日本で話題なった女性蔑視発言にアメリカのZ世代は?「なんともムカつく話」「マインドセット自体が間違っている」

アメリカの若者たちが普段何を考え、何に影響を受け、どのような性質や特徴があるのかなどについて、ミレニアル世代評論家のシェリーめぐみが座談会形式で彼ら、彼女らの本音を引き出していきます。

アメリカの若者たちが普段何を考え、何に影響を受け、どのような性質や特徴があるのかなどについて、ミレニアル世代評論家のシェリーめぐみが座談会形式で彼ら、彼女らの本音を引き出していきます。

interfmで放送中の「sensor」(パーソナリティ:Cartoon)。「NY Future Lab」では、これからの時代の主役となる「Z世代」と「ミレニアル世代」にフォーカス。アメリカの若者たちが普段何を考え、何に影響を受け、どのような性質や特徴があるのかなどについて、ミレニアル世代評論家のシェリーめぐみが座談会形式で彼ら、彼女らの本音を引き出していきます。

5月23日(月)のテーマは「吉野家の炎上について」。この春話題になった、牛丼チェーン・吉野家の元常務による女性蔑視発言について、アメリカのZ世代の若者たちが話し合いました。

Z世代が「吉野家の炎上」について感じたこと

2022年4月、早稲田大学で行われた社会人向けのプログラムで、牛丼チェーン・吉野家の元常務の男性が女性蔑視発言をし、炎上しました。その男性は自社のマーケティングについて「生娘シャブ漬け戦略」と称し、「田舎から出てきた右も左もわからない女の子を無垢・生娘のうちに牛丼中毒にする」「男に高い飯を奢ってもらうようになれば、牛丼は絶対に食べない」などと発言。講義に参加した人物がSNSに批判を書き込むと、発言はネットの枠を超えて拡散され、大きな話題となりました。

このニュースはアメリカではあまり大きく報じられませんでしたが、事情をよく知る「NY Future Lab」のメンバー・ヒカル(日本出身)が、他のメンバーに詳細を説明。ラボのメンバーたちが、この元常務の発言をどのように感じたのかを語りました。

ヒカル:若い女性をターゲットにして、企業の戦略を練るのは何も悪いことではない。でもこの男性の言い方は、なんと言い表していいかわからないけれど、とにかくひどい。ある意味性的だし、女性に対する虐待にも取れる。

ケンジュ:最もひどいのは、彼が「無垢な女の子を薬漬けにする」という言い方をしていること。食べ物の話をしているのに、それはおかしい。そんな失礼な言葉を使うなんて、そもそもマインドセット自体が間違っていると思う。

「すべてが最悪」と嫌悪感を露わにするメアリーは、元常務の発言について「なぜそこに『金持ちの男性』が出てくるの?」と、疑問を呈します。

メアリー:日本の女性はみんな、人生のある段階で金持ちの男性に自分を差し出すみたいなことを言っているようにも聞こえる。

シャンシャン:なんともムカつく話。東京出身じゃない若い女性に対して、年長の男性に高い食事を奢ってもらうのをおすすめしているようにも聞こえる。それって人の弱みにつけこんでいる感じがする。

ノエ:人の弱みにつけ込んで食い物にしている感じもするし、女性蔑視的だと思う。

モデレーターでZ世代評論家のシェリーは「アメリカではこうした発言をしたら、マーケティングの専門家としては失格」とコメント。アメリカにはキャンセルカルチャーがあるため、仮にアメリカで同様のことが起きた場合はすぐさまネットで糾弾され、社会的地位を追われたり、不買運動に繋がったりすると解説します。こうした動きが起きるのは「ネット世代であり、社会正義に敏感なZ世代の大きな特徴」だとも話しました。

もしアメリカで起きていたとしたら、どうなっていた?

では、今回の吉野家の騒動がアメリカで起きていたとしたら、消費者はどのような行動に出ていたでしょうか? ラボのメンバーたちがそれぞれの考えを述べました。

ケンジュ:(今回の炎上がアメリカで起きたら)元常務の顔があらゆるSNSでさらされて、誰も店に来ないし、取引もしたくなくなるから会社もダメになってしまうと思う。

ヒカル:(元常務は)クビになったと記事に書いてあったけど、それだけで問題は解決しないからね。

シェリーはメンバーに「もし、この炎上がアメリカで起きていたとしたら、それでも吉野家に行く?」と質問。これに対して、意見が割れる結果になりました。

シャンシャン:この重役がこういう考えを持っているということは、彼と働いている多くの人も同じように思っているわけだよね。ただこの人のようにはっきり言わないだけで。それに吉野家でなくても、たくさんの企業やレストランが同じような考え方をしているのではないかと思う。でも消費者はそれを知らないから、結局は食べに行く。私も個人的にはおいしければ、食べに通い続けると思う。

ケンジュ:いくらおいしくても、僕はもう行かないね。

ノエ:すごく変な話なんだけど、僕は日系アメリカ人で、アメリカにいるときはアメリカの文化に強く影響されているからキャンセルすると思うんだ。でも日本にいる自分は(日本の)文化に引っ張られて、もっと女性蔑視的になっている気がする。

つまり、日本にいる自分はそれでも吉野家に行くと思う。でも、もしアメリカで同じようなことが起きたら二度と食べに行かないと思うんだよね。

日本とアメリカ両方のルーツを持つノエが「アメリカの自分だったらキャンセルするが、日本の自分だったら受け入れていたかもしれない」と発言したことに、Cartoonは「社会の考え方や雰囲気も、ものすごく大事ですね」と反応。

シェリーも「そういうことだと思う。こうしたことが起きるのも社会的な背景があるわけで、みんなが普段どう考えているか、どう感じているかが、この炎上に集約されている」と大きくうなずきます。

一方で「日本でこうした炎上が起きたのはすごく興味深い」とも話すシェリーは、今回の騒動は日本における“キャンセルカルチャー”だと分析。「こうした論争になっているのは、女性の権利などについて、みんながコンシャス(意識的)になってきているから。日本が変わってきている一つの姿なのかなと、私には映ります」と、希望を見出している様子でした。