アメリカZ世代の疑問「日本は校則で女子高生を厳しく縛るのに、“女子高生”を性的に描くコンテンツが多いのはなぜ?」

「日本の校則について」。アメリカのZ世代には、理解ができない日本の校則があるようです。校則やジェンダーの問題について「NY Future Lab」のメンバーが話し合いました。

「日本の校則について」。アメリカのZ世代には、理解ができない日本の校則があるようです。校則やジェンダーの問題について「NY Future Lab」のメンバーが話し合いました。

interfmで放送中の「sensor」(パーソナリティ:Cartoon)。「NY Future Lab」では、これからの時代の主役となる「Z世代」と「ミレニアル世代」にフォーカス。アメリカの若者たちが普段何を考え、何に影響を受け、どのような性質や特徴があるのかなどについて、ミレニアル世代評論家のシェリーめぐみが座談会形式で彼ら、彼女らの本音を引き出していきます。

6月6日(月)のテーマは「日本の校則について」。アメリカのZ世代には、理解ができない日本の校則があるようです。校則やジェンダーの問題について「NY Future Lab」のメンバーが話し合いました。

校則は「矛盾しているし偽善的」

前回の放送では、日本経済新聞朝刊に掲載されたコミックス「月曜日のたわわ」の全面広告がインターネットで炎上した問題について、メンバーが話し合いました。

胸の大きな女子高校生の日常にフォーカスした同作品について「新聞広告として適切ではなかった」「漫画自体は存在していい」など、さまざまな意見が出た前回の座談会ですが、メンバーのシャンシャンからは、日本の“校則”と結び付けて独自の意見が飛び出しました。

シャンシャン:日本文化についてのYouTubeを観ていたら、日本の女子高生には髪型の規則があると話していた。アメリカで育った私は、高校までずっと高く結ったハイポニーテールだったから、それが日本で禁止されているというのにショックを受けた。

日本の一部の学校ではポニーテールなど、うなじが見える髪型は「性的で、男子の勉学の妨げになる」という理由で禁止されています。これに対してシャンシャンは「だから女性はポニーテールを低く結ばなければいけないなんて……夏はすごく暑いのよ! 馬鹿げている」と、怒りを露わにしてコメント。さらに校則で生徒を縛るのにもかかわらず、日本社会では“女子高生”をセクシーに描くコンテンツがあふれていることにも疑問を呈します。

シャンシャン:矛盾しているし、偽善的でもある。学校の中ではモラルを守らなければいけないのに、学校の外、例えばエンタメの世界ではあらゆるものをセクシーに見せている。人気のアイドルグループのヒット曲にも、ポニーテールについて歌っているものがあるよね。あれは水着を着てビーチで歌っているMVだったけれど、なかなかセクシーだと思うのよね。

モデレーターでZ世代評論家のシェリーは「全部の学校がそうというわけではないけれど、日本の校則の厳しさがニュースで取り上げられたので、若い子の間で話題になっている」と、シャンシャンがこうした事情に詳しかった背景を説明。

「ポニーテール禁止」の校則を取り入れている学校があることを知らなかったCartoonは、「電車とかコンビニとか、下手したら小学生が見るような場所のほうがセクシャルなものにあふれているのに」と驚きます。

シェリーはうなずきつつ「本物の女子高生は厳しい校則で縛るのに、他のカルチャーではセクシャルなものにあふれている。だから『矛盾している、偽善では』という厳しい意見が出ているんです」と、コメントしました。

「痴漢」は抑圧の反動?

一方で男性陣からは、日本のカルチャーについてこんな意見も。

ケンジュ:子どもの頃に家族で日本に行ったとき、ある女性が泣いているのを見た。痴漢されそうになったのだという。ニューヨークではこんな光景を見たことがなかったので驚いた。そのときに、「日本はアメリカより変態っぽいのかな」「なぜそうなるんだろう? 何か日本の歴史に関係があるのかな」って思ったんだ。

ノエは「アメリカに比べると、日本はまだ性的なことが抑圧されていると思う」と話します。アメリカでは一夜限りのセックスや、特定のパートナーを見つける前は複数の人と関係を持つことはモラル違反とみなされない「フックアップ・カルチャー」があるとコメント。性教育も含め、あまり性的なことをオープンに話す土壌が日本にないのでは? と推測します。

ノエ:例えば、性について書かれた文学とかも、さまざまなニッチなカテゴリーに分かれているよね。変態っぽいものもあったりして。これって、なかなか性的な欲求不満を外に出すことができないから、読まれているのではないかな?

シャンシャン:日本の文化はずっと保守的で、性的なことが抑えられていると思う。その抑圧は女性に対してのほうが強い。なぜなら「男性が性的な妄想をするのは女性が悪いから」「興奮させる動機を作っているのは女性だ」という考え方があるからだと思う。(校則で)女子高生の髪型やスカートの長さに制約を加えるのも、そのためだと思う。

日本は普段、性的に抑圧されているから、そのはけ口が痴漢行為や性的コンテンツの過激さに向かってしまっているのでは? という見解が、Z世代の間で多くを占めていました。シェリーは「アメリカにも変態はいるけれど、日本のような地下鉄での痴漢はあまりない。反撃されてしまうから、そういう文化的な違いもあると思う」とコメントします。

アメリカでもかつては「女性が肌を出すのは、はしたない」という考えがありましたが、フェミニズム運動などにより、少なくとも性的加害の原因は女性にあると考えるような文化ではなくなりつつあると話すシェリー。「男性がどうとかではなく、自分が気持ちいいと思えるファッションをしようという考えに変わってきています」と、現在のアメリカの空気について解説しました。