ジャーナリストでZ世代専門家のシェリーめぐみがパーソナリティを務めるinterfmのラジオ番組「NY Future Lab」(毎週水曜日18:40~18:55)。ジャーナリストでZ世代専門家のシェリーめぐみが、ニューヨークZ世代の若者たちと一緒に、日本も含め激動する世界をみんなで見つめ、話し合います。社会、文化、政治、トレンド、そしてダイバーシティからキャンセルカルチャーまで、気になるトピック満載でお届けします。
4月16日(水)のテーマは「アメリカより中国のほうが進んでいる? 関税と経済戦争へのZ世代の鋭い本音が炸裂」。今、世界中を混乱の渦に陥れている“トランプ関税”について、ラボのメンバーがそれぞれの意見を交わしました。
トランプ関税は「アメリカの首を絞めるだけ」?
日々絶え間なく変化する世界情勢のなかで、ニューヨーカーが最も気になっていることの1つが、トランプ関税とその影響。農産物から車まで、あらゆる輸入商品にかけられる関税の影響で、何がいつ値上がりするのかが連日ニュースになっています。
日本を含む56ヵ国 ・地域への相互関税は90日間停止となったものの、代わりに中国に対してはさらに高い関税率を打ち出し、世界が全面的な経済戦争に巻き込まれている今、ニューヨークのZ世代はこれをどう見ているのでしょうか?
メアリー:トランプは「関税をかけることによって製造業をアメリカに呼び戻すべき」だと言っているわけだよね。でもここには製造業がもうない。インフラも整っていないし、受け入れ態勢もない。例えば、デトロイトを見ればわかるように、自動車製造業の多くが工場を閉鎖して去っていった。だから、彼ら(製造業)は戻ってこられないんだよ。関税引き上げによって、この街に仕事が戻ってくると思っているのかもしれないけど、彼らの居場所はまったくない。信じられないほど愚かだよ。またついでに言うと、この関税の計算式もありえないほど間抜けだと思う。
シャンシャン:私はトランプが何を考えているかを必死に考えているけど、やはりよくわからない。中国に課税するのはわかるよ。でも、なぜカナダに課税するの? 例えばカナダはアメリカのいくつかの州にかなりの電力を供給しているんだ。その1つがニューヨークだよ。もしカナダが送電を切ったら、私たちの街は真っ暗になるかもしれない。そう考えると、この関税はやはりアメリカ人のためではないと思うな。
ノエ:長期的な問題は、アメリカがテクノロジーや経済における世界のリーダーとしての地位を失い始めることだと思う。覇権という点でもね。
ケンジュ:すでにそうなっているよ。
関税をかけても産業は戻って来ず、友好国への関税はアメリカ人の首を絞めるだけ。そして最大の問題は、この関税によってアメリカが世界のリーダーとしての地位を失う、もしくはすでに失っているという意見が飛び出しました。
かつての“ニューディール政策”のような希望がある?
彼らが冷静にそう考える背景には、アメリカの大人世代には得られない情報をネットで得ている、Z世代ならではの鋭い視点があります。
ノエ:(アメリカは)確かにリーダーの地位を失いつつあるけれど、まだ最も重要な軍事力みたいなものは残っていると思うんだ。グーグルもアップルも、まだ代替可能な企業じゃない。中国でさえ、人々はまだiPhoneを使っているし、VPNや何やらでまだグーグルを使っている。でも、一度、米国がクレイジーになったら、例えばフランスなんかでもVisaやMasterCardに取って代わろうとする新興企業や会社がたくさん出てくるだろうね。
ケンジュ:中国とインドはアメリカよりはるかに進んでいるよ。特に中国。例えば、もしアメリカで中国車を売ったら、もう誰もアメリカの車を買わなくなるよ。中国がアメリカのコンテンツを遮断しているように、アメリカもまた中国のコンテンツやプロパガンダを遮断しているから、何が起きているかよくわからないんだ。
だけどね、あるビデオを見たら、中国では自由がないとかいろいろあるけれど、それでも人々は自分らしく生きていてとても幸せそうだった。少なくともずっと気楽に生きている感じがした。
メアリー: IShowSpeed(アイ・ショー・スピード)という大物ストリーマーが中国に行ったビデオが今すごく大きなニュースになっているんだけど、彼は中国という国に対するアメリカの若者の考えをどんどん変えているんだ。
例えば私の上司は、「アメリカが中国みたいになっちゃうんじゃないか。みんな工場に住んで、最悪に汚い環境で誰も幸せになれないんじゃないか」って言うんだ。でも中国はもうかつての中国ではない。アメリカ人のそういう認識は本当に遅れているよ。
一見、悲観的にも聞こえる「アメリカはもう世界のリーダーではなくなっている」という意見ですが、「これは悲観というより事実をしっかりと見すえた冷静な意見」であると、シェリーはコメント。
特に今回の経済戦争が、若者の中国への見方を大きく変えているというのも事実です。マスメディアとは違い、政府のプロパガンダに影響されないネットの情報が彼らの目を大きく見開かせています。
さらにメアリーは、座談会中にこんな意見もしていました。
メアリー:歴史的に見ると、実は世界大恐慌のときも対策として関税をかけたんだよね。それが世界恐慌をさらにひどくしたんだけど。でも、その後に何が起こったかというと、ニューディール政策でアメリカが蘇ったんだよね。(今回のことも)そうなるといいなと思っているよ。
ニューディール政策は1930年代の世界大恐慌を克服するために、政府が莫大な予算を組んでダム建設などの公共事業を起こし、雇用を拡大した歴史に残る政策です。アメリカのインフラの基礎が作られ、労働者の権利拡大もそのときに実現しました。あまりにもひどい状況の後には、こうした良い変化が訪れるのではないかというのが、メアリーの見解であり希望です。
「アメリカという国を冷静に見ている若いZ世代。そこには中国も含めて世界を俯瞰して見る、真にグローバルな視点があると感じました」とシェリーは語り、感銘を受けたことを明かしました。






