「テクノロジーは素晴らしい」「人間性が失われていく」 アメリカZ世代が“メタバース”について本音トーク

「NFTからメタバースまで、最新のテクノロジーとZ世代が実際どう付き合っているのか(メタバース後編)」

「NFTからメタバースまで、最新のテクノロジーとZ世代が実際どう付き合っているのか(メタバース後編)」

アメリカの若者たちが普段何を考え、何に影響を受け、どのような性質や特徴があるのかなどについて、モデレーターでミレニアル世代評論家のシェリーめぐみが座談会形式で彼ら、彼女らの本音を引き出していきます。

2月23日(水・祝)放送のテーマは、「NFTからメタバースまで、最新のテクノロジーとZ世代が実際どう付き合っているのか(メタバース後編)」。先週に引き続き、コンピューターネットワーク上に構築された仮想空間(=メタバース)について、アメリカのZ世代がそれぞれの考えを語り合いました。

テクノロジー自体には期待するけれど…

ネットワーク上に構築された仮想空間「メタバース」。自身のアバター(=分身)を使って仮想空間で買い物やイベントを楽しめるようになるなど、インターネットの未来の形として注目が集まっています。

さまざまな企業がメタバース事業に力を入れ始めていますが、Facebookは社名を「Meta」に変更し、今後メタバース事業へ莫大な投資をしていくと発表しました。一方で、モデレーターでZ世代評論家のシェリーによると、アメリカのZ世代はFacebookがメタバース事業に参画することに対して、ネガティブな印象を持つ人が多いのだそう。

これはFacebookやInstagramが、人々にとって有害なシステムを利益のために放置していたことが明らかになったのが理由です。

メタバースそのものに対しては、どのような期待と不安を抱えているのでしょう? 「NY Future Lab」のメンバーに聞きました。

シャンシャン:メタバースというテクノロジー自体は素晴らしいと思う、インターネット社会にとってテクノロジーの進化は常に必要だから。例えば今、世界でコロナの流行がすごいけれど、メタバースでコミュニケーションできれば実際に会わなくても済むし、感染するリスクも減らせる。

ケンジュ:初めてメタバースを知ったときはいいと思ったよ。テクノロジーは素晴らしいと思った。でも、メタバースそのものが1つの国のようになっていくんじゃないかな。独自の通貨を持って、その中で仕事をしたりあらゆることをしたりするようになったら、それはもう1つの国と同じでしょう。ポジティブなこともあるけれど、ネガティブなことも多い気がする。

ノエ:僕はむしろ、そんなふうにコントロールされていることを知らないまま、素晴らしいテクノロジーによる素敵な体験がしたいけどね。

メタバースのテクノロジー自体には期待の声が高いものの、やはり特定のグローバルIT企業などがメタバースで強大な影響力を持つことが不安という声も。シェリーは若者の8割がFacebookのメタバース参入に不安と答えており、9割がメタバースは特定の企業が管理するのではなく、ブロックチェーン技術で管理してほしいと考えているとコメント。

世代が若いほど、個人のプライバシー保護やメンタルへの影響などの面でソーシャルメディアは規制されておらず、その意味では失敗だったという認識を持つ人が多いと話すシェリー。同じ過ちをメタバースで繰り返さないためにも、業界の有力者が非営利団体を作り、メタバース開発企業に参加を呼びかけているとも話しました。

「メタバースは現実になる」は共通認識?

それでは、他のメンバーはどう考えているのでしょうか。

メアリー:バーチャルでスーパーに買い物に行けて、実際には私が選んだものをロボットがカートに入れて家まで届けてくれるみたいなものは多分すごくいい。でもそれをやることで人間性が失われていくような気もする。

ミクア:正直どう感じていいのかわからない。確かにメタバースはかっこいいテクノロジーだし、そこで様々なことができるのも魅力的。でもそんな夢のような世界を作ったら、ずっとそこにいて現実に戻りたくなくなるのでは?

ヒカル:メタバースがいくらリアルだと言っても、やはり実際に体験しなければできないことはあると思う。例えばニューヨークから日本に行くとか。

ノエ:実はそれも理論的には可能なんだよね。もちろん今は無理だけど、例えば100年後とかにバーチャルで日本に行って、本当に日本にいるように感じられるようになるんじゃないかな。

現在のメタバースは、まだ“いびつなゲーム感”を感じさせる作りになっているものの、ナイキなどの大手ブランドは商標登録を進めているというニュースも。ラボのメンバーからもポジティブな意見・ネガティブな意見がたくさん出ましたが、シェリーは「(今後)メタバースは現実になるということは、みんなの共通認識。だからこそ“よくなってほしい”という意見が多い」と、前後編で話し合った内容を総括しました。