実際、NFTで何ができるようになるの? Z世代が考える「NFTが実現させる未来」

アメリカの若者たちが普段何を考え、何に影響を受け、どのような性質や特徴があるのかなどについて、モデレーターでミレニアル世代評論家のシェリーめぐみが座談会形式で彼ら、彼女らの本音を引き出していきます。

2月9日(水)放送のテーマは、「NFTからメタバースまで、最新のテクノロジーとZ世代が実際どう付き合っているのか」。前回に引き続き、昨今話題のNFT(非代替性トークン)を中心に、アメリカZ世代のメンバーと一緒に掘り下げました。

今のNFTブームには懐疑的?

前回から、Z世代と最新テクノロジーがテーマの「ON THE PLANET NY Future Lab」。先週はNFTビジネスを立ち上げようとしている「NY Future Lab」メンバーのケンジュが、NFTとは何かを解説しました。

コピーされやすく、違法に取引されやすいデジタルアートや音楽のオリジナルに、ブロックチェーン技術を利用して固有の「トークン」と呼ばれる情報を与えることで、それがオリジナルかどうか、誰が所有しているかを証明できる技術がNFT。ラボのメンバーは、NFTをどのように捉えているのでしょうか?

ノエ:僕がよくわからないのは、はっきり言ってアートとしての魅力が全然ないNFT(の作品)が300万円とかの値段で売られていること。

メアリー:ゲイリー・ヴィーという有名人が、ナプキンにちょこっと落書きしたものをNFTにして売っていたけれど、そういったものは詐欺まがいだと思う。そういうのを見て、たくさんの人が同じように金儲けしようとしているけど、ばかげた話だと思う。

ケンジュ:今はほとんど詐欺かハイプ(誇大な宣伝、インチキ)で、アートとして価値のないものばかり。それを手っ取り早い金儲けの道具にしている。

NFTビジネスを計画しているケンジュですら、現在のNFTブームには懐疑的な様子。モデレーターでZ世代評論家のシェリーは「Z世代の8割はNFTを詐欺だと思っている」という調査結果もあるとコメントし、「NFTブームを作っているのは、Z世代よりも少し年上のミレニアル世代(20代後半~30代)ということもあり、Z世代はクールに見ています」と解説しました。

NFTの今後は…

直近では1ヵ月の売上総額が7,000億円を超える月もあるなど、そのブームの過熱ぶりが「バブル」とも評されるNFT。「NY Future Lab」メンバーが指摘していたように、アートとして価値のない作品も市場にあふれかえっていることから「そろそろバブルが弾けるのでは?」という声も上がっています。NFTは今後、どのようになっていくのでしょうか?

メアリー:NFTの作品は、アーティストにとっては新しい方法でお金が稼げる。特に何度転売されても、ちゃんとマージンが入ってくるのはいいことだと思う。

ケンジュ:NFTはいずれ、日常のものになると思う。アート以外にも僕たちそれぞれが持っている色々なスキルで、作ったものをお互いに売り買いできるようになる。

メアリー:他にも例えば、誰かがルイ・ヴィトンのバッグを売りたい、またはコンサートのチケットをネットで買いたいというときも、(商品情報やチケットが)NFTになっていれば偽物をつかまされることはなくて安心できる。

またケンジュは、NFTの技術によってSNSのプロフィールや写真を本人と結び付けやすくなり、「なりすまし」の被害を防ぐこともできると指摘します。

ケンジュ:僕たちが日常使っているInstagramやTwitterの参入がNFTの普及を加速すると思う。例えばSNSのプロフィールのビジュアルを、NFTにすることもできるようになる。

ヒカル:YouTubeなんかでも、本物と全く同じに見えるなりすましアカウントが問題になるけれど、NFTがあれば本当の持ち主がはっきりするよね。

現在はNFTの黎明期で、本来そこまで価値のないNFTが高額で取引されるなど「バブル」の雰囲気が漂っていますが、Z世代はNFTの技術自体には明るい展望を持っているようです。

シェリーによると、米国最大級の音楽フェス「コーチェラ」は現在、NFTの「終身会員チケット」を10枚限定でオークション販売中。チケット1枚に対して1,000万円近い価格がついているのだとか。「NFTを使えば、高いお金を払ってコンサートチケットを手に入れたけど、会場に行ってみたら偽物だった……ということもなくなりますよね。NFTが日常的なものになる日も近いかもしれません」と締めくくりました。