TOKYO FMで放送中のワイド番組「ON THE PLANET」。水曜パーソナリティの綿谷エリナが担当するコーナー「ON THE PLANET NY Future Lab」では、これからの時代の主役となる「Z世代」と「ミレニアル世代」にフォーカス。アメリカの若者たちが普段何を考え、何に影響を受け、どうした性質や特徴があるのかなどについて、ミレニアル世代評論家のシェリーめぐみが座談会形式で彼ら、彼女らの本音を引き出していきます。
9月8日(水)放送のテーマは、「アメリカZ世代にとっての9.11とは」。今年でアメリカ同時多発テロ(9.11)から20年が経ちますが、NY在住のZ世代の若者たちは9.11をどのように捉えているのでしょうか。
「9.11」から20年経ったけれど…
2001年9月11日に発生した、アメリカ同時多発テロ(9.11)。20年という節目の年ですが、今年は被害に遭った世界貿易センタービルの跡地「グラウンド・ゼロ」で追悼式が行われるのみで、シェリーも「ニューヨークでは、これ以外のイベントは何もない。やっぱりこの長い20年の間でかなり風化したな、という感じはします」とコメント。
シェリーは、この20年の間には新型コロナウイルスの流行や、ブラック・ライブズ・マター運動、学校での銃撃事件など、世間を揺るがす出来事が立て続けに起こったことも風化の一因となっているのではと推測しました。
当時のこと、覚えている?
事件が起こったのは20年前ということもあり、当時生まれていなかったり、小さかったりした若者にとっては「歴史上の出来事」でもある9.11。アメリカのZ世代である「NY Future Lab」のメンバーのなかには、9.11発生時にまだ生まれていなかったメンバーもいます。当時を覚えているメンバーに、9.11発生時のことを聞いてみました。
メアリー:なんとなく記憶があるのは9.11のあと、母が失業して家にいたこと。両親が見ていたテレビのニュースで、なんとなく怖いなと感じたことを覚えている(当時は3歳)。
ケンジュ:覚えているのは、ただ怖いという感覚、そして町中に漂っていた独特の煙の臭い(当時は2歳)。
シェリー:覚えているものなんですね。ヒカルはそのとき5歳だったけれど、当時は日本に住んでいたの?
ヒカル:9.11のあった年の冬にアメリカに来ているんですよ。3ヵ月くらい滞在したと思うんですけど。当時の記憶はけっこう鮮明に残っていますね。うまい表現が思いつかないんですけれど、「普通ではないな」という感じ。ニュースでも9.11の報道がまだ流れていたと思います。
当時ニューヨークに漂っていた煙の臭いは、モデレーターでZ世代評論家のシェリーも忘れられないと語ります。「ずっと燃えていましたから。今でも臭う気がします」と、振り返りました。
学校教育で「9.11」を取り扱う難しさ
アメリカでは9.11について、学校教育で教えることを義務付けている州がありますが、それは50州のうち14州のみ。「若いうちに教えるとトラウマになる懸念」や「生徒に遺族がいる場合への配慮」などのさまざまな理由により、9.11をどう教えるかは各学校の判断に任されています。
9.11当時、まだ生まれていなかったメアリーは、学校の先生から当時の被害状況について聞いたり、9.11のドキュメンタリー映画を観たと話します。一方で、ケンジュは「当日に黙とうしただけ」と話し、ヒカルも「9.11当日に事件について習ったけれど、そんなに細かいことまでは習わない」とコメント。
メアリーは「小学校の頃に9.11メモリアルミュージアムに社会科見学に行ったことや、高校でイスラム教徒への差別問題について学んだことはあるけれど、そんなに詳しいことは教わっていない」と話しました。
学校によって対応にばらつきがあることについて、シェリーは「(9.11を学校で教えない理由で)一番大きいのは『まだ終わっていない歴史』ということ。(教えるとしても)どうしても事件の悲劇的な面や愛国心のようなものに偏りがちで、そういう批判もあるんです」と解説。
「今、世界で起こっていることの多くは9.11を発端にしているから、これがわからないことには世界が理解できない。同じ間違いを犯さないために歴史を知っていくことは必要」とも語り、話を締めくくりました。