どうすればカマラ・ハリスの“若者票”が増える? 迫るアメリカ大統領選にニューヨークのZ世代が議論

「Z世代の支持をハリス候補は得られるか? ニューヨークの若者が激論」。「NY Future Lab」に所属するアメリカZ世代が、カマラ・ハリスの若者たちに向けたアプローチや、パレスチナ問題への対応について語りました。

「Z世代の支持をハリス候補は得られるか? ニューヨークの若者が激論」。「NY Future Lab」に所属するアメリカZ世代が、カマラ・ハリスの若者たちに向けたアプローチや、パレスチナ問題への対応について語りました。

ジャーナリストでZ世代専門家のシェリーめぐみがパーソナリティを務めるinterfmのラジオ番組「NY Future Lab」(毎週水曜日18:40~18:55)。ジャーナリストでZ世代専門家のシェリーめぐみが、ニューヨークZ世代の若者たちと一緒に、日本も含め激動する世界をみんなで見つめ、話し合います。社会、文化、政治、トレンド、そしてダイバーシティからキャンセルカルチャーまで、気になるトピック満載でお届けします。

9月4日(水)のテーマは「Z世代の支持をハリス候補は得られるか? ニューヨークの若者が激論」。「NY Future Lab」に所属するアメリカZ世代が、カマラ・ハリスの若者たちに向けたアプローチや、パレスチナ問題への対応について語りました。

カマラ・ハリスの“若者対策”にZ世代の反応は?

11月5日のアメリカ大統領選まであと2ヵ月となりました。これまで何度もお伝えしていますが、今回の勝敗のカギを握るのはZ世代とも言われています。特に、僅差の激戦州ではハリス氏が勝つために彼らの票は不可欠です。

もともと民主党寄りで、上の世代に比べて投票率が低い若者たち。しかし、年々政治に対する意識が上がってきています。過去の選挙でも、若者が投票したことでオバマ氏、バイデン氏も当選することができました。

今回も、若者の投票率が上がれば民主党のハリス氏が有利となり、そうでなければトランプ氏が勝利します。

前回の放送では、ラボメンバーたちが民主党大会でのハリス氏に触れ、政策に対するアプローチが不十分だと指摘していました。実際のところ、Z世代で構成されたラボメンバーは、ハリス氏をどのように評価しているのでしょうか?

ミクア:カマラ・ハリスのチームは、また新しいTikTokのアカウントを作ったみたいだよ。間違いなく若い世代にアピールしようとしている。そして、多くの注目も集めている。

だけど、効果は上がっているのかな? たしかに動画は面白いよ。あとは彼女を応援したり、投票を呼びかけるものが多いかな。有名人もかなりサポートしているよね。ラッパーのミーガン・ジー・スタリオンがパフォーマンスして、ヒップホップトリオのミーゴスのメンバーであるクエイヴォもスピーチをした。

ただ、私はそれだけで投票する気にはならないけどね。他の人たちにとっては有効なのかもしれないけど。

ノエ:でもさ、平均的なアメリカのティーンエイジャーや若者が、僕たちニューヨーカーのようなレベルだとは思わないな。とても傲慢に聞こえるかもしれないけれど、ほとんどの若者はソーシャルメディアやメインストリームのポップカルチャーに影響を受けていると思う。

ニューヨーカーは頭がいいとまでは言わないけど、僕たちはより多くのものに触れているでしょう? デモとかも普通に多いし。だから僕たちは、いろいろな考え方をするのに慣れていると思うんだ。そうすると、「これはマーケティング戦略だな。若い人たちを対象にした世論操作だな」とわかる。だけど、ほとんどの若者は狭くて小さな自分の世界にいて、特に親からの影響を受けているような気がするんだ。

ハリス候補は若者対策にかなり力を入れています。大統領候補に指名された直後から、チャーリー・XCXが彼女を「Brat」(※)呼びしたことがミームになったり、ポップカルチャーアイコンのように取り上げられたことが、彼女の支持にも大きく影響しています。

※「Brat」…本来は「悪ガキ、生意気な子ども」という意味だが、チャーリーは「信念を持つ力強い女性」「周囲に流されない女性」というポジティブな意味で使用している。

ハリス氏の影響はそれほどでもないという意見も出ましたが、多くの若者は大きな潮流、あるいは親からの影響に左右されているように感じると発言するラボメンバーもいました。

パレスチナ問題への取り組みは投票にどれほどの影響力がある?

若者たちの心に強く引っかかっているのが、先週もお伝えしたパレスチナ問題です。イスラエルのパレスチナへの攻撃によって既に4万人もの人が亡くなっているなか、「イスラエルを擁護する民主党には投票したくない」という声も上がっています。パレスチナ問題はZ世代の投票にどれほど影響するのでしょうか?

メアリー:(影響は)大きいと思う。私のインターネット上のサークルがそうだからかもしれないけれど。

ミクア:私はそれでも彼女に投票するつもりだよ。パレスチナ問題がすべてのZ世代の最優先事項だとは思わない。民主党大会におけるスピーチで一番大きかったのは、イスラエルとパレスチナについて、彼女は「基本的に問題解決に取り組んでいる」と言ったことだと思う。

だけど、言うのと実際に行動するのとでは、まったく違うよね。言うだけなら信用はされない。たとえば、中絶問題のような他のトピックについて話すとき、彼女の口調はとても強いし説得力があるんだよね。

メアリー:パレスチナを支援する、停戦を推進する、イスラエルに爆弾を与えないようにする、そういうことをもっと具体的に言ってほしいんだよね。そうすれば、Z世代はもっと喜ぶし応援すると思う。

ノエ:彼女が今より少しでも親パレスチナになるとか、もう少しイスラエルに対して厳しくなるとか、それだけでも違ってくると思う。

ミクア:そうなんだよね。このことが彼女が受けている最大の批判だからさ。他の課題について、民主党側の人たちはほとんどすべてカマラに賛成しているからね。

ノエ:でも、イスラエルに厳しくしすぎると、カマラは彼女の支持母体である中道左派の、特に親イスラエルな人たちやユダヤ系の富裕層の票を失うかもしれないね。

ハリス氏のパレスチナ問題への取り組みは、多くの若者が意識を向けています。一方で、それが投票するかしないかを左右する動機になるかは意見が割れました。

「若者は民主党・ハリス氏の価値観や方向性には同意しています。そして、トランプ氏には絶対当選してほしくないと考える人は多いです。ですので、少しでもイスラエルに対して強い姿勢や、パレスチナに対する具体的な救済が示されれば、彼女に票を入れる人は増えるんじゃないかなと私も思います」とZ世代専門家のシェリーは話します。

ラボのメンバーの1人は、ユダヤの血を引いています。親の意見に左右されず、パレスチナに対して、イスラエル人がおこなった負の歴史を受け止めようとしている若い世代の1人です。ユダヤ系であっても、特に若者はこういう考え方をする人が増えています。

シェリーは街中でパレスチナ人の若者数名と会話をしましたが、民主共和いずれの政権のイスラエル支持に反発しています。そうした人たちは、パレスチナを支持する第3党のグリーン党に票を入れることが予想されます。「それにより若者票が割れて、トランプが勝ってもそれは仕方がない、という人もいました。大統領選まであと2ヵ月。Z世代の票はどこへ向かうのか、またお伝えします」とシェリーはコメントし、話題を締めくくりました。