アメリカのZ世代は日本の音楽をどう思っている? Z世代が語るシティポップ、YOASOBIの「好きなポイント」

「日本の音楽について」。アメリカのZ世代がハマっている日本の音楽や、その魅力について語り合いました。

「日本の音楽について」。アメリカのZ世代がハマっている日本の音楽や、その魅力について語り合いました。

Interfmで放送中の「sensor」(パーソナリティ:Cartoon)。「NY Future Lab」では、これからの時代の主役となる「Z世代」と「ミレニアル世代」にフォーカス。アメリカの若者たちが普段何を考え、何に影響を受け、どのような性質や特徴があるのかなどについて、ミレニアル世代評論家のシェリーめぐみが座談会形式で彼ら、彼女らの本音を引き出していきます。

4月11日(月)放送のテーマは、「日本の音楽について」。アメリカのZ世代がハマっている日本の音楽や、その魅力について語り合いました。

やっぱりシティポップは人気!

前回に引き続き、音楽をテーマにお届けしている「NY Future Lab」。今回は日本の音楽について「NY Future Lab」のメンバーにインタビューをおこないました。

メアリーがハマっている日本の音楽として挙げたのは、2017年にリリースされたMONDO GROSSOの「ラビリンス」。大沢伸一のソロプロジェクト・MONDO GROSSOが14年ぶりに再始動したときに発表された曲で、満島ひかりがボーカルを務めたことも話題になりました。

メアリー:曲を知ったきっかけは、しばらくの間ずっとシティポップを聴いている時期があって。シティポップという音楽は日本の80年代のポップスで、最近世界中でとても人気が出てきている音楽なの。シティポップはすごくクールだし、何がいいかっていうと、生の楽器で演奏をしていて、曲によってはなんかジャズっぽくてかっこいいの。

YouTubeでシティポップを聴いていたら、おすすめ動画として「ラビリンス」のMV(ミュージックビデオ)が表示され、試しに聴いてみたらハマってしまったそう。

メアリー:すごく魅惑的な曲。タイトルも「迷路」だし、その中で永遠に2人は一緒という内容で、なんというか艶かしい感じもする。ビデオは香港で撮影されていて、あの有名な建物が密集している中で、彼女が踊るシーンがとても映画的だし、それが夢の中で迷子になっているような気分にさせてくれてすごく好き。

モデレーターでZ世代評論家のシェリーは「調べてみたのですが、シティポップは今すごくZ世代に聴かれているんです」とコメント。「シティポップの代名詞的な存在である竹内まりや『プラスティック・ラブ』は、YouTube(非公式動画)で5,000万回再生を超えていますし、The Weeknd(ザ・ウィークエンド)が『Out of Time』という曲で亜蘭知子の『Midnight Pretenders』をサンプリングしたことも大きいと思います」と、アメリカにおけるシティポップブームを考察します。

特に若い世代に聴かれている理由として、シェリーは「日本の80年代のシティポップはアメリカのサウンドにすごく影響されているんです。今の若い子が聴くと、70年代・80年代のアメリカの懐かしいサウンドで耳なじみがあるけれど、日本語だしすごくフレッシュに感じるみたい」と挙げていました。

日本の曲は「ストーリーが壮大」?

「NY Future Lab」のメンバーは、日本の音楽に“ある特徴”を見出している様子。それぞれが日本の音楽の好きなポイントを挙げました。

メアリー:日本の音楽で好きなところは、もちろんビートもいいけれど、歌詞を調べてみると、その歌が1つの物語を語っていることがわかってびっくりするの。英語の歌で物語を紡ぐのは、日本語の歌に比べて難しいから。英語の歌にはルールに従って繰り返していく決まりがある。どの曲にもサビがあって、大体構成は一緒。だからとにかく繰り返しが多い。

ノエ:それってすごくわかる。特に日本とアメリカのラップを比べてみると、アメリカのラップは相応しい言葉を選んで韻を踏んでいくのが一番重要なんだ。それが複雑でクールなところなんだけどね。日本のラップは、聴いてかっこよければなんでも構わない。

そんなノエは、ここ2年ほどYOASOBIが好きなのだそう。

ノエ:どの歌も短編小説がベースになっている。僕が好きな「夜に駆ける」も「優しい彗星」もそう。だから歌は3分しかないけれど、その歌詞を聴くと全部のストーリーを感じることができる。短編小説をぎゅっと濃縮したような歌なんだ。

このトークを聞いたパーソナリティのCartoonは、「日本人よりも的確に分析しているのがすごい!」と驚きを隠せない様子。シェリーは「(日本とアメリカの音楽を)比べているからわかるのかも。アメリカの曲は縛りが多く、なかなかルールを破れない。日本はそれがないから自由で壮大なストーリーを紡げる」と語り、改めて各国の音楽性や価値観の違いについて気づかされたと締めくくりました。