ジャーナリストでZ世代専門家のシェリーめぐみがパーソナリティを務めるinterfmのラジオ番組「NY Future Lab」(毎週水曜日18:40~18:55)。ジャーナリストでZ世代専門家のシェリーめぐみが、ニューヨークZ世代の若者たちと一緒に、日本も含めて激動する世界をみんなで見つめ、話し合います。社会、文化、政治、トレンド、そしてダイバーシティからキャンセルカルチャーまで、気になるトピック満載でお届けします。
10月9日(水)のテーマは「5年で10倍以上! なぜ若者は日本に行きたがる? アメリカZ世代が考察」。「NY Future Lab」に所属するアメリカZ世代が、アメリカの若い世代の旅行先に日本が好まれている背景を考えました。
観光旅行先に日本が選ばれる理由は?
コロナ禍も落ち着き、日本を訪れるインバウンド客は急増。かつての賑わいを取り戻しています。アメリカンエクスプレスの調べによると、2019年以降、日本への旅行予約はZ世代とミレニアル世代間で1,300パーセントも増加し、日本は若い世代のあいだで必ず訪れるべき場所になっています。
ニューヨークのラボメンバーも、みんな日本が好き、あるいは親のどちらかが日系人ということもあり、ほとんどが日本に行ったことがあります。まずは、そんな彼らが驚く日本の変貌について聞きました。
ノエ:2023年5月に秋葉原に行ったんだ。すると秋葉原にはたくさんの外国人がいて、というかほとんどが外国人でびっくりしたよ。あと、渋谷にも外国人がたくさんいた。
ミクア:東京には、その前に行ったときよりも外国人が増えたと思う。観光客だけでなく、セブンイレブンでイスラム教徒の女の子が働いているのも見かけた。イスラム教徒の女性は、日本では初めて見たような気がする。ヒジャブをかぶっていて明らかに中近東系だった。
だけど、広島に行ったときはそれほど変わっていなかったよ。外国人はそれほど多くはなかった。やはり日本に行く外国人は、みんな東京に行きたがるってことだよね。
メアリー:Z世代が就職する年齢に達して、好きに使えるお金を持てるようになるまで成長したっていうことはあると思うな。
ミクア:それもあるけど、はっきり言って日本はとても(物価が)安いんだよね、今、海外旅行先として日本は最高だと思う。同じお金でたくさんのものが買えるでしょう? 特に高級品はアメリカで買うよりもはるかに安く手に入るからね。
メアリー:そうそう。飛行機もZip Airという、もっと安い航空会社ができたしね。要するに、日本に行く渡航費もどんどん安くなっているっていうことだよ。特に日本で起こっている経済危機を考えると、海外の人が日本に行くのっていいことだと思うんだ。
日本が大好きなメアリーは、日本の経済危機を救うために観光客がどんどんお金を落としたほうがいい、と考えています。これはニューヨークの若者がアメリカの将来を憂いていることからも、共感度が高いアメリカZ世代の特色と言えます。
日本のアニメが世界に与える影響は大きい
さまざまなものが安価で買える国は観光先として適していますが、ラボメンバーは日本ならではの魅力が世界中の人を惹きつけていると考えています。
メアリー:本当に重要なのは、ソフトパワーと文化的な要素だと思う。たとえば、ハローキティやアニメはとても人気があるし、マンガもそうだよね。
ノエ:ひとつ言いたいのは、オンライン上で「2020年のアニメの大変化」と呼ばれる現象。それがとても面白いんだ。
アニメがサブカルチャーからメインの文化に大きく転換した時期について語られていて、たとえば2010年頃に「アニメが好き」とか言うと、笑われたりからかわれることがあったんだよね。
でも2020年以降は、アニメが好きだとか、見ることがむしろ「クール」なことになっている。それは大きな変化であり、日本の文化、特にオタク文化がより広く受け入れられ、人気が高まったということなんだよ。
メアリー:有名なラッパーのミーガン・ジー・スタリオンも、日本に関連するものを取り入れた音楽を作っているよね。昔から日本に興味を持っているラッパーはいたけど、アニメを強く意識した曲を作った人はあまりいなかったと思うんだ。そして、それが人気を集めている。
私は若い頃、妙にアニメにハマっていて、ちょっといじめられた記憶があるんだ。だから、それが今では受け入れられているのは本当に新鮮な感じがする。とにかく、これが日本のためになることを願っているよ。
まずは、アニメやマンガなどの文化をソフトパワーと呼ぶ背景には、アメリカと日本の外交関係を、経済や軍事などのハードパワーではなく、文化や芸術などのソフトパワーでつないでいこうという思いが込められています。
「かつてはオタクのものだったアニメやマンガが、チャートナンバーワンのミーガン・ジー・スタリオンらが注目し、他にも有名セレブがどんどんプライベートで日本に来るのも大きく影響していると思います」とZ世代専門家のシェリーは解説。
2020年以降、オタク文化は完全に“クールなもの”になりました。アニメ人気が日本のためになることを心から願っているとの発言があったように、ラボメンバーたちは今の日本の状況をかなり心配している様子。
以前の放送でも取り上げましたが、アメリカの若者たちは今のインバウンド人気を文字通り支えているアニメやマンガの利益が、ゼロから作り出しているクリエイターたちにきちんと還元されているのかが気がかりなのです。 NY Future Labでは来週より再び、通常のニュースメディアにはなかなか乗らない、大統領選に関する、アメリカの若者たちの本音をお伝えします。