「イカゲーム」がアメリカで大ヒットした理由「単純なゲームだからこそ、登場人物の複雑な心理が際立つ」

Netflixで配信されている、韓国発のサバイバルサスペンスドラマ「イカゲーム」。勝てば大金が得られ、負ければ命を失う“デスゲーム”を描いた作品で、9月に公開されてからすでに世界で1億人もの人が観たという大ヒット作です。

Netflixで配信されている、韓国発のサバイバルサスペンスドラマ「イカゲーム」。勝てば大金が得られ、負ければ命を失う“デスゲーム”を描いた作品で、9月に公開されてからすでに世界で1億人もの人が観たという大ヒット作です。

TOKYO FMで放送中のワイド番組「ON THE PLANET」。水曜パーソナリティの綿谷エリナが担当するコーナー「ON THE PLANET NY Future Lab」では、これからの時代の主役となる「Z世代」と「ミレニアル世代」にフォーカス。アメリカの若者たちが普段何を考え、何に影響を受け、どうした性質や特徴があるのかなどについて、ミレニアル世代評論家のシェリーめぐみが座談会形式で彼ら、彼女らの本音を引き出していきます。

10月27日(水)放送・配信のテーマは、「大ヒットのイカゲーム!アメリカZ世代はどう反応?」。Netflixで配信されるや否や、世界中で大ブームとなっているドラマ「イカゲーム」について、NY在住のZ世代の若者たちにアメリカでの人気ぶりについてインタビューしました。

デスゲームものを観ない層にも“刺さった”

Netflixで配信されている、韓国発のサバイバルサスペンスドラマ「イカゲーム」。勝てば大金が得られ、負ければ命を失う“デスゲーム”を描いた作品で、9月に公開されてからすでに世界で1億人もの人が観たという大ヒット作です。

今回登場した「NY Future Lab」のメンバーである、シャンシャン、ヒカル、メアリー、ミクアの4人も視聴済み。モデレーターでZ世代評論家シェリーさん(?新しいポストでは敬称略です。どちらかに統一した方がいいと思いますがどうですか。ちなみにシェリーは苗字です)も「好きなことしかやらないし、好きなものしか観ないと言われているアメリカ人がみんな観ているというのは異常事態」と、「イカゲーム」の社会現象化に驚きが隠せない様子。

アメリカのZ世代は、「イカゲーム」にどのような感想を抱いたのでしょうか。

メアリー:ストーリーは以前に観た「賭博黙示録カイジ」や「賭ケグルイ」に似ていて特に新しさは感じなかったけれど、すごくいいと思った。とても良く作られていて、キャラクターも良く描かれている。

シャンシャン:最初は全然観たくなかったんだけど、お姉ちゃんに「観て!」と約束させられて、TikTokでもすごい話題だったから最後まで観た。最初の3話はストーリーの進行が遅くて、観るのが辛かった。

ミクア:全体的にはとてもいいと思った。ストーリーも私にとっては今まで観たことがない内容だった。あと、多くの人が言っているのは資本主義が描かれていること。お金のためには何でもする、命も犠牲にするという資本主義を批判しているという部分が深いなあと思った。

シェリーさんは、日本のアニメや漫画が好きな人からすれば「設定やストーリーに新しさは感じないけれど、面白い」作品で、あまりアニメ・漫画に親しんでこなかった一般的なアメリカ人にとっては新鮮に感じるのでは? と分析。「コロナ禍で、アメリカ人は内省的になってきていて、異常なまでに広がった格差に注目している部分も大きい」ともコメントし、作品で描かれている“資本主義批判”もヒットの要因なのではないかと推測しました。

設定やゲームのルールに不満の声も

一方で、絶賛ばかりというわけでもない様子。日本のデスゲーム作品をよく知っているヒカルからすると、設定や作中で行われているゲームの内容に不満があったようです。

ヒカル:1話でやったゲームって、「だるまさんが転んだ」じゃないですか。死が関わってくるゲームや巨大なお金がかかってくるゲームを描いた日本の作品って、もっと複雑でルールも細かい。自分たちの頭では考えつかないようなすごい設定のものが多いと思うんです。ただ「だるまさんが転んだ」をやって人が死にました、だと「えーっ?」みたいな。

シェリー:なるほど。日本の複雑なデスゲームのストーリーに慣れているヒカルには物足りない感じだったのね。それに対してはミクアはどう思う?

ミクア:単純なゲームというのに意味があると思った。ドラマの中でゲームを作った人が言っていたように、外の現実世界ではチャンスがない人でも、ゲームなら勝てるチャンスがある。貧しくて学校も出ていない人たちにも平等なチャンスが与えられるという意味で。

シャンシャンは「単純なゲームだからこそ、登場人物の複雑な心理が際立つのでは?」とコメント。設定やルールが単純すぎるのが気になる人もいれば、シンプルだからこそいい、という考え方の人もいるようです。

これを聞いたパーソナリティの綿谷が「どっちの意見もわかる!」とうなずくと、「だからこそ、役者さんの心理描写が際立ったのかなっていうのはありますよね」とシェリーさん

ちなみに放送日はハロウィンの直前でしたが、シェリーさんによると複数のニューヨークの公立小学校がハロウィンでの「イカゲーム」の仮装を禁止しているとのこと。「子どもたちが『イカゲーム』を真似して叩いたり、殴ったりして遊ぶケースが見られたそうなんです。怪我をしたという報告はまだないですが、親や先生は頭が痛いのかな」と、今年ならではのハロウィン事情も解説しました。