アメリカの若者たちが普段何を考え、何に影響を受け、どのような性質や特徴があるのかなどについて、モデレーターでミレニアル世代評論家のシェリーめぐみが座談会形式で彼ら、彼女らの本音を引き出していきます。
2月16日（水）放送のテーマは、「NFTからメタバースまで、最新のテクノロジーとZ世代が実際どう付き合っているのか（メタバース前編）」。コンピューターネットワーク上に構築された仮想空間（＝メタバース）について、アメリカのZ世代がそれぞれの意見を交換し合いました。
Facebookのメタバース参入は「最悪」？
「NY Future Lab」では今月、NFTからメタバースまで、テクノロジーをテーマにトーク。ネット上の仮想空間にアバター（自身の分身）を作って参加し、「もう一つの現実」として生活したり、さまざまなサービスを享受できるメタバースは、Facebookの参入によって急速に話題になりました。Facebookは社名を「メタ」に変更し、今後は同事業に莫大な投資をしていくと発表しています。
「NY Future Lab」メンバーは、この流れをどう感じているのでしょうか？
ノエ：ある意味これが未来だと思う。あらゆる行為がバーチャルの世界でできるようになる方向に向かっていると思う。例えばスポーツをしたり学校に行ったり、家族と楽しんだりビーチに行ったりすることが、全てがデジタルでできるようになる。メタバースはそれに向かう新たなステップだと思う。
メアリー：だから最悪なんだよね。メタバース自体が悪いと言っているわけではないけれど、アイディア自体は新しいものではない。オンラインで暮らすというのは、例えばセカンドライフというゲームもあったし、VRもビッグになった。
でも最悪なのは、Facebookが「メタ」という名前を取って会社名にしたこと。もしFacebookが参入していなければ、（メタバースのアイディアは）ずっとかっこいいものになっていたと思う。
メタバース開発に乗り出しているのはFacebookだけではないですが、Facebookの参入が大きなイメージダウンにつながっていると、モデレーターでZ世代評論家のシェリーは話します。
「Z世代のマーク・ザッカーバーグ（Facebook創業者）嫌いは半端ではない。FacebookやInstagramが、世の中や若者にとって有害なシステムを利益のために放置していたことが明らかになったことが大きい」と、解説しました。
なぜネガティブな意見が多いのか
Facebookのメタバース参入がここまでネガティブに捉えられている理由はどこにあるのでしょうか。メンバーたちに聞いてみました。
メアリー：メタバースがインターネットの未来なら、Facebookがメタバースに参入したために、本来なら誰もが無料で共有でき、誰のものでもないはずのインターネットのあり方が変わってしまうのではないかと思うから。
ノエ：Facebookがメタバースを持っているのって、やはり最悪だと思う。Facebookの世界征服の第一歩のように見えるから。別にFacebookを憎んではいないけれど、あれほど大きな企業がこれほどのパワーを持って地球上のあらゆる人やその人生をコントロールするのは我慢ならない。
ケンジュ：メタバースが発展していく過程で、僕たちはもっと大きなパワーをマーク・ザッカーバーグに与えることになり、そのパワーに支配されることになってしまうだろう。
ノエ：結局、僕たちは自分たちのデータを全て与えるという代償を支払うことで、ネット上の楽しい体験を与えられているんだよね。
シェリーはユーザーのデータを収集し、その情報を売って巨大な利益をあげているFacebook（メタ）は、社会正義への関心が高いZ世代にとって、「利益のためには何でもする」モラルのない会社に見えているとコメント。
「Z世代はサービスを享受する代償として、自分たちのデータを代償にしている自覚はあるからこそ、Facebookがメタバースを支配することで『自分たちはこれまで以上に搾取されるのでは？』と考えている」と、懸念が広がっているとも話します。
一説によると、メタバースに「大きく期待している」と回答したZ世代は38パーセントしかいなかったそう。次回はZ世代がメタバースに対して、どのような期待をしているのかを中心にお届けします。
