に反対する考えを尊重しなきゃいけないという意見もありますが、規模が大きくなることでLGBTQの声が社会に広く届くメリットもあります」と解説します。Cartoonも「たしかに、知ることは大事ですもんね」とうなずきました。

ニューヨークに宿る多様性の理由

LGBTQパレードの規模の大きさはもちろんのこと、ニューヨークは世界最大のLGBTQ人口を誇る街でもあります。なぜニューヨークにLGBTQの人々が集まるようになったのでしょうか? その理由をメンバーたちが考えました。

シャンシャン:ニューヨークはダイバーシティ溢れる街。一目であらゆる人種や文化が息づいているのがわかる。私はアメリカのいろいろな州に行ったけれども、ほとんどは白人で、私のようなアジア人を見つけるのは難しかった。そういう意味でニューヨークは住みやすいし、街の人々の心もずっとオープン。だからニューヨークはLGBTQにとっても住みやすく、その人口もアメリカで最大なのだと思う。

ケンジュ:しかも、とても多様な人が住む街なので、ダイバーシティやマイノリティに反対する人たちは、他の街に比べて少ない。ここではみんなが違うのが当然だから。

チャイ:ニューヨークがダイバーシティの街というのは間違いないと思う。そして、みんながたくさんの違う意見を持っている。だからどんな意見を持っていても、自分と同じような主張を持って、そのために立ち上がったり闘ったりしてくれる人に出会うことができる。

ミクア:私の叔父はドラァグのパフォーマーでシンガーなんだけど、彼がニューヨークで体験した話を父から聞くと本当に面白い。さまざまなLGBTQの文化が始まったニューヨークに住んでるのってすごく素敵だと思う。

そもそもニューヨークはさまざまなバックグラウンドを持つ人や、多様な人種が住んでいる都市だからこそ、“人間は全員が違うもの”という前提認識があると話すメンバーたち。LGBTQの人々が集まるのも、そうした理由があるのでは? と推測しました。

シェリーは「東京はニューヨークほど多様な人種が住んでいるわけではないけれども、レインボーパレードもあるし、少しずつLGBTQフレンドリーになっているのかな」とコメント。

「議論をするというのがとにかく大事なこと。東京を中心にLGBTQフレンドリーになっていくと、人の心がオープンになっていくから、世界のいろいろな人種を受け入れられたり、移民を受け入れられたりするのかな」と、シェリーは期待を寄せて話題を締めくくりました。