TOKYO FMで放送中のワイド番組「ON THE PLANET」。水曜パーソナリティの綿谷エリナが担当するコーナー「ON THE PLANET NY Future Lab」では、これからの時代の主役となる「Z世代」と「ミレニアル世代」にフォーカス。アメリカの若者たちが普段何を考え、何に影響を受け、どうした性質や特徴があるのかなどについて、ミレニアル世代評論家のシェリーめぐみが座談会形式で彼ら、彼女らの本音を引き出していきます。
5月12日(水)のテーマは、「ウイグル問題をアメリカのZ世代はどう捉えているか」。中国による新疆(しんきょう)ウイグル自治区の人権侵害問題について、NY在住のZ世代の若者たちはどう感じているのかを聞きました。
大手ファッションブランドが直面する問題
新疆ウイグル自治区への人権侵害問題を理由に、中国に対する経済制裁を行っているアメリカ。人権侵害問題を重く見ているのは国家だけではなく、グローバル企業も同じです。ファストファッション大手のH&Mは、強制労働・人権侵害への加担を懸念して、新疆ウイグル自治区で栽培された「新疆綿(しんきょうめん)」を自社製品に使用しないと表明。これが中国の反感を買い、中国国内ではH&Mの不買運動が起きました。
H&Mだけではなく、アディダス、ナイキなど、多くのファッション企業が同じ問題に直面しています。シェリーさんによると、日本発のブランドであるユニクロ、MUJI(無印良品)も同様の追及にあい、対応に苦労しているようです。
人権侵害問題、どう考えている?
こうしたニュースを聞いて、「NY Future Lab」のメンバーはどう感じたのでしょうか。
ミクア:ユニクロの服は好きなのにがっかりした。これまでこのブランドのネガティブな話って聞いたことがなかったのに。
ケンジュ:ユニクロはサステナブルなブランドだと思っていた。ユニクロがウイグルで栽培されたコットンを使っているのは事実なの?
シェリー:ユニクロは「新疆綿」という、ウイグル人が住む地域で生産される、中国の代表的な綿を使っているんだよね。アメリカでは、ウイグル人が綿花畑で強制労働をさせられている報告があると報道されています。
「強制労働が事実なら、使うのをやめるべきだと思う」と話すケンジュ。これは中国だけの問題ではなく、バングラデシュやベトナムなど、安い製品を提供する過程には世界のあらゆる場所で不当な搾取が存在すると、メンバーたちは話しました。
私たちはこれから何をするべきか
ではこのような状況を、どのように解決していけばいいのでしょうか。「NY Future Lab」のメンバーにディスカッションしてもらいました。
ミクア:難しい。そうした安い服しか買えない人たちもたくさんいるから。ユニクロが中国から手を引いたら多くのものを失うだろうし、変わるのも難しいと思う。
ミクア:これは中国とアメリカだけの問題ではないと思う。もし状況を変えたければ、国際的な最低賃金や、国を超えた労働法を作って守らなければいけないのではないかな。
ヒカル:言ってしまえば、資本主義の悪いところというか、究極的に難しい問題で、どこかで切り捨てなければいけないものだと思う。全部を満たして、全部ハッピーというのは無理だと思うので。だけどその代償として、ウイグルの人々の人権侵害や搾取が許されるわけではないので、それに対しては100パーセント「NO」です。
「サステナブルな服を買いたいけれど、値段が高くて手が出ない。安い服を手に入れたいというのが、アメリカのZ世代の本音でもありジレンマ」と解説するシェリー。一方で「安い服を着ることで、世界のどこかでおこなわれている搾取に加担している」ことに気づき、この問題を自分事として考える人も多いとも話しました。